れんげにとって夏海は師匠!? 噛み合わなそうでちゃんと噛み合っているふたりの関係――『のんのんびより りめんばー』発売記念 小岩井ことりさん&佐倉綾音さん 対談
2021年に惜しまれつつも連載終了した大人気田舎ライフコメディ『のんのんびより』。そのこぼれ話やお楽しみ情報を収録した番外編『のんのんびより りめんばー』(以下、『りめんばー』)が、2022年3月23日(水)に発売されます。
通常版と同時に発売される特装版には、アニメ第3期『のんのんびより のんすとっぷ』(以下、『のんすとっぷ』)の第13話にあたる完全新作OAD「部活をがんばった」を収録。『のんすとっぷ』最終話(第12話)で学年の上がったれんげたちの動く姿が見られることもあり、注目を集めています。
そこで今回、アニメイトタイムズでは発売を記念して『のんのんびより』のメインキャストによるスペシャル対談を前後編に渡って実施。後編では、小岩井ことりさん(宮内れんげ役)と佐倉綾音さん(越谷夏海役)の対談をお届けします。
最終回は「笑顔で送り出された感じ」「学校の卒業式みたいな終わり方」
――『のんすとっぷ』の最終話が放送されて約1年、完全新作OADとして第13話が制作されると聞いたときの率直な気持ちはいかがでしたか?
宮内れんげ役・小岩井ことりさん(以下、小岩井):第12話で終わりだと思っていたので、イベント(2021年8月1日開催「にゃんぱす祭り のんすとっぷなのん!」)で第13話が出ると聞いて「え? 続きあるんですか?」ってビックリしました。その日の朝は「はぁ……れんげを演じられるのも今日で最後か……」という感じだったんです。でも、もう1回あるんだと知ってすごく嬉しかったですね。
越谷夏海役・佐倉綾音さん(以下、佐倉):私も知ったのは同じタイミングで。『のんすとっぷ』の最終話のアフレコで本当に最後だと思っていたので、「あ、もう1本録れるんだ」と嬉しくなりましたね。どんな内容になるのか、台本をもらうのが楽しみでした。
――小岩井さんには『のんすとっぷ』のインタビュー連載のときにもお聞きしたのですが、原作とアニメで同じラストを迎えたことについてはどう感じましたか?
佐倉:作品によっては原作とアニメで結末が違うとか、少し分岐するとか、差をつけて完結する作品もありますよね。それで、以前『のんのんびより』にはどれが似合うんだろう?と考えたことがあるんです。でも、いい意味で、別になんでもいいなって(笑)。
小岩井:あはははは!
佐倉:どっちに転んでも、日常が続いていることには変わりないし。なんか、こんなにもラストがなんでもいい作品って、あまりないなと(笑)。すごく稀有な作品だなと思いました。
小岩井:新しい命が誕生して、めちゃくちゃ光あふれる最終回だったよね。眩しすぎて闇のオタクとしては消えちゃいそうだった(笑)。
佐倉:確かに、世界のいいところ詰め合わせセットみたいな感じだったよね(笑)。
小岩井:ほんとそれだよね。生きることや輝きをバーン!と見せてくれるエンディングですごいなと感じました。圧倒的な光。
――小岩井さんらしい表現ですね。それまではずっと同じ1年間を描いてきて、最後の最後で学年が上がる描写があってのエンディングというのも素敵でした。
佐倉:だからこそ、本当に終わるんだなという特別感と完結感がありました。なんだか、現実に戻った感じがして。
小岩井:すごく明るくて光あふれるエンディングなんだけど……でもやっぱり、ちょっと切なくて。
佐倉:私たちは闇の人間だからね(笑)。
小岩井:あれ? (綾音ちゃんも)闇だったの?(笑)
佐倉:どちらかというと闇の人間かな。世界のいいところと悪いところなら、悪いところに目を向けがちなので(笑)。世界の素敵なところ詰め合わせだったから、まるで最終回でいきなり手を離されたような感覚になって、「置いていかないで!」と思ったんです。
でも、『のんのんびより』が伝えたいこと、置いていきたいものってきっとそうじゃないんだよなと考え直したんです。れんげたちの日常はこのまま続いていくし、私たちの日常も否応なしに続いていく。だけど、『のんのんびより』という作品を経てあなたはどうやってこの先、生きていきますか?と、すごい笑顔で送り出された感じがして。
小岩井:わかる。描いているのは日常だし、ずっと続いていくし、終わり方も絶対にこうじゃなきゃいけないというのがなくて、本当になにも考えずにのんびり見ることができる作品で。なんか本当の学校みたいですよね。学校も毎日通っているだけだったけど、卒業して、そこで学んだことがあるから今ここがあって。『のんのんびより』を見てくれた人たちも、見る前と見た後ではきっとなにかが違っている。そう考えると、学校の卒業式みたいな終わり方だなって感じました。
佐倉:戻れないからこそいいのかもね。思い返すことはできるけど、実際にもう体をそこに置いておくことはできないから。
小岩井:そうだね。