TV放送でより多くの方に見てもらえる喜び。親子決戦も見据えたように思える今作――アニメ『範馬刃牙』刃牙役・島﨑信長さん×ゲバル役・野島健児さんインタビュー
Netflixにて先行配信中、2022年1月よりTV放送がスタートしたアニメ『範馬刃牙』が現在好評放送中!
『範馬刃牙』は、『グラップラー刃牙』から続くシリーズの第三部にあたる作品で、今作ではミスター・アンチェインと呼ばれるオリバと戦うためにアリゾナ州立刑務所(ブラックペンタゴン)に入所した主人公の刃牙と新たな強敵たちとの戦いを描いたストーリーとなっています。
本稿では、全シリーズを通して主人公の範馬刃牙を演じている島﨑信長さんと、今回登場する新キャラのジュン・ゲバル役を演じる野島健児さんの対談が実現!
同じ事務所の先輩・後輩の間柄でもあるお二人に、お互いのキャラの印象や、本作の見どころを語っていただきました。
前作で縮まった刃牙と勇次郎親子の距離。親子決戦も見据えたように思える今作
――昨年のNetflixでの先行配信を経て、2022年1月よりTV放送が始まりましたが、心境をお聞かせください。
範馬刃牙役 島﨑信長さん(以下、島﨑):Netflixでの配信でも好評の声をいただいて、たくさんの方に楽しんでいただけている実感がありました。今回、TV放送が始まったことで、更に多くの方に『範馬刃牙』を楽しんでいただけると思い、純粋に嬉しかったです。
ジュン・ゲバル役 野島健児さん(以下、野島):Netflixではこの作品を選んで見ていただけていたと思いますが、TV放送では『刃牙』シリーズのファンの方だけではなく、偶然見ていただいた方もいらっしゃると思うので、どんな反応をしてくださるのか、そして新しい層の方に見ていただけると思うと楽しみでした。
――『範馬刃牙』は島﨑さんから見て、前作の『バキ』から刃牙の成長や変化を感じた点はありますか?
島﨑:『バキ』では、刃牙の内面的な成長にフォーカスを当てていて、途中に恋愛のエピソードもありましたが、段々、勇次郎との親子関係に向かっていった気がします。「大擂台賽(だいらいたいさい)編」では、親子で共闘することになって、憎しみの対象であった勇次郎への尊敬の念が見えたり、勇次郎のことを嬉しそうに語るシーンなどがありました。
一方の勇次郎も以前は、刃牙は自分を満足させるためのエサとしか見ていなかったけど、息子としてどんどん接するようになって。そしてお互いに、戦い合うことを見据えているところが前作とは違うところかなと思います。
――野島さんは今作で初めてシリーズに参加されたそうですが、作品と演じるジュン・ゲバルの印象をお聞かせください。
野島:強い人たちが戦い合う作品だと思っていましたが、ここまで規格外の作品とは想像もしていなかったので、衝撃が大きくて、「どうやって作品や役と向き合っていこうかな?」と思いました。
ゲバルは、規格外なキャラクターの中では真っ当というか、異常性が少ないというか(笑)。
島﨑:それは感覚がおかしくなっているだけで、ゲバルも相当、異常だと思いますよ(笑)。一国の主を脅迫していますから。
野島:自分の国を作るためにとんでもないことをやらかしていますが、それさえもまともに見えてしまうような環境にいて。でも芯の強さや正義感、優しさがある男というイメージがあります。
――島﨑さんから見たゲバルの印象は?
島﨑:シリーズにここまで関わっていく中で、強い人は力が抜けていて、自然体なんだなと常々思っていましたし、みんな「個」なんですよね。勇次郎が典型的ですが、群れないし、誰ともつるまず、どんなに大きな組織でも1人でケンカを売っていく感じで。
でもゲバルは自分の国を作り、統率しようとしていて、そういうタイプの人はいなかった気がします。しかもみんなに慕われて、愛されているし、部下たちを教育しながら育てていて、社会性があるのかもしれません。間違いなく異常なんですけど(笑)、国や組織を統率しようというところは、確かに真っ当なのかも。
野島:それはもしかして他者のことを考えている人はいないってこと?
島﨑:そうなんですよ! 誰かのためにとか、組織を背負って立つという人はほとんどいなくて、自分が強くなりさえすればいいという人ばかりなので。だから、のじさん(野島さん)の正義感や優しさがあるという意見も納得できるんですよね。多くの人を背負っているという意味では『バキ』で登場していた神心会や愚地家の人にちょっと近いかも。
――野島さんは、刃牙についてどう思われましたか?
野島:ゲバル役のお話をいただいて、「誰が刃牙の声をやるのかな?」と思って台本を開いたら信長くんで。「体格も刃牙とは違ってスリムな信長くんがどんなお芝居をされるんだろう?」と興味津々でした。信長くんが芯のある声を出すことは知っていたけど、どんと構えた絶対的な自信や経験を積んだ演技を、刃牙の中に吹き込んでいく姿を見て、音だけではない、彼自身の強さをお芝居から感じて、「こういうふうに刃牙を作ってこられていたんだな」と思いました。
また刃牙というキャラの持つ絶対的な自信はどこから来ているんだろうと思っていましたが、ゲバルは国民や仲間の期待を背負っているけど、刃牙は勇次郎の強さの源であり、そんな部分が今後見られるのかなとワクワクしました。