二人の「リャンハ」…時間されあればかけがえのない友人になれたかも│TVアニメ『殺し愛』リレーインタビュー││11回:リャンハ役・下野 紘さん&リャンハ少年役・増田俊樹さん
TVアニメ『殺し愛』もいよいよ最終回直前! 本作を盛り上げるリレーインタビュー第11回は、リャンハ役の下野 紘さんとリャンハ少年役の増田俊樹さんが登場。
第11話では、これまで謎に包まれていたリャンハの過去が明らかになると同時に、もう一人の「ソン・リャンハ」とシャトーの関係性も明るみに。すべては、少年たちの出会いから始まった。二人の間に生まれた数奇な縁を、下野さんと増田さんに紐解いてもらった。
リャンハは短い期間でも特別な感情を抱いたんだと思う
――17年前のリャンハとシャトーに一体何があったのか、リャンハ少年とは一体何者なのか。気になる方も多かったと思いますが、ここに来てようやく謎の一端が明かされました。
下野紘さん(以下、下野):皆さん、こっち(リャンハ少年)が本物のリャンハと知ってきっと驚かれたのではないかと思います。じゃあリャンハ、お前は一体誰なんだと(笑)。なぜリャンハの名前を騙っているのか。新たな疑問も沸いてきますが、何よりもリャンハ少年がすごくいい子なのにいろいろと巻き込まれてしまって、ちょっとかわいそうでした。
増田俊樹さん(以下、増田):断片的に描かれていたリャンハ少年の過去がここにきてようやくはっきりと描かれ、「リャンハ」という名前のルーツと、シャトーとリャンハの今に至る過去が見えてきたことで、終わりが近づいているなと実感しています。
――増田さんはリャンハ少年をどんな人物だと捉えていますか?
増田:ドニーへの忠誠心と素朴さがリャンハ少年の魅力だと感じました。知らず知らずのうちに大事件を起こしてしまったわけではなく、あくまでも正義感をもって信じる人のために行動した結果、こうなってしまった。どういう過程があってこの性格になったのかはわかりませんが、その意志が魅力的に見えました。
下野:ドニーのもとにはニッカやジノンのような“ヤバい奴”がたくさんいますが、リャンハ少年は心優しく、正義感に溢れていますよね。少なくとも思いやりのある子なのは確かですし、ニッカのようにスレた感じにならず、ずいぶん素直に育ったなと感じました。この作品では数少ない、いい子です。
――リャンハとシャトーとのやりとりを見ても、すごく気遣いができる子だなと感じました。
下野:任務に忠実なだけであれば、そこまで気を遣えないですからね。そういった意味では、リャンハ少年の優しさがリャンハにも影響を与え、「リャンハ」の名前を名乗るくらい彼に特別な感情を抱くようになったのかなと思います。実は原作を読んでいるときは、リャンハ少年に対して特別何かを思うことはなかったのですが、全話をアフレコしてみて、すごく愛おしく感じるようになりました。
――増田さんはリャンハ少年を演じる上で、どういったことを大事にされましたか?
増田:僕が原作から感じ取ったものと監督をはじめとする制作スタッフ皆さんがアニメで表現しようとしている内容に若干の違いがあったので、音響監督さんと話し合いを重ねて演じさせていただきました。
――それはどういった違いだったのでしょうか?
増田:原作を読ませていただいたときに、リャンハ少年は純朴ではあるんですが、同時に怖いもの知らずの一面があって、それが一周回って狂気になっているような印象を受けたんです。それに対して、アニメはどちらかというと弱気な部分を強調するような演出だったので、そこは少し調整しながら演じました。
下野:素朴に気弱に、という感じだったよね。
増田:そうですね。素朴に気弱に、もう少し声を高く、というディレクションをいただいて。朴訥とした感じにすると声色を作るのが難しいので、なかなか大変ではありました。
――第11話はお二人の掛け合いも多かったです。
下野:掛け合いといっても、リャンハはこの頃からあまり感情表現をしないので、たくさん話しかけてくれるリャンハ少年に申し訳なかったです(笑)。
増田:特に反応がないですからね(笑)。それでも話しかけ続けるのがリャンハ少年らしいところなのかなと思います。
下野:ただ、リャンハは表には出しませんが、何か思うところがあるからこそ行動をともにしたのかなとも思うんです。誰かをかばうよりも見捨てるタイプなのに、そうはしなかった。短い期間でも特別な感情を抱いたのかなと思います。
――大人になってからのリャンハに比べて、やや迂闊なところも印象的でした。それこそ、拳銃に弾が入っていないとか。
下野:そういった部分も含めて、リャンハ少年のほうが大人な面があるんでしょうね。
増田:思ったんですが、あれは本当に弾が入っていなかったんですか?
下野:そういうブラフでリャンハを動揺させた、と。
増田:僕はそうだと思いました。
下野:確かに、どっちだろうね。リャンハ少年は純朴な子だし、銃を扱うこと自体、怖いと思っている節もありそうだから弾を抜いていたかもしれないし……。
増田:そうですね。ただ、ドニーの配下なのでいろいろ叩き込まれているようにも見えるんです。大義のためには行動できる少年なので、いろいろ想像してしまいました。