目指したのは、楽しい日常をメインにしつつも、それぞれの胸の中で懐かしい扉を開ける共通の「鍵」となるような音楽――TVアニメ『佐々木と宮野』音楽・澁江夏奈さんインタビュー
「だれかを好きになること」を応援してくれる、爽やか青春男子高校生LIFEを描いた人気漫画『佐々木と宮野』(著者・春園ショウ)。本作のTVアニメが2022年1月より、TOKYO MX、テレビ愛知、BS日テレほかにて放送中です。
いよいよ物語も佳境を迎える本作ですが、3月23日(水)には本作のオリジナル・サウンドトラックがリリース! TVアニメ『佐々木と宮野』のBGM全41曲の他、オープニングテーマ「瞬き」とエンディングテーマ「いちごサンセット」のTVサイズを収録したCD2枚組となっています。
リリースを記念して、Blu-ray&DVD第1巻初回限定特典のブックレット収録予定の音楽・澁江夏奈さんインタビューを一部先行公開! ぜひCDと一緒にお楽しみください♪
澁江夏奈(しぶえ・かな)
作曲家、ピアニスト。FAIR WIND music所属。テレビ番組やCM音楽で活躍するほか、劇伴を手掛けた主な作品にアニメ『昭和元禄落語心中』、『デビルズライン』、TVドラマ『マチ工場のオンナ』『わたしをみつけて』などがある。
それぞれの胸の中で懐かしい扉を開ける共通の「鍵」となるような音楽
――最初に『佐々木と宮野』という作品にふれての印象からお聞かせください。
澁江夏奈さん(以下、澁江):男子高校生たちのお話と聞いてすぐに思い浮かぶギャグやスポーツものの作品とはまた違う、美しく柔らかな世界観に引き込まれました。個人的にとても魅力を感じたのが、ただワクワクして楽しいだけではない「人を好きになることへの恐れ」が描かれているところです。
大切に思えば思うほど、自分の気持ちが相手を傷つけてしまうのではないかと怖くなる……。それでも、しっかりとお互いに向き合っていく佐々木と宮野を応援したくなります。
たとえば20年後、彼らがこの頃のことを振り返ったときにも、きっと懐かしく、輝かしい思い出としてそれぞれの心に残っているであろうし、私たちもまた、こんなすてきな男の子たちの物語にふれたことをいつか愛おしく思い返すことがあるんだろうなと思いました。
――お言葉から、この『ささみや』の世界に魅了されたことが伝わってきます。原作を読まれながら、自然と音楽が鳴り出すようなところもありましたか?
澁江:まさに、そうなんです。読んでいるうちに湧き上がってくるものがあって、具体的な発注をいただく前に、何曲か勝手にイメージソングのようなデモトラックを作ってしまいました。その中でも、私の感じた『ささみや』の世界を凝縮して表現した1曲が第一弾PVで使われることになり、とてもうれしかったです。
これまで、人間の業や因縁、無理解からくる争いのようなものをテーマにした、この作品とは真逆といってもいいアニメ作品に携わることが多かったので、当初は「本当に私で大丈夫でしょうか?」と言わせていただいたりもしたのですが、新しく挑戦するきっかけをいただく出会いになったと思います。
――はたしょう二音響監督とは、どのようなお話をされながら今回の劇伴を作り上げられたのでしょうか?
澁江:カーペンターズやスピッツといった、誰もが自身の青春時代を想起するような「懐メロポップス」を基盤にしようという話から始まって、そのコンセプトを残しながらも、よりキャラクターたちの心情にフォーカスして作っていくことになりました。何に懐かしさを感じるかは人によって違いますが、誰かを好きになる気持ちは世代や性別を問わないものだと思います。
目指したのは、佐々木と宮野の楽しい日常をメインとしながら、それぞれの胸の中で懐かしい扉を開ける共通の「鍵」となるような音楽です。はたさんは、全体的な方向性を決めてからはほとんどお任せくださったので、初めてご一緒させていただくのに信頼いただけていたことがありがたかったです。
――「好き」という普遍的な思いを核に幅広い層の琴線にふれていく音楽は、この作品の持つ主題にふさわしいものですね。特に気をつけたことや、具体的にこの作品ならではのポイントとなったところはありますか?
澁江:最初に私が感じたような美しい世界観を表現するために、使う音を丸めに加工して柔らかくしたりしています。アクション作品の劇伴だと心情の移り変わりも明確なところがあり、いきなりテンションマックスで始まる曲を多く用意するのですが、今回は、2人の姿が引きで描かれたり、また逆に瞳の揺れだけで心情を表現するようなカットが多くなりそうだなと思って、イントロを長めにとり、だんだん盛り上がっていったり、音と音の間を伸ばして音数を少なめに作っていきました。
――特に魅力を感じたキャラクターは?
澁江:半澤先輩です! 一言で言えば、ずっと怪しいところが良い(笑)。学園祭のとき「なんでこの人は、こんなにも宮野に優しくて、彼が必要としている言葉をあげることができるんだろう?」と感じたのですが、のちのち彼の背景にあるものもわかって、いっそう愛おしくなりました。半澤先輩が思い切り甘えられる存在に出会えることを祈っています。
――印象深いシーンはありますか?
澁江:一つに選べないくらいどのシーンも好きなんです。なので、好きなところで答えさせていただくと「背景」ですね。教室のカーテンとか、さりげなく映る木々の葉であったり、ときに画用紙に水彩で描いたようなタッチにもなっていて、きれいなのはもちろん、何だか見ていてホッとするんです。情報量の多いアニメが多い昨今、あえてアナログなタッチの絵作りにこだわりを感じました。
――1話を通して、音楽によって貫かれた優しさが感じられます。オープニングとエンディングを聞かれて、いかがでしたか?
澁江:放送前から、Twitterで監督が「泣けます」とおっしゃっていたのですが、実際の映像と一緒に曲を聴いて納得でしたね。私自身も今回の劇伴を作るとき「ただ楽しいことだけが幸せではない」と意識していたのですが、このオープニングとエンディングも、明るく勢いがありながらも、そこに切なさが内包された、素直な心が感じられるメロディラインが、とてもすてきだなと思いました。
――宮野も、BLを語る中で「幸せを感じる表現にもいろいろある」と熱弁しています。今回の劇伴は、非常に「喜び」や「楽しさ」のバリエーションが豊かですが、澁江さんは、普段からどのようにインスピレーションを得られているのでしょうか?
澁江:映画、ドラマ、アニメ、放送されているすべてが教科書だと思って、インプットを惜しまずにたくさん見るようにしています。同じ「幸せな心」に対して音楽をつけるとしても、その作品が作られたのが10年前であれば、今ではまったく違う曲になると思うんですよ。
――アニメーションの劇伴を担当されるときに大切にされていることを教えてください。
澁江:アニメに限らずなのですが、一つの作品にもいろんなシーンがあるので、幅広い音楽ジャンル で、かつ、散らかってしまわないよう統一したサウンド感を持たせるということです。今回でいうと、打ち込みのシンセサイザー音と生の楽器のバランスを意識しています。
たとえば、宮野が萌えを語るシーンをイメージしたジャズ調の曲も、いきなりクラシカルなジャズワルツが出てくると違和感を覚えてしまうので、他の曲でも使っているオルガンの音を加工して入れているんですね。そうやって曲と曲に何かしら共通点を持たせると、統一感が出てくるんです。
――「はじまりは、憧れだった」というキャッチコピーにちなんで、現在の澁江さんへ至るきっかけとなった「憧れの力」について教えてください。
澁江:親にクラシックピアノのお稽古に通わされるところから私の音楽人生はスタートしているのですが、子供の頃は、あまり幅広いジャンルの音楽を聞く機会がなかったんです。そんな中、菅野よう子さんが手掛けた『攻殻機動隊』のサントラを聴き、脳が揺さぶられるほどの衝撃を受けました。
そこから、先ほどお話した「一つのお盆に、幅広いジャンルの楽曲が乗っている」劇伴への憧れが生まれたんです。いつも、菅野さんのサントラを聞くことで挑戦する勇気をいただいていますし、その背中を追いかけたいと思うと同時に、自分には決して到達できない境地があるということが、頑張れる理由にもなっています。
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商品情報
TVアニメ「佐々木と宮野」オリジナル・サウンドトラック
2022.3.23 ONSALE
音楽:澁江夏奈
品番:COCX-41736~7
価格:4,400円(税抜:4,000円)
<収録内容>
TVアニメ『佐々木と宮野』のBGM全41曲の他、オープニングテーマ「瞬き」とエンディングテーマ「いちごサンセット」のTVサイズを収録したCD2枚組。
発売日、仕様、収録内容などは場合により予告なく変更する場合がございます。
佐々木と宮野 第1巻
2022.3.30wed ONSALE
【本編DISC+DVD 2枚組】
収録話数:第1話~第3話
【Blu-ray】品番:KAXA-8251 価格:9,900円(税抜:9,000円)
【DVD】 品番:KABA-11121 価格:8,800円(税抜:8,000円)
●初回限定特典
1.原作・春園ショウ描き下ろしイラスト使用三方背BOX
2.原作・春園ショウ描き下ろし漫画掲載スペシャルブックレット
3.キャラクターデザイン・藤井まき描き下ろしデジパック
4.映像特典DVD「朗読劇 佐々木と宮野」<夜の部>
2021年9月12日(日)に開催された朗読劇<夜の部>の模様を収録!
【出演】 佐々木秀鳴役:白井悠介/宮野由美役:斉藤壮馬/暮沢丞役:新井良平/平野大河役:松岡禎丞 (※声のみの出演)
●毎回特典
映像特典:ノンクレジットOP
商品仕様・価格などは予告なく変更になる場合がございます。
アニメイト特典
●【アニメイト限定セット】描き起こしミニキャライラスト使用アクリルキーホルダー2個セット(佐々木・宮野)
第1巻購入特典
アニメイト限定版(第1巻)
BD:10,200円(税抜)/DVD:9,200円(税抜)
配布時期:2022/3/30~
●ジャケットイラスト使用オリジナルA4クリアファイル
BD・DVD各巻購入特典(1巻)
配布時期:2022/3/30~
TVアニメ「佐々木と宮野」作品情報
■放送情報
2022年1月9日(日)よりTOKYO MX、テレビ愛知、BS日テレほかにてTVアニメ放送!
U-NEXTにて地上波先行・単独最速配信!
<放送情報>
TOKYO MX 1月9日より毎週日曜24:30~
KBS京都1月9日より毎週日曜24:45~
サンテレビ1月9日より毎週日曜25:00~
テレビ愛知1月9日より毎週日曜25:35~
BS日テレ1月10日より毎週月曜24:00~
AT-X1月11日より毎週火曜22:00~※リピート放送:毎週木曜10:00~/毎週月曜16:00~
<配信情報>
U-NEXT1月9日より毎週日曜24:00~
その他サイトも順次配信予定
※放送・配信日時は変更になる可能性がございます。
■Story
女顔がコンプレックスな腐男子の宮野由美は、
ある夏の日、校内で喧嘩の場に遭遇してしまう。
勇気を出して止めに入ろうとしたとき、
宮野の肩を押し留め、代わりに向かってくれたのは
ちょっとだけ不良な先輩・佐々木秀鳴だった。
それ以来、なぜか佐々木に気に入られてしまう宮野。
あろうことか「好きなマンガを貸してくれ」と言われ――!?
そして佐々木は、瞳を輝かせてBLを語る宮野に、
少しずつ惹かれていく...。
■Staff
原作:春園ショウ
(『佐々木と宮野』MFCジーンピクシブシリーズ/KADOKAWA刊)
監督:石平信司
助監督:上野壮大
シリーズ構成:中村能子
キャラクターデザイン:藤井まき
美術監督:黛昌樹
色彩設計:桂木今里
撮影監督:近藤慎与
編集:白石あかね
音響監督:はたしょう二
音響効果:出雲範子
音響制作:スタジオ・ドンファン
音楽:澁江夏奈
音楽制作:日本コロムビア
アニメーション制作:スタジオディーン
製作:「佐々木と宮野」製作委員会
■Cast
佐々木秀鳴:白井悠介
宮野由美:斉藤壮馬
平野大河:松岡禎丞
小笠原次郎:小野友樹
半澤雅人:内田雄馬
暮沢 丞:新井良平
田代権三郎:市来光弘
■Music
オープニング主題歌「瞬き」
歌:ミラクルチンパンジー
エンディング主題歌「いちごサンセット」
歌:佐々木秀鳴(CV:白井悠介)、宮野由美(CV:斉藤壮馬)
■Books
コミック 『佐々木と宮野』
著:春園ショウ
MFCジーンピクシブシリーズ/KADOKAWA刊
1~8巻 好評発売中!
スピンオフコミック『平野と鍵浦』
著:春園ショウ
MFCジーンピクシブシリーズ/KADOKAWA刊
1~3巻 好評発売中!