音楽
『着せ恋』OP「燦々デイズ」スピラ・スピカ|前向きなポップスの、その先へ

TVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』がついに最終回!OPを彩る「燦々デイズ」を歌ったスピラ・スピカ|前向きなポップスの、その先へ

大人気となったTVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』(略称『着せ恋』)のOPテーマ「燦々デイズ」を歌うのは、3人組バンド、スピラ・スピカ。作品に全力で寄り添った歌詞、思わず口ずさみたくなるキャッチーなメロディ……「燦々デイズ」の魅力に、アニメの内容を交えながら迫りたい。そして「燦々デイズ」ももちろん収録されている3月16日にリリースされた2ndフルアルバム『ナガレボシトレイン』。そこには2年間のスピラ・スピカと、これから先へ向かうスピラ・スピカが詰まっていた。

好きに真っ直ぐな気持ちの尊さ、作品に寄り添った景色が見える歌詞

いよいよ、TVアニメ『着せ恋』が最終回を迎える。そのオープニングを彩る「燦々デイズ」は明るく元気でキャッチーな、スピラ・スピカの魅力が詰まった1曲だった。

「燦々デイズ」という曲を語る上で、まずは『着せ恋』について少し解説していきたい。『着せ恋』はコスプレをしたいけど服が作れない、ちょっと不器用なギャルで超絶美少女・喜多川海夢(まりん)と、祖父が作った雛人形に一目惚れして以来、雛人形の顔を作る頭師を夢見ている真面目な青年・五条新菜(わかな)の2人を主人公にしたラブコメである。

クラスに馴染めなかった新菜が、クラスの人気者で実はアニメ・ゲームオタクの海夢のコスプレをしたいという夢を叶えるべく、服作りの手伝いをするというストーリー。コスプレのハウツー&あるあるモノとしても十分過ぎるほど面白く、好きなものに全力で、いつも眩しく輝いている海夢と、それを追いかけている新菜という図式が最高だ。

だが、そんな2人の関係性が、新菜のとある一言がトリガーになってひっくり返る。一瞬で海夢が新菜に恋をする展開に変わるところは本当に素晴らしかった。アニメで言うと第5話になるのだが、そこで視聴者はやっと『その着せ替え人形は恋をする』というタイトルの意味を知る。ここのラブコメのキュン展開が非常に秀逸だったので、そこをモチーフにした主題歌にするというのは十分選択肢としてあったと思う。実際にあかせあかりが歌うEDテーマの「恋ノ行方」は、海夢視点で恋する気持ちが描かれている。

では、OPテーマ「燦々デイズ」はどうだったのか。……新菜視点だったのである。女性ボーカルなので海夢視点だとばかり思っていたが、そうではなかった。そして、スピラ・スピカがこの作品から切り取ったのは、恋をするときめきなどではなく「夢や好きなことに真っ直ぐな気持ち」だった。

頭師を夢見ていたと新菜は、幼い頃のトラウマで、自分のやりたいことや夢を周りに言えなくなってしまっていた。そんな新菜にとって、海夢の人の好きなものをバカにしないところや「自分の気持ちは自分の為に言わなきゃダメだよ」という言葉、何より自分の好きなものに真っ直ぐなところが眩しく見えたのだ。スピラ・スピカは、誰かの背中を押してあげたいという想いが強いグループなので、その「好きに真っ直ぐ」という部分にシンパシーを感じたというのは、ある意味、自然な流れだったのかもしれない。

アニメのOPテーマとして考えると、一番最初の“燦々”という言葉が何よりも絶妙だった。このたった4文字で、新菜が眩しく思う海夢のことを完璧に表現してしまっている。そこにパーンと明るい音を当てて、ハジけるサビになっていくスタートダッシュが、この作品にぴったりハマっていた。

物語は途中、海夢が新菜を恋愛面では追いかけるような形になるが、新菜の気持ちやスタンスは最初からそれほど変わっていない気がしていて、いつだって好きなことに真っ直ぐな海夢を憧れ、惹かれているのである。その心境が、しっかりと歌詞に描かれているし、それを“陽”な要素満載の幹葉の歌声とキャッチーなメロディで聴かせていくのも、ストレートで良かった。

さらに歌詞を細かく見ると、原作でも印象に残るシーンで、アニメではさらに演出が加えられた第8話の海辺のシーンや、2番ではアニメの最終話のシーンあたりまでが描かれている。そんなところからもスピラ・スピカのこの作品に対する強い愛が伝わってくる。実際にギターの寺西は、この作品の大ファンで、アニメ化前からメンバーに勧めていたそうである。

サウンドはアッパーなポップチューンで彼らの得意なところど真ん中。ゆったり歩いているところからサビで駆け出すような展開になり、バンドの演奏もストリングスとブラスが加わり一気に華やかになっていく。だがそこから2番の頭で急に演奏のテンポをゆったりさせてハッとさせる。そこからまた盛り上がり、落ちサビからのラスサビでは、ギターの寺西とベースのますだが暴れまくるクライマックスを迎える。この激しい緩急がジェットコースターのようで、『着せ恋』の展開にも通じるので、フルコーラスでぜひ楽しんでほしい。

また、梅木葵(『ゆるキャン△season2』OP、『五等分の花嫁』シリーズED、『かげきしょうじょ!!』EDなど)が手掛けるオープニングアニメーションも秀逸だった。タイトルが出る前のモデルの海夢といつもの笑顔の海夢の表情がまずかわいいし、2つの画面で、まったく別の道を歩んでいた2人を描き、そこから画面がひとつになり、ずっと傍にいるところ。新菜の魅力であるごつい手を見せる裁縫シーンや、ラストの新菜を覗き込む海夢の表情。歌詞に寄り添って新菜から見た海夢というのを挟んでいる演出が素晴らしい。きっと新菜にだけ見せる顔なんだろうな、と感じさせるくらい力の入った作画だった。つまるところ、楽曲と映像、すべてが『着せ恋』への愛で満ち溢れていた。だからこそ「燦々デイズ」は、TVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』の顔になったのだと思う。おそらくこの作品が好きな人は、あの頭サビが、もう反射的に浮かぶようになっているはずだ。

(C)福田晋一/SQUARE ENIX·「着せ恋」製作委員会
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