「私はアニメ『フルーツバスケット』を作るために生まれてきたのですよ」井端義秀監督インタビュー
アニメ『フルーツバスケット -prelude-』が全国の劇場にて上映中&劇場限定版Blu-rayも発売中!!
『フルーツバスケット』は、花とゆめ(白泉社)で1998年から2006年まで連載された高屋奈月さんによる少女漫画で、全世界コミックスの累計発行部数は3000万部を突破する大人気作品。TVアニメは2019年4月より新スタッフ&キャストにより全編アニメ化となり、2021年6月までテレビ東京ほかにて放送されました。
そして『フルーツバスケット-prelude-』は、TVシリーズ総集編に新作映像を加えた作品。主人公・本田透の両親である今日子と勝也の若かりし頃の物語を初の映像化、さらに原作者の高屋奈月さんが描き下ろした“透と夾のその後”を描いた完全新作エピソードを加えています。
この世の何も信じることが出来ず荒れ果てた生活を送っていた今日子は、教育実習生として赴任してきた本田勝也と出会う。慇懃無礼でクセの強い勝也に翻弄され、次第に惹かれていく。 ところが、不良仲間との間で起きた事件をきっかけに親から勘当を言い渡されてしまう。今まで散々好き勝手にやってきた罰だ。そう思う今日子の前に、勝也が現れて……。
本稿では、TVアニメ『フルーツバスケット』&『フルーツバスケット -prelude-』の監督である井端義秀さんにインタビュー! これまでの作品への思いを振り返りつつ、今作『フルーツバスケット -prelude-』の見どころポイントなどお聞きしました。
『フルーツバスケット-prelude-』で大切にしたポイント
――本作を制作する中で、大切にしたポイントを教えてください。
井端義秀監督(以下、井端):大切にしたものは、常に高屋先生の原作です。特に勝也(CV:細谷佳正)は、ニュアンスの微妙な表情をするので眉の角度一つ、同じ印象を与えられる画になるように頑張りました。
――本作で特にお気に入りのシーンを教えてください。
井端:透(CV:石見舞菜香)と夾(CV:内田雄馬)のその後は、一ファンとして見られて、スタッフとしては描けてよかったと本当に思います。
――興行収入が1億6千万円(3月17日時点)を突破し、大ヒットとなっていますが、多くの方の心に響く本作の魅力は何だと思いますか?
井端:約20年経っても、心を打つ原作の魅力だと思います。
――監督がお気に入りのキャラクターがいれば教えてください。
井端:全員好きすぎて、今は一人に絞れません。
今日子役と慊人役はレジェンド級の演技者をリクエスト
――作品(TVアニメシリーズを含め)を制作されていて、特に思い入れのあるエピソードを教えて下さい。
井端:TVアニメの2nd season 第23話「シンデレラっぽいもの!」は、舞台表現にこだわったので思い入れがあります。
――キャストの中で、特に監督がこだわったキャスティングがありましたら教えてください。
井端:特に私がわがままを言ったのは、「今日子(CV:沢城みゆき)と慊人(CV:坂本真綾)はレジェンド級にうまい人を充ててほしい」とお願いしました。
演技に説得力を持たすのが特に難しく、それがないと作品の説得力が破綻してしまうからです。結果、沢城みゆきさんと坂本真綾さんが受けてくださることになりガッツポーズしました。
――『フルーツバスケット-prelude-』の舞台挨拶の際に本田今日子役 沢城みゆきさんへの質問で、「原作やアニメ化への解釈が完璧で、想定を超えるお芝居をして感動した」とコメントされていましたが、特に印象に残っているのはどなたのお芝居でしょうか。
井端:作中でも特に辛い思いをするのは草摩依鈴なのですが、豊崎愛生さんの熱演が乗ったとき、自分で作っておきながら、涙が詰まって言葉が出なくなったことがあります。素晴らしい表現力だと思いました。