「フォークダンスDE成子坂」の名作コントを3DCGでリメイクした『其れ、則ちスケッチ。』、4月からテレビ放送開始! 石ダテコー太郎監督ロングインタビュー【前編】
唯一無二の感性を持つ植田ひかるさんと新人らしからぬ瞬発力の春木めぐみさん
――声優は植田ひかるさん(ハジメ役)と春木めぐみさん(チヅル役)ですが、どのように決めたのでしょうか?
石ダテ:オーディションをさせていただきました。約200人という、とても多くの方にご応募いただきましたが、審査員の満場一致で植田ひかるさんと春木めぐみさんに決まりました。植田さんは過去に僕が担当していたワークショップで面識はありましたが、春木さんは初めてお会いしました。
――おふたりを選んだ理由は?
石ダテ:植田ひかるさんにはフォークダンスDE成子坂のボケ担当・桶田敬太郎さんの役をやってもらわなければならないんだけど、そんなことができる声優さんはなかなかいないと思っていたんです。その理由は、桶田敬太郎さんって、なんといいますか……表現するのが難しいくらい浮世離れしている人なんです。独自の美学で生きている人で、庶民には理解できない人間。本当に不思議な人でした。
――植田ひかるさんは桶田敬太郎さんに似ているのですか?
石ダテ:なんとなく、そうですね。植田ひかるさんは浮世離れしているところが似ています。たとえば役者さんに「変な医者」を演じてもらうとき、普通の声優さんだったら変な医者を全力で演じます。もしくは「これはコントですよ」と、わかりやすくディフォルメしたお笑いノリで、おもしろく演技します。ほとんどの役者さんは、だいたいこの二択です。なのに、植田ひかるさんはどちらでもないんです。
――では、どのような演技をするのですか?
石ダテ:植田ひかるさんの演技を見ていると、本気でやってるのか力を抜いてやっているのか、まったくわからないラインでずーーーっと演技をし続けるんです。内発的な狂気が見え隠れするといいますか。半分は役で、半分は植田ひかるさん。ずっとキメラのような状態で演技をできるんです。
一同:(笑)
石ダテ:一般的には不思議な演技だけど、実はコントの場合はそれで正解なんです。コントは劇中劇なので、コメディーとは違います。コントは「役を演じるふり」をして「相手をおちょくる」という二重構造のごっこ遊びなので、本当に役に入り込んでしまうとコンビ間の関係性の面白さが出ないんです。植田ひかるさんの役に入り切らないひょうひょうとした演技は、桶田敬太郎さんのイメージにドンピシャだったんです。
――ずっとフォークダンスDE成子坂さんを見てきた石ダテ監督が言うと説得力があります。
石ダテ:役に入り切らない不思議な演技の例をひとつ挙げると、ラジオ『其れ、則ちラジオ。』のショートコントのコーナーがそれです。このコーナーでは、リスナーさんからショートコントの台本を送ってもらい、番組内でふたりにやってもらうんです。
――おもしろいコーナーですね!
石ダテ:ラジオ番組はすでに23回も配信しているのですが、いままで植田ひかるさんはリスナーから送られてきたショートコントの台本の意味を、いまいち理解しないまま演じていたみたいなんです。これは最近になって、やっと気づきました。
一同:(笑)
石ダテ:いままでも「このコントおもしろいですね」とは言うんだけど、どこがおもしろいのかを尋ねると、一般的におもしろいと思える部分じゃない部分をおもしろがっているんです。それを聞いてびっくりしました。「えっ、そこ!?」って(笑)。
――不思議な方ですね(笑)。
石ダテ:毎回台本の意味をわからないまま、独自の楽しみを見つけて演じてくれていたんです。「台本」と言うものに対して、他の人と見ているところが違うといいますか。植田ひかるさんはずっと半クラッチのまま、狂気をはらんだ芝居ができる方なんです。あれはなかなかマネできません……が、この特技をありがたがる現場も珍しいとは思いますけどね(笑)。
一同:(笑)
――天然ちゃんを演じているわけじゃない、と(笑)。
石ダテ:植田ひかるさんはファッション天然ではありません。むしろ、本人は「私は普通だ!」と思いたがっているようです。逆に植田ひかるさんからは春木めぐみさんと僕が変人扱いされます。そういう貴重な役者さんなので、植田ひかるさんにはラジオの本番中以外はあまり踏み込まないようにしています。ほじくるとボロだらけで、どれがボロだかわかりません(笑)。
――そんな植田ひかるさんの相方役の春木めぐみさんは、どのような方ですか?
石ダテ:春木めぐみさんは新人声優さんなので、まだあまりキャリアがありません。ただ、子役上がりということもあってか、度胸があって堂々としています。彼女は考え方がポジティブで、とにかくよく笑って元気です。演技については、反射神経と思い切りの良さが素晴らしく、愛嬌もあります。でも、ちょこっとポンコツで抜けているところも持っている。そういう芯が強く、愛されキャラの部分が、フォークダンスDE成子坂のツッコミ担当・村田渚さんに近しいところがあると感じました。植田さんと春木さんはオーディションの組が同じだったのですが、ふたりの掛け合いを見て「これはいいな」と思いました。
――植田ひかるさんと春木めぐみさんの第一印象は?
石ダテ:先ほどもお話した通り、植田ひかるさんとはワークショップで知り合いました。あのときは即興劇をやってもらったのですが、植田ひかるさんはみんながびっくりするような演技を堂々と真顔でやっていたのが印象に残っています。僕はそれを見て、「こいつはモンスターだぞ」と思っていました。
一同:(笑)
石ダテ:一方、春木めぐみさんは会ったときから前のめりだし、ポジティブでした。誰しも年齢が若いときって、自分のキャパを超えたことを求められると対応できないことが多いじゃないですか? でも、春木めぐみさんは物怖じしないんです。とてもいい性格だと思います。ですが……少々飽きっぽいところはあります。『其れ、則ちラジオ。』で頻繁にあることなのですが、植田ひかるさんの話が長くなってくると話に飽きちゃうんです。「長い……長い……長いぃぃ……」って、明らかに相方の話を聞いていないんです(笑)。
――聞いていないんですか?(笑)
石ダテ:本人は「飽きないようにしなきゃ!」と気遣っているつもりかもしれないけど、その気持よりも「早く次のコーナーに行って!」の感情の方が前に出てきてます。せっかちなところもあるのかな?(笑) それでいて愛されキャラなので、いい役者さんです。
――あのラジオ番組は、石ダテ監督が進行役として活躍しています。いまのお話を聞いて、監督がいないと成立しないような気がしました(笑)。
石ダテ:そうなんですよ。植田ひかるさんの独自世界がすごいので、新人の春木めぐみさんひとりに処理させるわけにはいきません。僕がしゃべらないと、ラジオ番組にならないんです。最初は途方に暮れましたが、結果的にあれはあれでおもしろがってくださるファンの方がいるので、よかったのかなぁとも思います。
一同:(笑)
後編へ続く!
【地上波放送決定🎉】
— 『其れ、則ちスケッチ。』公式 (@SketchSore) March 9, 2022
昨年の11月よりYoutubeにて公開を開始した連続コント動画作品『其れ、則ちスケッチ。』ですが…
2022年4月3日より毎週日曜25:05~TOKYO MXで、地上波放送されることが決定しました!!🎉🎊
本当にありがとうございます🏝️🗿🎶#それすけ #tokyomx #植田ひかる #春木めぐみ pic.twitter.com/E05N3gYyVh
『其れ、則ちスケッチ。』作品情報
とある島になぜか2人きりで取り残されてしまった少女、 ハジメとチヅル。 自給自足のサバイバル生活の中、 大好きなコントをしながらお互いを励まし合って日々を過ごしていく……。
声優自身がモーションキャプチャーでキャラクターを動かしながら収録する1話10分程度の動画作品群。
ストーリーはもちろん、 ちょっと変わった制作経緯で話題の本作は、 これまでYouTubeで配信されている本編に加え、 TikTok、 ラジオ(それらじ)等様々なメディアで展開してきました。 満を持して始まる地上波放送は、 1回の放送につき2話ずつ、 6週にわたってお送りする予定です。
放送局
TOKYO MX:毎週日曜25:05~
https://s.mxtv.jp/anime/soresuke/
スタッフ
原作:フォークダンスDE成子坂 桶田敬太郎・村田渚
コンセプトデザイン:吉崎 観音
構成・演出:石ダテコー太郎
製作:其れ、則ちプロジェクトチーム。
キャスト
ハジメ:植田ひかる
チヅル:春木めぐみ
公式チャンネル
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ラジオ『其れ、則ちラジオ。』(それらじ)公式サイト
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