ヒーローのあるべき姿とは? 新時代のウルトラマンに感じた人間らしさ──『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突』ウルトラマンレグロス役・仲村宗悟さん インタビュー
表情のわからないウルトラマンを演じる難しさ
──収録で意識したことや印象的なディレクションはありますか?
仲村:全体的に感情豊かにという部分をベースに作らせてもらっています。あとウルトラマンシリーズは叫びが多いので、叫びが一辺倒にならないように意識しました。叫びのバリエーションと言いますか。
──掛け声も色々なバリエーションがありますよね。
仲村:赤龍白虎拳という拳法の使い手なので、それにあった掛け合いも意識しました。
──そもそもウルトラマンに声を当てられるのは、素人目にすごく難しそうに感じます。
仲村:僕自身、最初はヒーローというイメージが先行していたので明るく、真っ直ぐ、熱くという感じで役を作ったんです。でも、熱い方向性は残しつつ、もっと無骨な感じでというディレクションをもらって。感情をブワッと出すよりは、ということですね。
──アニメの収録との違いはありましたか?
仲村:録り方的には普段のアニメーションとは違って、どちらかと言うと外国映画の吹き替えに近いんだと思います。アクターさんが動いているところに声を付けるのでそういう意味でも外国映画に近いと思いました。
──外国映画のように、映像を見ながら声を当てるんですか?
仲村:そうなんです。CGとかはまだ付いていませんでしたが、戦闘外のシーンはすでに撮られていましたので。撮影時に仮で声を当ててくれているので、そういった点でも外画に近いなと思いました。
──そういった収録方法もあるんですね。それでも表情のわからないウルトラマンを演じるのは難しそうだと思います。
仲村:ウルトラマンなので表情がわかるわけではないんですけど、そこを表現するのが僕らの声だと思っていて。声で感情を乗せるということに務めました。
──今作には歴代ヒーローにもキャストが名を連ねていますが、改めてキャスト一覧をご覧になっていかがですか?
仲村:大先輩方がいらっしゃって背筋がピンと張りました(笑)。でも、声優だけでなく、俳優の方もいますが、これは円谷さんが本当にそのウルトラマンに合っている声を選んでいるんだと思わされて。そういう意味では、その中に選んでいただけたことが自分自身すごく嬉しいです。
──ピッタリな配役なんですね。
仲村:聴いていてビタッとハマっているなと思います。
──ほかの方の演技で印象深いところはありましたか?
仲村:アブソリュートティターンが印象的です。僕自身、すごく低い声というわけではないので、ああいう低い声を聴くと痺れちゃいます。
夢を追う子供たちへアドバイスするなら?
──今、声優を目指している子供が増えていると聞きます。この作品も子供たちがたくさん見ると思いますが、声優をはじめ夢を追う彼らになにかメッセージはありますか?
仲村:声優に限らず、なにかを目指したり、夢を見ることは誰にも制限がないので、いくつあっても良いと思うんです。僕は小学生の時、体育の先生とか、スポーツ選手とか、その時々で色々なものに本気でなりたいと思っていました。
そして、色々なことを通して成長していく中で「これをやりたい」と思えることの大切さが段々身に沁みていって。あの時思い描いたことと今やっていることは違うんですけど、それは新たな「なりたいもの」を見付けた結果なんです。
みんなが一生懸命なにかをすることは本当に素晴らしいことなので、なんにでもチャレンジしてほしいです。でも、それだけではなく、もっと色々なことにもチャレンジしてほしくて。そうしていく中で新たにやりたいことが見付かるはずです。できるだけ新しいことを拒否せず、色々なことを受け入れていけばもっと成長するんじゃないかなと思います。
──声優を目指している小学生はまずどんなことに挑戦すべきですか?
仲村:声優というのは人物とか人外とか、色々なものを演じさせてもらえます。なので、技術はもちろんなんですけど、色々な人とコミュニケーションをとって想像の幅を広げたほうが良いかなと。その結果、色々な役を演じられるんじゃないかなと思います。
──なるほど。
仲村:色々なことを好きになって体験することで、その経験がいつか役立つはずです。経験値をいっぱい増やすことが大切だと思います。
──とにかくチャレンジですね。
仲村:僕自身、そのおかげで今に繋がっているんじゃないかなと思います。