春アニメ『群青のファンファーレ』牧皐汰役:小林千晃さんインタビュー|久しぶりに苦戦した役!? 厳しい世界だからこそキャラクターの個性や成長が輝く物語【連載7回目】
声優業界と通ずるものがある競馬学校
——8人の新入生たちが騎手を目指しながら切磋琢磨する3年間が描かれます。キャラクター同士の関係性も見どころですが、小林さん演じる牧皐汰はどのような立ち位置なのでしょうか?
小林:みんなの間を取り持つバランサーのようなポジションです。すごく気配りができる子で、優(CV:矢野奨吾)と秋樹(CV:糸川耀士郎)がちょっとピリついたときにも間に入って和ませたり。そういう場面が結構あるので、誰かと皐汰が仲が良いというよりも仲裁役的なポジションにいるのが面白いところかもしれません。
——個人的に、霜月えり(CV:水瀬いのり)とのやり取りがすごく面白かったです。
小林:あ~!確かに。えりは皐汰に対して軽口をたたいてくれるというか、そこに皐汰が弱音を吐いたりして、お姉さんと弟みたいな感じで可愛らしいですよね。
——小林さんから注目してほしいシーンや見どころなどをお聞かせください。
小林:競馬学校なので騎手として晴れ舞台でレースしてというような華やかなシーンは、前半はそんなに描かれないです。
騎手になるための訓練を淡々としていくので、華々しいレースとは違って地味に映るかもしれませんが、その晴れ舞台に立つまでの過程でリアルさを感じられるかと。その中で、みんながちょっとずつ成長していく様が注目ポイントです。
すぐ馬に乗れなかったり、最初は仲が悪くてもみんなが仲間になっていくなかで、誰が騎手になれるのか、どう成長していくのかも注目してもらいたいです。
——青春群像劇ではありますが、競馬業界ならではのシビアな面も描かれていますよね。
小林:そうなんです。本当にシビアで……もしかしたら、声優学校に近いかもしれません。
——というと?
小林:養成所のことは詳しくわかりませんが、今は声優を目指す方がたくさんいらっしゃいますし、それだけ多くの方のなかで毎年数人しか事務所に所属できないという話を聞きます。
養成所によっては週5で訓練したり、お芝居以外にも日舞やダンス・歌などの勉強をしても声優になれない子がたくさんいて。そういう話を聞くと、厳しい競争率の中で戦って所属して、また声優業界の中でも戦っていくという意味では、ちょっと競馬学校と似ているのかなと思います。
——確かに……競争率が高い世界だと、普通の努力では生き残れないですし、何度も壁にぶつかりそうですよね。今まさに声優として活躍されている小林さんは、壁にぶつかったときはどう乗り越えてきましたか?
小林:……どう乗り越えてきたんでしょう(笑)
一同:(笑)
小林:自分が好きでやっていることに対して、辛い、大変と思ったことがなくて。楽しくやり続けていることが大きいのかなと、ふと思いました。
オーディションに受からないときもありますし、頑張るのは当たり前ですが、どう頑張っても選ぶのは向こう側ですから、そこは割り切っているような気がします。
だからこそ、オーディションに挑む前に自分でできることはしますし、オーディションを受けている間でもこの役をこの世界で全力で楽しもう!と。
僕が所属している事務所は養成所はありませんが、研究生として頑張っていたときは、正式に所属できるかわからなくてもその瞬間を楽しもうと思っていました。
オーディションに落ちることが圧倒的に多いですし悔しいこともありますが、向き合った時間が無駄になることはないですし、他で生かせることもあります。
そういう意味で楽しんだもん勝ちなのかな、と思います。
——お話を聞いていて、自分も楽しもうと心に決めました……!
小林:あはははは(笑) でも本当に1つの仕事でもいろいろありますし、良いところを見つけて、そこで楽しんでできたら良いなと思っています。