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『Sonny Boy』――アニメを「言語」として楽しむ【GWはアニメを見よう!】

【GWに見てほしいおすすめアニメその10】『Sonny Boy』――アニメを「言語」として楽しむ【GWはアニメを見よう!】

ついに待ちに待った大型連休であるゴールデンウィーク(GW)が幕を開けました! みなさんはどんな休日をお過ごしでしょうか? 今年のGWは最大10連休の方も多いと聞いています。

そんなに長い余暇時間があるなら、アニメを見てはいかがでしょうか? それも、普段見ないような作品を。

今回の企画【GWはアニメを見よう!】では、アニメイトタイムズで活躍するライター陣が個人的に好きで見てほしいアニメをチョイスし、おすすめするだけのなんとも見切り発車なスペシャルプログラムをお届けします!

しかし、出揃った作品はどれも一級品ばかり。絶対に後悔はさせません! ぜひ、ライターによる解説を参考にアニメを見てみてくださいね。

本稿では、2021年に放送されたアニメ『Sonny Boy』をご紹介! ライターは、タイラさんです。それではどうぞ!

目次

アニメを「誰かを理解するツール」として楽しむ

皆さんは普段、どのようにアニメを楽しんでいますか?

キャラクターを愛したり、伏線に心を踊らせたり、アニメ作品にはたくさんの楽しみ方が存在します。

本稿ではアニメ作品を「誰かを理解するツール」として楽しむ、意思疎通を行う「言語」のような楽しみ方をご紹介したいと考えています。

「紹介」と言うよりは私がとある作品を好きでたまらなくて、「なぜ好きか」「なぜ楽しめるのか」を考えた結果、「アニメを通して他者を理解することが楽しかった」ということにたどり着いたんです。人間が全てを理解し合えることはかなり難しいことなんですけどね。

今回はその過程や醍醐味を言葉にしたいと思います。紹介というにはおこがましいので、体験記だと思って読んでいただけると嬉しいです。

「アニメオリジナル作品」の楽しみ方

上記で触れた私が好きでたまらない作品、それは2021年夏に放送されたTVアニメ『Sonny Boy(サニーボーイ)』です。第25回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門の優秀賞を受賞した作品です。

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Sonny Boy
長い長い夏休みも半ばを過ぎた8月16日。学校に集まっていた中学3年生・長良〈ながら〉たちは突然、思いも寄らない事態に巻き込まれていた。長良自身はもちろんのこと、謎の転校生・希〈のぞみ〉や瑞穂〈みずほ〉、朝風〈あさかぜ〉ら、36人のクラスメイトとともに、学校が異次元に漂流してしまったのだ。しかも彼らは、漂流と同時にさまざまな《能力》を入手。人知を越えた能力に大喜びし、好き勝手に暴れ回る者もいれば、リーダーとして他の生徒たちを統率しようとする者も、元の世界に戻るための方法を必死で探す者もいる。渦巻く不信や抑えきれない嫉妬、そして支配欲からくる対立。次々と巻き起こる不可解な事態を前に、少年少女たちは突如として、サバイバル生活に放り込まれてしまう。果たして長良たちはこの世界を攻略し、無事に元の世界に帰ることができるのだろうか……?作品名SonnyBoy放送形態TVアニメスケジュール2021年7月15日(木)~10月1日(木)TOKYOMXほか話数全12話キャスト長良:市川蒼希:大西沙織瑞穂:悠木碧朝風:小林千晃ラジタニ:後藤ヒロキ明星:内藤有海ポニー:佐藤はなキャップ:上田燿司はやと:山本祥太上海:荻野佳奈あき先生:加隈亜衣やまびこ:津田健次郎ヴォイ...

『ワンパンマン』、『スペース☆ダンディ』などの監督を務めた夏目真悟監督が、脚本、演出、絵コンテ、原作、監督という主要なほぼ全てを務めた“オリジナルアニメ”(アニメ原作作品)となっています。

私は以前からオリジナルアニメに非常に惹かれるところがありました。『新世紀エヴァンゲリオン』『ゾンビランドサガ』『もののけ姫』(宮崎駿さん本人の原作はありますが、お話はまるっと変わったのでオリジナルということで)など魅力的に感じる作品はオリジナルのものが多かったのです。

今回紹介する『Sonny Boy』もその一つ。しかも脚本まで夏目監督によって書かれているオリジナルの純度が高い作品です。アニメは集団で作っていくものなので、夏目監督だけの手柄だ!ということではなく、作品の中に夏目監督の存在が強く感じられるという話ですね。

その存在感に比例して本作は、表現の新しさや独自の世界観に溢れており、比較的にみると「挑戦的」といえる作品でしょう。

もしかするとアニメのお話的には、理解が難しかったり好みに合わないこともあるかと思います。実際に私も『Sonny Boy』をなんとなく気になるから、という理由で視聴を続けていました。

ですが第11話を観た際に感動して涙が止まらなかったのです。特にストーリーを完璧に理解しているわけでもない、好きなポイントが明確なわけでもないのにです。

そこでもう一度全部見直して、考えてみると私が「夏目監督のメッセージに共鳴したのでは?」と思えるようになりました。

創作物には作者のコンプレックスや悩み、社会などに対する問題意識、感性などが詰まっています。漫画や小説のような基本的には1人で生み出すものや、監督が一から関わった映画作品などもそうです。

それは「オリジナルアニメ」にも同じ事が言えて、『Sonny Boy』にもそういうものが散りばめられていた。

全部は理解できないけれども、監督の言いたいことのいくつかが私に刺さり強く感動したのです。

このように作者の意図を模索しながら、バックグラウンドや思想を想像して自分と照らし合わせてみる。それによって作品や監督を【理解】(正確にはわかった気になる)する事で感動したり楽しむこともできるのではないでしょうか。

人間は誰かを理解したり、新しいことを知ると楽しいと感じます。それをアニメを使って行う楽しみ方です。

もちろんこれは原作のあるアニメ作品でも十分に楽しめます。決してオリジナルアニメだけの楽しみ方ではありません。ただ作った人の顔が認識できると、より理解する気持ちよさ、共感できる喜びが増えるかと思います。
 

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