『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』物語中盤まで裏話も交えつつスタッフ陣が振り返る|絶望感のその先に何があるのか、クライマックスへ向けての後半戦が始まる――
2022年4月より放送中のTVアニメ『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』。
カルト集団<教育機関>のスマイリーを打ち破ったエンプレスたち。だが、まだ怪しげで強大な力を持つルナティックの脅威が残っていた。後半は、どのようにしてこのような世界になっていったのかなど、多くの謎も明らかになっていくことだろう。
今回は『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』の後半戦を前に、再び脚本の深見真さんとプロデューサーの篠原宏康さんに、これまでの物語を振り返っていただきつつ、今後の展開についても語ってもらった。
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――物語も折り返しとなりましたが、この作品で描きたかったテーマというものはどんなものなのでしょうか?
篠原宏康さん(以下、篠原):3人のキャラクターが何を目的に生きて戦っていくのかというところを、明確に表現せずとも感じてもらえるようなものにしたいと思いました。
地球を守るために戦っているのですが、それを本人たちはあまり意識はしていないんです。正義の味方と思ってやっていないところがうまく表現されると、見ている人には切なさを感じてもらえるんじゃないかなと思います。そんな3人のキャラクターを、深見さんがうまく料理してくれたので、そのテーマはより生かされているのかなと思います。
深見真さん(以下、深見):自分はhuke先生の原作の絵から受けた刺激を元にストーリーを考えていたのですが、最初に意識したのは『オズの魔法使い』でした。全員がちょっとずつ何かが欠けているっていう。で、足りないものを埋めるために旅をしていて、その足りないものが埋まっていくたびにカタルシスがあったらいいなと考えていました。
――それぞれ感情のどこかが欠けている感じはしていましたし、それについてはキャストの皆さんもインタビューで指摘していました。エンプレス、デッドマスター、ストレングスには、もともと大まかな設定はあったのですか?
深見:それは基本的に全部、huke先生の頭の中なんですよ。
篠原:そうですね。それを聞きながらやっていく感じでした。
深見:聞くと出てくるんですよ。「こういうことはしないです」とか「これはこのためのものです」とか。デッドマスターはこうあってほしいとか、ストレングスはこうあってほしいというのが、明確に先生の中にあるんですよね。
――そこを聞きながら進めていけたのですね。
深見:シナリオ会議にいてくれたので、その場で聞くことができたんです。
篠原:会議には全部出てくれていましたので。
深見:その場で意見をくださるのは、本当に助かりました。
篠原:たまに「どうしようかな~」って悩みながら決めていくときもあるという。細かいところまでは決めていないところもあるんでしょうね(笑)。
――ストレングスのアームが外れると人格が変わるというのは?
深見:それは確か天衝監督からのリクエストもあったんですよ。気弱になるところまでは自分が決めた気がしますけど、口調まで変えてほしいと。舌っ足らずなしゃべり方とかは監督からの要望だった気がします。
篠原:だから今作はhukeさんと深見さん、そして天衝監督のイマジネーションが全部集結していて、クリエイターの魅力はすごく出ていると思います。
深見:イマジネーションという言葉にすると聞こえはいいですけど、3人の性癖とかも入っているから、3人の人間のイヤなところも一緒に入っているということなんですけどね……(笑)。
――ちなみに、制作面で挑戦したことなどはあったのでしょうか。
篠原:CGと作画のミックスというところで、CGを多用することは、バイブリーアニメーションスタジオ/バイブリーアニメーションCGさんも初挑戦でした。作画のところでは以前から定評があるんですけど、今回はCGを使って、アクションシーンやキャラクターを動かしていったので、そこはかなり試行錯誤を繰り返しながら、あのスピード感のある迫力のアクションシーンを作っていたのだと思います。
――アクションは本当に素晴らしかったです。
篠原:アクションシーンはやはり今作の目玉ではあると思います。そこにプラスしてキャラのかわいらしさをところどころで出しているところが素晴らしかった。
あとは、ブラックトライクっていうバイクが出てくるんですけど、それもカッコ良かったですね。各キャラクターに合ったビークルを付けようということでできたんですけど。
――それらは新しくデザインされたのですか?
篠原:そうですね。hukeさんが新しくデザインしてくださって。メカデザインはhukeさんも深見さんもこだわっていましたよね?
深見:自分は要望を出したというか、こういうシーンがあるのでっていうところですね。むしろ天衝監督が「じゃあこういう感じですか」ってアイデアを出してくれるんです。
たとえばデッドマスターの武器をスナイパーライフルにしたいというのがhuke先生から来て(※もともとは大鎌を武器としていた)、自分はそこから脚本を書いていき、バイクがそのまま射撃をするときの台になっているといいなって話すと、天衝監督が座席が回転するようにできないですか?って話をされるんですけど、僕はあんまりピンとこなかったんですよ。
そう思っていたけど、第1話の冒頭のデッドマスターのバトルシーンを見たら「こういうことか!」って。さすがプロだなぁと思いました(笑)。だからhuke先生がいて、自分が脚本を書き、天衝監督が形にしていく中で、どんどん面白くなっていったんです。
――また、OP&EDテーマや劇伴も素晴らしかったですね。
篠原:歌については監督も“ロック”にこだわっていたし、劇伴にもこだわっていたので、音楽面でのサポートはすごく大きかったと思います。
通常OPテーマとEDテーマって、アップテンポとバラードみたいになることが多いんですけど、今回は両方ともロックチューンを持ってきていて、しかも生音に活かした曲にしてほしいという監督からのリクエストもあったんです。そこは制作するほうとしては大変だったと思いますが、結果良い楽曲ができたと思います。
劇伴もすごくカッコ良くて海外ドラマっぽい音というか、シチュエーションに合った音楽というより、違和感を与えるような音楽を裏に流していく感じで、その違和感をテンションにしていくやり方だったんです。それは日本のアニメの劇伴の作り方とは違うので、そこも注目してほしいです。