『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』物語中盤まで裏話も交えつつスタッフ陣が振り返る|絶望感のその先に何があるのか、クライマックスへ向けての後半戦が始まる――
絶望感のその先に何があるのか、クライマックスへ向けての後半戦が始まる
――第6話までで印象的だったシーンを教えてください。
深見:自分は脚本家なので会話が好きなんです。なので第2話くらいから会話劇をやれたし、大佐の言葉遣いの悪さとかは書くのも楽しかったです。
あとは第3話のオチにはビックリしましたね。放送前の対談で、天衝監督のブレーキが壊れていたという話をしましたけど、このあたりから壊れ始めていましたね(笑)。「ここをもっとひどくできませんか」というオーダーが来ていて。普段は僕が止められるほうで、「ここは何とか抑えめにできませんか」と言われるんですけど、逆のことを言われるとは思わなかったです。
――スマイリーに女の子たちが爆破されてしまうシーンでしたが、あそこは確かにショッキングでした。
深見:最初はもう少しソフトな感じだったんです。でももっとエンプレスを傷つけましょうと。
――少女の手を持って立っているところがありましたが、あそこまでの衝撃があったからこそ、彼女の心にも何かが芽生えたような感じがしました。
深見:そうですね。それだけに、自分も完成形を見たときはこれしかないなと思いました。
それと物語的には大きな謎は残るけど、第6話でひと区切りつくような構成にしていました。個人的には24話を12話に縮めたくらいの感覚なので、普通のアニメなら12話かけてやることを6話に詰め込んだという感じで作っていきましたね。
――スマイリーを倒すというところまでが前半ですね。
深見:そうです。自分の中ではそこで1クールが終わり、ただまだ敵は残っているしというところで、次の興味を引きつつ、12話のラストまで行くという感じです。
――篠原さんはどこが印象に残っていますか?
篠原:前半はキャラクターたちに、どんな心情の変化が生まれるのかというところが描かれていたと思うんです。大佐には3人をコントロールする役割があって、そのあたりの人間関係が面白くなっていたんじゃないかなと思います。ロードムービーのように、前半は移動しながら、そのときに出会った人たちとのエピソードがあるので。
後半はどんどんスケールが大きな話になっていくので、人との出会いというより、巨大なものへ立ち向かっていく決意が必要になってくるんです。なので前半に関しては、人間味溢れる感じというか。エンプレスたちは人間ではないんですけど、周りとの関係を通して、人間的な感情をどう養えるのかというところと、その成長が見られたところが印象には残っています。
――個人的に、モニカがかわいいと思ったのですが、彼女にはどんな役割を担わせたかったのですか?
深見:モニカはよくしゃべるキャラクターなんですね。エンプレスって、あの絵を見ても分かる通り、絶対に無口じゃないですか(笑)。だからよくしゃべるキャラクターを置きたかったんです。
篠原:峰不二子とかキャットウーマンのような女性を意識して。
深見:ちょっと悪い感じですね。
篠原:そうそう。お金とかには興味があるんだけど、仲間なのか信用しちゃいけないのか、ちょっと分からない、みたいな。そういう飄々としたキャラクターがいいよねっていうところから生まれたんですけど、すごく魅力的なキャラクターになりました。
――では役者の演技を見た感想もお聞かせください。
篠原:それについては天衝監督が中心になってやってくれていたんですけど、エンプレスはピュアというか、あまり自分の意思がなくて、目的意識や、その場の義務感で動くキャラクターなんですね。そういう意味では石川由依さんはすごくマッチしていて、そのピュアさというか、雑念のないところをうまく演じてくれていたなと思いました。
深見:3体とも演じにくいというか、難しいキャラクターだと思うんですけどね(笑)。エンプレスは基本的には無口で無感情、でも脚本を読むと変なところで頑固だし、意志も強いんですよ。だからただクールなだけではないという。デッドマスターもおかしいのかおかしくないのかよく分からなくて、正気と狂気の合間にいる感じだし。
篠原:アナーキーなキャラですよね。
深見:さらにストレングスは粗暴なキャラかと思いきや二面性があるから、それぞれひとクセあるんですけど、アフレコを聞いていても、すごく良かったんですよね。
――3人の役者の持ち味がすごく出ていると思いました。
篠原:非常にキャラクターにマッチした演技をしていただけて、良かったなと思います。
――ここからは後半に突入していきます。
深見:後半は図書館が舞台になるところから始まるんですけど、そこでSF要素が高くなるんですよ。この世界のことが明かされていって、終盤には、放送前の対談で言っていた「SF的などんでん返しがほしい」という意味が分かるのかなと思います。
――敵となるシャーロットやルナティックと、どんな戦いをしていくのかも楽しみです。
深見:シャーロットは結構監督の要望が多く入っているキャラクターなんですけど、ルナティックに関しては、特に終盤を楽しみにしていただければと思います。
篠原:最終的に、かなり強大な感じになっていくので。
深見:監督とよく話していたのは絶望感がほしいというところで。そこからどうなっていくのか、その展開にハラハラドキドキしてほしいです。結果的にどうなるかは見てのお楽しみなんですけど。
でも、監督がこだわりを持っていた絶望感って、huke先生の絵にすごく合っているとは思いました。
篠原:最終的に、見ている人が考えさせられるラストになっていると思いますので、お楽しみに。
[文・塚越淳一]
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TVアニメ「ブラック★★ロックシューター DAWN FALL」作品情報
闇を駆ける星、運命を撃ち抜け
あらすじ
西暦2062年。労働力の大幅な自動化プロジェクトの失敗後、その中核となる人工知能アルテミスが人類との戦いを選んだ末、荒廃した二十年後の地球。
とある基地の地下研究施設で、ひとりの少女、エンプレスが目覚める。彼女は人類の守護者3人の生き残りのうちのひとりであった。
しかし彼女には以前の記憶がない。そんなエンプレスに平和構築軍の大佐は告げる。エンプレスには、現在、アルテミスが建設中の月と地球を結ぶ軌道エレベーターを完成前に破壊する使命があることを。完成すれば月で大量生産中の巨大機械軍が大挙して地球へやってくるからだ。
だが、その行く手を仲間であったはずのデッドマスターやストレングス、アルテミスの手先である無人軍隊やカルト集団<教育機関>のスマイリーらが阻もうとする。
さまざまな思惑が交差する中、大佐らと軌道エレベーターを目指して進んでいくエンプレス。その先で待ち受けるものとは……。
放送情報
2022年4月3日 地上波TVアニメ放送、ディズニープラスにて見放題独占配信!
TOKYO MX:4月3日(日)23:00~
サンテレビ:4月3日(日)24:30~
KBS京都:4月3日(日)24:00~
テレビ愛知:4月3日(日)26:05~
BS11:4月3日(日)23:30~
アニマックス:4月9日(土)21:30~
ディズニープラスにて見放題独占配信
スタッフ
原作:ブラック★ロックシューター
監督:天衝
シリーズ構成・脚本:深見真
シリーズ構成協力・脚本:吉上亮
キャラクター原案:huke
コンセプトデザイン:友野るい、石渡マコト(ニトロプラス)、太田幼女(ニトロプラス)
キャラクターデザイン/総作画監督:野中正幸、中川耀
アニメーション制作:バイブリーアニメーションスタジオ、バイブリーアニメーションCG
製作:ブラック★★ロックシューター DAWN FALL 製作委員会、UNLIMITED PRODUCE by TMS
オープニングテーマ:「ASEED」ZAQ
エンディングテーマ「Before the Nightmare」高槻かなこ
キャスト
エンプレス(ブラックロックシューター):石川由依
デッドマスター:早見沙織
ストレングス:潘めぐみ
大佐:桐本拓哉
モニカ:朝井彩加
ブラックトライク:久野美咲
ノリト:堀籠沙耶
ミヤ:伊藤あすか
ルナティック:友永朱音
スマイリー:杉田智和