アニメ『恋は世界征服のあとで』OP主題歌「恋はエクスプロージョン (feat.田村ゆかり)」シングル発売記念 オーイシマサヨシ ロングインタビュー|「 アニソン界のおしゃべりクソメガネを自称する僕と、王国の姫という、身分の違いがあるふたりがデュエットすることが面白いんじゃないかと」
アニソンシーンで活躍中のシンガー・オーイシマサヨシさんが、8thシングル「恋はエクスプロージョン (feat.田村ゆかり)」をリリースしました。
本作は、2022年4月8日(金)より、AT-X、TOKYO MX ほかにて放送・配信中のテレビアニメ『恋は世界征服のあとで』(原作:野田宏/漫画:若松卓宏)のオープニング主題歌。カップリングには、盟友・加藤純一さんの結婚式披露宴の為に書き下ろしたウエディングソング「しあわせチャンピョン」のバンドアレンジバージョンが収録されています。
昨年は役者としてのデビューを果たしたり、最近はヴィレッジヴァンガードの共同プロジェクトで「オーイシマサヨシ量産化計画」を行ったりと、多岐にわたる活動で注目を集めているオーイシさん。エンターテイナーとして華やかに活躍する一方で、コロナ禍の閉塞感から「スランプに陥っていた時期があった」と語ります。スランプ脱出後、しばらくしてから辿り着いた「恋はエクスプロージョン (feat.田村ゆかり)」。コロナ禍におけるライブ、スランプへの向き合い方、楽曲の制作エピソードに、オーイシさんの音楽に対する真摯な姿勢を改めて感じました。
配信ライブを経ての有観客ライブで感動
――まずは近況からおうかがいさせてください。前作「インパーフェクト」および「ロールプレイング」以来約1年2か月ぶりのシングルリリースとなります。前作からの期間を振り返ってみるとオーイシさんとしてはどのような変化がありましたか。
オーイシマサヨシさん(以下、オーイシ):街中で声を掛けられないキャラクターとして定着してきたんですが、少しだけ変化がありましたね。オーイシマサヨシのような見た目の人って全国にたくさんいるから、何も言わずとも影武者たちを解き放っている状態なんですよ。SNSでそれをネタっぽく扱ってきたんですけど、ありがたいことに、さすがに少しずつ街中でも声を掛けられるようになって、本当に下手なことはできないなと……と、思っている1年2か月でした(笑)。
――あははは。他には?(笑)
オーイシ:皆さんそうだと思うんですけど、コロナ禍になってから、興行の立ち位置、開催の仕方などを皆さん工夫されていて。その中でもやれること、やれないことがたくさんあったと思うんです。例に漏れず、僕もそのひとりです。コロナが決して落ち着いたわけではないですけど、だいぶ付き合い方が分かってきて、最近は有観客ライブもできるようになって。この1年2か月で世の中の流れが変わってきたなと思っています。自分のやりがい的にも変わったかなと。
――やはり、やりがいにも変化があるものですか。
オーイシ:そうですね。やっぱり配信ライブ、リリースだけという状況だと、目の前にお客さんがいないので、藁を掴んでいるような感覚があったんです。
――オーイシさんはもともとライブハウスで切磋琢磨されてきた方だから、思うこともたくさんありそうです。
オーイシ:軒並み僕のまわりのバンドマンたちは戸惑ってましたね。配信ライブだとバンドの良さが出ないこともあって。僕もオーイシマサヨシとしてのライブは「お客さんいじってなんぼ」のスタイルでやってきたので、いじるお客さんが目の前にいないというのは不安もありました。ただ、僕の場合は幸いなことに、インターネットに特化しているお客さんが多いこともあって、コメントを拾って皆さんをいじるってことができて。新しいライブの形を見出すことができたなと。でも目の前に人がいないのにツッコむのって……極端に言ってしまえば、ただの独り言じゃないですか(笑)。
――確かに。
オーイシ:「画面の先にお客さんがいる」と、自分をいかに持っていけるかどうか。その意識の問題は難しいところでした。
――オーイシさんが思いっきりいじられる側に転じたのが、オンラインライブの「世界が君を必要とする時が来たんだ」、通称1000円ライブだったと思います。「う◯こというコメントでも大歓迎!」と事前にアナウンスされていて。
オーイシ:ああ、そうかもしれませんね(笑)。通常ライブだと、ライブ演奏中に「オーイシ歌うめえ」とか「う◯こ」とか言ってたら、ただのヤジになるじゃないですか。でもテキストで無音だからこそ、音の邪魔にもならないし、盛り上がって見えるというか。あれは計算していないマジックでした。あれだけ人が集まったということもそうですけど、オンラインでもこれだけ盛り上がれるんだって。
あと、あのライブを無料ではなく、1000円にしたのは……ライブってただで見るより、お金を多少払うほうが価値があるような気がするんです。チケットを買うという行為も思い出になりますし。それの最低限というか。興行の試算も含めて値段を設定しました。毎回できるライブではないと思ってはいたので、みんなで打ち上がれてよかったですね。
――オンラインライブの新しいカタチを見出した2021年。そして、昨今は有観客ライブが増えてきましたね。
オーイシ:皆さんを目の前にして歌うと「ちゃんと音楽が届いているんだな」と実感します。中には「久しぶりに音楽を浴びれた」と泣いてくださるお客さんもいて、そういう姿を見て感動しました。
――まさに今(インタビュー現在)「オーイシマサヨシ Zeppワンマンツアー2022」中ですし。
オーイシ:そうですね。Zeppツアーは、お客さん側がコロナ禍でのライブの立ち振舞に慣れていて。言わずもがなルールを守ってくれています。その中でアーティスト以上にライブを楽しんでくれている感じがありますね。