夏アニメ『異世界おじさん』おじさん役 子安武人さん×エルフ役 戸松遥さん×メイベル役 悠木碧さん×アリシア役 豊崎愛生さん、アフレコでされた変わったディレクションとは|《異世界組》声優座談会
アフレコでの変わったディレクション、異世界のおじさんと現実でのおじさんで演じ分けも
――アフレコは、一緒にできていたようですね。
戸松:現代側も聞いていましたけど、絡むことはないので、現実世界の絡みを後ろで座って、楽しみながら見ていました。
――子安さんは基本的に1人のブースで、声を聞きながらリアルタイムで演技をしていく形だと伺いましたが、それはやりやすかったですか?
悠木:やっぱり笑っちゃいます。しかも私、耳の中に入れるタイプのイヤホンを使っているんです。だからおじさんがじるじる吸っていたりする音を聞くと、うわ~~ってなるという。
戸松:わかる!
子安:また、そこのことか!!(笑)。
悠木:脳を吸われている感じがしますよね。あと、ゼーハー言っているおじさんとか。
戸松:息遣いもすごい!
子安:それも「もっと変態で」って言われるんだもん(笑)。子安、楽しそうにやっているなって思うかもしれないですけど、僕は必死です。
――その息遣いも、同じブースで収録していたら別録りですから、そこは良いところでもありますね。
子安:ただ、村の人たちとか、ほかのゲストの声とかも聞こえるから、モノローグとかの場合、ちょっと黙っててくれないかなって思うときはありますけどね(笑)。自分の音がわからないから。
豊崎:でも、こういうギャグの会話のテンポ感って、バラバラに録る弊害が一番あると思うんです。
――食い気味にツッコむとかもできないですからね。
豊崎:そうですね。人を笑わせることって一番難しいから、別録りでやるのは難しいなと思うんですけど、子安さんとの掛け合いではテンポが生まれるので、こう来てくれたからこう返そうとか思えるので、すごく助かりました。
――そのくらいどちらの世界も、おじさんとの掛け合いが大事だということですね。
子安:そうそう。おじさんって異世界と現実世界を行ったり来たりするんですけど、異世界では年齢が少し若いんですよ。現実では37歳、異世界では20歳前くらいなので、どうしたらいいんだろうと思ったんです。
ただ、絵的には髭がない以外はまったく同じと言っても過言ではないくらいだから、そのまま同じ声でやったほうが面白いんじゃないかなって思っていたんですよね。なので、最初に「声は変えなくていいんですよね?」と聞いてみたんです。そうしたら、「若い感じが出せるほうがいいな」ということで、そうなんだ!と。
アニメでは世界を行ったり来たりするし、あまり若い声を作ると戻れなくなってしまうと思ったので、その匙加減はすごく難しかったです。自分の中で気持ち若い感覚とおじさんっぽい感覚でやっているんです。
悠木:異世界にいるおじさんのほうが、反応が初々しくてかわいらしいところがありますよね。
子安:ホントですか! ありがとうございます!!
悠木:メイベルを演じているうちに、いつの間にかおじさん堕ちしてかわいく感じているのかなって思ったんですが、今のお話を聞いて、やっぱり年代を意識されていたんだとわかり感動してます!
豊崎:異世界と現実で年齢感も違って、さらにモノローグもあるから、子安さんは大変ですよね。
子安:けっこう大変なんですよ。意外と分けてくれなくて、ザーッと流して録っているから。
戸松:たまに本番で戻れなくなっていますもんね(笑)。
――やっぱり、皆さんと一緒のブースでないことは、寂しいのですか?
子安:顔を見ながら芝居できないのは寂しいですよ。隣に気配を感じてやったりするじゃないですか。どういう顔をしてやっているのかな? 楽しそうだな?とか。そういうのがまったくないから、それを感じられないのはちょっと寂しかったですね。
――少し話題を変えまして、記憶を消す魔法「イキュラスキュオラ」というのが出てきますが、皆さんがイキュラスキュオラしたい思い出などはありますか?
豊崎:いっぱいあるけど、だいたい言えないなぁ(笑)。
悠木:もう消しているっていうところは、あるかもしれない。
豊崎:「イキュラスキュオラ」をもう使えてるんだ(笑)。たぶん私も「イキュラスキュオラ」を使えるから、だいたい消えているかも(笑)。
悠木:中学の頃に作っていた二次創作のホームページがあったんですが、パスワードも忘れているからログインもできず、消せないでいたんです(笑)。ずいぶん前ですがそれが、サーバーごとサービス終了しまして、世界的にも消滅したから、ネットからも「イキュラスキュオラ」されました。寂しさはありつつも、正直ほっとしています…(笑)
豊崎:細かいことはいっぱいあるんです。タクシーの運転手に「お母さん」と言ってしまったり、バスを降りるときに「ごちそうさまです」と言ったり……そういうのもかなりあるんですよね。
あとは、声優になった当時のレッスンノートを今でも残していて、何冊にも及ぶんですけど、ラジオをやるときに、フリートーク用に一言一句しゃべることを1時間分書いていたんです。それが本当に今見ると、目も当てられなくて(笑)。見方によれば微笑ましいですけど、自分のポエムノートみたいなものなので人には見せられないです。結果、いい思い出ではあるんですけど(笑)。
戸松:私は完全に酔っ払ったときですかね。20代の頃は酷かった……。普段話せない方と飲めるとテンションが上ってしまって、わりと迷惑をかけてしまったので、帰りのタクシーで、「今日はありがとうございました。楽しかったです」と送ったつもりが、翌日見たら誤字だらけで……。「あるごてーごぜーごんさ」みたいな(笑)。とんでもないメッセージだったんですけど、それを「面白かったからいいよ」って許してくださったので良かったですけど、個人的には消したい過去です(苦笑)。
豊崎:それは本当に消したいやつだね(笑)。人に歴史あり!
――では最後に、TVアニメ『異世界おじさん』を楽しみにしているファンの方へ、メッセージをお願いします。
悠木:おじさんとのキャッキャウフフ、ワクワクドキドキな、スーパーハーレムをお楽しみあれ!
子安:僕にとっては拷問なんですけどね!
悠木:え~! こんなに好きなのに!(笑)
戸松:まさに、こんなに好きなのに!ですよね。だからコントなんです。お互い真っ直ぐに見ているけど交わらない。おじさんは嫌がらせをされていると思っているし、エルフはツンデレ要素が強いから素直に表現できずに、それがすれ違いになったりする。ただ、指輪をもらっている仲で、そのあとに嫉妬の展開があったりするので、そのときのエルフのブチギレっぷりは振り幅として楽しんでほしいです。かわいいツンデレエルフと、嫉妬に狂ったときの闇落ちしたエルフが別人みたいなので。
豊崎:本当に楽しい現場で、にぎやかに作っている作品です。異世界側も個性豊かなキャラクターしかいないので、皆さんもぜひおじさんと一緒に冒険を楽しんでいただけたらと思います。
アリシア的には勇者のパーティーのエドガーやライガをはじめ、豪華なキャストの方々と一緒に楽しくアフレコをしています。原作をご存知な方は、お芝居も楽しみにしていただけたらと思います。ただただ楽しんでいただければと思うんですけど、最後に、コミックスを持っていない方は、きれいな装丁の本なので、本も手にしていただけたらと思います!
子安:とにかく女性陣が面白いんです! このアニメは。なかなかほかのアニメでは聞けないお芝居を皆さんが楽しそうに頑張って、リクエストに答えながらやっているので、それを聞いていただきながら楽しんでもらいたいなと思っております!
[文・塚越淳一]
声優座談会
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画像をクリックすると、関連記事にとびます。TVアニメ『異世界おじさん』作品情報
2022年7月6日(水)より、BS11、TOKYO MX、AT-Xほかにて放送開始
イントロダクション
2017年秋――。17歳のときにトラックにはねられ、それから17年の間ずっと昏睡状態だった叔父が目覚めた。
病室を訪れた甥のたかふみが目にしたのは、意味不明な言葉をつぶやき、異世界「グランバハマル」から帰ってきたと話す叔父の姿だった。
……叔父さんは、頭がおかしくなっていた。
絶句するたかふみだったが、おじさんは異世界にいた証拠を見せると言って魔法を使う。おじさんの力を金にかえて食っていこうと心に決めたたかふみは、身寄りのない彼を引き取りルームシェアを始めることに。
おじさんとの生活の中で聞かされる、異世界での冒険譚と溢れんばかりのセガ愛。孤独で過酷なおじさんの半生に、時には歓喜し時には胸をいためるたかふみ。
動画配信業に勤しむ世代の離れた男二人、団地の片隅にて繰り広げられる、新感覚異世界コメディ!
スタッフ
原作:殆ど死んでいる(WebComicアパンダ連載/KADOKAWA刊)
監督:河合滋樹
シリーズ構成・脚本:猪原健太
キャラクターデザイン・総作画監督:大田和寛
アニメーション制作:Atelier Pontdar
キャスト
おじさん:子安武人
たかふみ:福山潤
藤宮:小松未可子
エルフ:戸松遥
メイベル:悠木碧
アリシア:豊崎愛生
エドガー:鈴村健一
ライガ:岡本信彦
沢江:金元寿子
(C)SEGA