実際はどんな神様!? 『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』女神・男神大図鑑! #3|全ての民のリーダーを目指す“神”ガネーシャ編
シリーズ累計発行部数が1200万部を突破した、大人気小説『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』(原作:大森藤ノ イラスト:ヤスダスズヒト GA文庫/SBクリエイティブ刊/通称ダンまち)。
2022年7月22日より最新TVアニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅣ 新章 迷宮篇』が放送・配信中です!
盛り上がりを見せる『ダンまち』ですが、作品の鍵となる存在はやはり「個性豊かな神々」ではないでしょうか。
アニメイトタイムズでは、本作に登場する神々が、実際にはどんな神様なのか紹介する連載を実施中です。
実際に世界中で語り継がれている神話の神々との関連性や、劇中でのエピソード、ファミリアの情報などを解説!
第3回目はインドの神話などに登場する「神・ガネーシャ」。神々の事を知って、『ダンまち』をより楽しく鑑賞してみませんか!?
◆『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅣ 新章 迷宮篇』キャスト連載メールインタビューはこちら
インド神話とは?
その名の通り、主にインドで語られている物語です。
インド周辺で信仰されているヒンドゥー教(元はバラモン教)との結びつきが強く、宗教やインド社会の成り立ちと共に伝承されてきた歴史を持ちます。
日本でも親しみのある仏教のルーツとも関係しており、意外と身近な神話でもあります。
「ラーマーヤナ」「マハーバーラタ」(叙事詩)と言った有名な文献が残っていますが、他にも文献や聖典が大量に残されており、資料によって登場する神々の役割やポジションが違う事が特徴です。
それぞれの聖典で素晴らしいとされる神様が違うため、物語の展開も異なります。またヒンドゥー教の中でも「ヴィシュヌ派」「シヴァ派」といった宗派が生まれるなど人々の信仰にも影響を与えています。
強烈な個性を持つ神々が登場し、インダス文明の時代からインドで語り継がれている歴史のある物語がインド神話なのです。
象頭神・ガネーシャ
書籍の表紙などにも描かれているなど、日本でも有名な神であるガネーシャ。
象の頭と人間の体を持つ神で、みなさん一度は見たことがあると思います。ゲームやアニメなどでもよく名前を見かける、シヴァ(父)※1、パールヴァティー(母)※2の息子です。
※1 シヴァ……「破壊」を司る神。ヒンドゥー教の最高神の一人でインド神話では有名。恐ろしい神と言われているが、病気を治すなど慈悲深い面も。二面性がある。
※2 パールヴァティー……美しく優しい、シヴァの妻。インド神話の中でも有名な女神の1人。戦いの女神ともされており、シヴァと同じく二面性を持つ。
なぜ象の頭?
ガネーシャはパールヴァティーが自身の体の垢を集めて創ったとされています。「暇だった」「忠実な側近が欲しかった」など理由は諸説ありますが、特徴的な生い立ちです。
パールヴァティーはガネーシャにお風呂の見張りを頼みます。誰も入れないように命じられた彼は帰宅した父・シヴァに対しても門を閉ざしてしまいます。
ガネーシャもシヴァもお互いが親子であることを知らず、激昂したシヴァは首を切り落とし、放り投げてしまったのです。
それを知ったパールヴァティーがあまりに悲しみ、怒るので、シヴァは首を捜索するも見つからず。その後、最初に出会った動物である象の頭を取ってガネーシャの体につけて生き返らせました。
こうしてガネーシャは象の頭を持つ神となったのです。
民衆たちの長としてのガネーシャ
そんなエピソードもあり、シヴァは息子に自分の眷族や民衆たちのリーダー役を任せました。「ガネーシャ」という名前も「民衆の長」という意味が含まれています。
両親に忠実で温厚な性格をしており人気だったガネーシャですが、彼が激怒したエピソードも残されています。
ガネーシャの頭に生えている牙は片方が折れていますが(資料によって左右どちらが折れているかは異なる)、これは月の神・チャンドラにからかわれた際に、怒って自ら牙を折り月に向かって投げた為と言われています。お酒に酔ってしまったガネーシャが感情的になった事が印象的ですね。
幸運を呼ぶ神様
ガネーシャは商売と学問を司る神としても有名で、幸運を呼び障害を取り除いてくれるとされており、インドでは非常にメジャーで人気のある神様です。
新規事業を始める際には必ずガネーシャに祈ったり、ある州では「ガネーシャ祭り」なども行われています。
インド神話最大の叙事詩「マハーバーラタ」を書いたのもガネーシャ、と言われている地域もあるようです。
その影響もありメジャーな文献ではあまり描かれておらず、地方で信仰される神でした。時代とともにヒンドゥー教が広がるに連れて神話に加えられていったのです。
また、甘いものが好きな神であるという説もあり、ガネーシャが描かれる壁画や絵にはお菓子などがセットで描かれています。