アニメ『よふかしのうた』七草ナズナ役・雨宮天さんインタビュー|大人になれないなぁと思っている方に観て欲しい
『だがしかし』のコトヤマ先生による漫画を原作とするTVアニメ『よふかしのうた』が、いよいよ2022年7月7日よりフジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送開始となります。
アニメイトタイムズでは、その放送に際し、吸血鬼のナズナを演じる声優の雨宮天さんにインタビューを行いました。
雨宮さんがナズナに感じた魅力は妖しさとミステリアスさ……そして収録では「オヤジっぽく」とのディレクションも!? 原作からのファンの方はもちろんアニメで興味を持った方もぜひご一読を!
ナズナの持つ人ならざる者だからこその魅力
――まずは原作を読んだ感想をお聞かせください。
七草ナズナ役・雨宮天さん(以下、雨宮):最初はミステリアスで怖い感じもありつつ、スタイリッシュでおしゃれ感のある作品かと予想していました。でもいざ読んでみたら意外にも日常系だったのが驚きで、特に序盤はコウとナズナふたりだけなのですが、それがまた凄く魅力的でドキドキワクワクさせてくれました。
ふたりの掛け合いはまるで中学生みたいな内容で、ナズナは大人のはずなのに、ちょっと子供っぽい部分を見せてくれるのが可愛らしかったりもして、いい意味で裏切られました。あんなに決めるシーンではカッコいいナズナが突然ギャグ顔になったりするのも可愛らしいですし、ナズナもコウもみんなに愛着が湧いてきます。
――第一印象でナズナの魅力を一番に感じた部分は? また吸血鬼にはどんなイメージがありましたか?
雨宮:ミステリアスな部分です。ナズナの初登場シーンが結構怖いと言いますか、怪しい人なんですよね。「あっ、もしかして殺される?」みたいな雰囲気を持っていたので、その時にこれは感じました。
吸血鬼へのイメージですが、そもそも私の認識としてはサキュバスと混ざってしまっていたので、「あは~ん、うふ~ん」な感じで男性をたぶらかす系な印象でした(笑)。
一同:(笑)。
雨宮:でも実際には誘惑するのではなく、どちらかというとナズナの方が口説き落とすかのようだったので、その認識は改められました。ただ、本人が意識している部分もありつつ、無意識の部分ですごくカリスマ性をもって人を惹きつけてしまう。あのミステリアスな妖しさ、つい引き寄せられてしまう魅力は、人ならざる者だからなのかなって思ったりします。
――それでは今回のアニメにナズナ役として出演が決まった時の経緯と、決まった時の心境も教えてもらえますか?
雨宮:オーディションで決まったのですが、まさか自分に決まるとは思っていなかったので、連絡を受けた時はこの役を私が演じられるという喜びと同時に驚きがありました。
やっぱりこれまで私が演じてきたキャラクターとはまた違ったタイプの魅力があったり、吸血鬼という人ならざる者だからこそのカリスマ性だったり、ナズナ本人は意識していないであろう人を翻弄する色気だったりを持ったキャラクターだったので。
オーディションで出来得る限りの力は尽くしたのですが、もっと個性的な声の人や普段からミステリアスな色気のある役を演じられてきた方になるのかなと思っていたんです。
オーディションではかなり先の物語まで原作をチェックしていたのですが、ナズナのミステリアスなシーンとコウとのワチャワチャとした掛け合いのシーンはこの段階からありました。そのふたつの部分とそこからくるギャップは、どちらもナズナの魅力だと思っていたので、思い切り演じてみようと心がけました。
――実際に収録が始まってから、自分が思っていたのと違うナズナの一面が出てきたことはありましたか?
雨宮:大人っぽい所はもっと大人っぽく、子供っぽい所はもっと子供っぽく演じてくださいと、原作のコトヤマ先生からナズナのイメージををいただくことがありました。去年PVを収録した時だったのですが、元々この部分は意識していたものの、その指摘を受けて「もっとか!」とさらに気合を入れましたね!
そこで少し軌道修正があったのと、実際にアフレコが始まってからは板村智幸監督や音響監督さんらアニメスタッフ陣から、「もっとオジサンっぽく!」というディレクションがあったことを覚えています。私のナズナに対するイメージの中にオジサンっぽさはなかったのですが、そこでディレクションをいただいて「なるほど!」と腑に落ちる感じでした。
オジサンっぽいところは、私自身もお酒を飲んで酔っぱらってくるとちょっと巻き舌っぽいべらんめえ口調になっちゃうところがあるので、そういうガサツな感じを基に演じています。そこもある意味自分と近い部分といいますか、遠からぬ部分かなと思っています。
――収録現場の様子はいかがですか?
雨宮:これまでだと自分が一番後輩みたいな現場が多くて、つい緊張してしまったり、元からの人見知りもあって上手く話せなかったりしていました。でもここ最近は自分より年下だったり、キャリアの浅い年下の方だったりと絡むようになったんです。
最初は自分にとって後輩にあたる方たちと仲良くなれるのかな? みたいに思っていたのですが、弟と喋っている感じでやっていけるんだなと思いました。
しっかりものの年下って、話しやすくて良いなと思うんです。この作品でもコウ役の佐藤元くんやアキラ役の花守ゆみりちゃんは敬意を持って接してくれると言いますか、いつも良くしてもらってます(笑)。
――他にもナズナと似ていると感じる部分や共感できるところを教えれください。逆に似てないと思う部分もあればお願いできますか。
雨宮:ナズナってすごい感情が出るし、怒る時もすぐムキになったりすぐ照れたり。そんな中学生レベルの感情表現の感じはそっくりだと思って、共感しつつ演じやすいなと思っています。
対して人を惹きつけてしまうカリスマ的な瞬間は、ここまで突っ切れるのがカッコいいなと。それは夜の楽しさを力説する時や、自分自身に対してかはわからないのですが、とにかくすべてにおいて自信があるからこそあそこまで言い切れるし、だからみんなナズナに惹きつけられるんだろうなって憧れています。
――そんなナズナを演じるためにやっていることはありますか?
雨宮:普通のことになってしまいますが、収録前に「このカッコいいナズナをこれから自分が演じるんだ!」っていう感じで、原作や台本をチェックして彼女の魅力を再確認しています。
やっぱり原作を最初に読んだ時から迸るオーラに圧倒される感じがあったので、それになりきるには私がそのカッコよさを感じていないと出せないと思うんです。
――佐藤さんにインタビューさせていただいた時に、ナズナの吸血シーンをすべて雨宮さんが演じられているという話がありまして、そこのこだわりみたいなところを教えてください。
雨宮:そもそも台本には(SE)と書いてあったので、最初は私が演じるところだとは思っていませんでした。でも第1話の時に音響監督さんからダメ元でやってみてくださいと言われ、できるかどうかもわからないままとりあえずやってみたんです。ここは現在進行形で苦労している部分のひとつで、ちゃんと音が出るかみたいなところから試行錯誤しています。
思った以上に音の出し方が繊細で、チューっとやればその音がでる訳ではなく、音が揺れてしまったり途切れてしまったりするので、口の中での歯の位置だったり、歯の唇への食い込ませ具合だったりを調節して、音が綺麗に出るように演じています。