ステージは、私の居場所|山根綺のほんとのところ。#6
2022年の夏は、過去100年で一番暑い夏だそうです。
連日続くこのうだるような暑さは
日本の夏の醍醐味と言えるのかもしれませんが
夏が苦手な私は今にも溶けそうになりながら、
「暑いですね〜」以外の言葉を探して生きております。
昔から、声優になるのが夢でした。
でも小学生の頃、
もうひとつなりたいと思っていた職業があります。
それは「アイドル」。
内気で地味で素朴だったリトル山根は
密かに、華やかな世界への憧れを持っていました。
自分にアイドルなんて到底無理だと、
来世頑張ろう…と思っていた職業。
ですが、声優として活躍されていた先輩方が
アイドルとしてステージに立たれているのを見て
まだ諦めるには早いのかもしれないと、
役者とアイドル、
どちらもできるタレントを目指し始めました。
それから事務所に入り、
Kleissisというユニットで初めてステージに立った時は
一生忘れられないくらい魂が震えて、
ここが自分の居場所なんだって感じたのを
鮮明に覚えています。
ずっと夢見ていた世界。
歓声に飢えていた山根は
まさに水を得た魚でした。
心の居場所、物理的な安心する居場所、
居場所といっても色々な場所がありますが
私の生を実感する居場所は、舞台、ステージの上です。
ずっとずっと、大きなステージに立ちたくて
大きなステージからの景色を見てみたかった。
けれど、今お仕事をさせていただいて感じるのは
大きさや場所、人数は関係無いということ。
会場やコンテンツによって、
気にするべきことは変わりますが
きっと根本は全て同じなのです。
1人でも、
10000人でも、
会いに来てくれた方へ全力でやる。
それだけです。
私が出させていただくほとんどのライブは、
座席の最前列も最後列もチケットは同じ値段で、
ステージを見られる時間も同じ。
チケット代や交通費や宿泊費、貴重な人生の時間、
たくさんの労力を割いて来てくださった方
全員へ感謝を伝えられるように、
今日はどうしようかと考える時間が
本当に本当に大好きなのです。
私にとってライブはコミュニケーション。
来てくださった方と心と心でぶつかり合う、
最良のコミュニケーションなのです。
本番前に端から端まで、前から後ろまで座席を回って
この席に座ってくれる人は、こんな景色なんだって練り歩く。
靴紐を左右均等に結び直し、
水を一口飲んでから深呼吸をして軽く2回ジャンプ。
ステージに上がる。
私1人では絶対に立てない場所。
私に台本は書けないし、ステージも作れないし、衣装も作れない。
この当たり前じゃない尊い居場所を
もっと大きく、大切にしていこうと思います。
自分の居場所は自分で増やす。
自分の夢が叶ったら、今度は、誰かの夢になる。
明日も舞台に立つために、
靴紐を固く結んで、暑い夏空の下へ駆け出してゆく。
企画協力:青二プロダクション
編集担当:川野優希