シリーズ最終章『うたわれるもの 二人の白皇』OPテーマ「人なんだ」Suaraさんインタビュー|下川プロデューサー作曲で前作「不安定な神様」を超える熱さと激しさ。自身作詞の「百日草」には想いを込めて
人気シリーズの最終章『うたわれるもの 二人の白皇(ハクオロ)』が7月からスタートし、好評オンエア中! 今作では、亡き親友のオシュトルから託された願いと仮面を譲り受けたハクの戦い、待ち受ける数々の試練を描かれています。
『うたわれるもの 二人の白皇』のOP曲「人なんだ」、ED曲「百日草」を歌うのはもちろんSuaraさん。Suaraさんはゲームやアニメなど『うたわれるもの』シリーズのほとんどの楽曲を歌っており、まさに『うたわれるもの』の歌姫ともいえるシンガー。OP曲「人なんだ」は、『うたわれるもの』シリーズのプロデューサー、下川直哉さん作曲で、激しい和テイストのロックチューン。ハクの決意やオシュトルへの想いを歌った歌詞と共にエモいナンバーです。ED曲「百日草」はSuaraさん自身がいろいろな想いを込めて作詞したはかない楽曲になっています。
Suaraさんに『うたわれるもの』シリーズが今年20周年を迎えた感想とアニメの最終章が始まったことについて、そして本シングルのご紹介をしていただきました。
Suaraさんは20周年を迎えた『うたわれるもの』シリーズで20曲以上の楽曲を歌唱!
――『うたわれるもの』シリーズが今年、20周年を迎えた感想をお聞かせください。
Suaraさん(以下、Suara):純粋に20年続く作品というのはすごいことだなと思います。たくさんの根強いファンの皆さんに愛されているだけではなく、きっと常に新しいファンの方も獲得してきたからだと思いますし、ゲームやアニメなど『うたわれるもの』シリーズに関わられてきた皆さんの熱い想いや努力の賜物ではないでしょうか!
――ここまで歌ってきた『うたわれるもの』関連の楽曲が20曲以上というのもすごいですね。
Suara:途中から何曲目になるのか、数えるのをやめました(笑)。私が初めて関わらせていただいたのは2006年に放送されたTVアニメ『うたわれるもの』のOP曲「夢想歌」を歌わせていただいてからで、20年のうちの16年間関わらせていただけたことをとても光栄に思っています。私を知っていただいたきっかけという方も多いでしょうし、私にとっても大切であり、欠かせない作品です。
――『うたわれるもの』ファンの皆さんにとっては、ゲームでもアニメでもSuaraさんの主題歌や挿入歌がないと違和感を感じるのでは?
Suara:これだけ歌わせていただいていると「ファンの方が飽きてないのかな?」と心配になったこともありましたが、ここまで来たら私の使命だと思って、『うたわれるもの』が続く限りは歌える自分でいたいなと思っています。
シリーズ最終章のアニメが決まった喜びと“終わり”の始まりを感じて寂しさも。毎週ワクワクしながら最後まで見届けたい
――『うたわれるもの』シリーズ最終章にあたる『うたわれるもの 二人の白皇(ハクオロ)』のアニメ化が決まった感想をお聞かせください。
Suara:アニメ化を知ったのはたぶん皆さんと同じ発表があったころだったかな(笑)。
――えっ!? テーマ曲を歌う方には知らされているものだと思っていました。ましてやSuaraさんだったら、シリーズのアニメやゲームの制作が決定した時はもう確定だろうと。
Suara:ファンの皆さんはそう思っていただいているかもしれませんが、私が楽曲を歌わせてもらえるかどうか、採用になるかどうかは、OAがあるまでは浮かれてはいけないと思っています(笑)。もし呼ばれたら精一杯、力を発揮する準備をするだけです。ただファンの皆さんと同様に、私も最終章のアニメ化を待ち望んでいたので、すごく嬉しかったです。
――オンエアをご覧になった感想は?
Suara:初回は2話連続放送で、更にオシュトル(ハク)役の利根健太朗さんやクオン役の種田梨沙さん、ミカヅチ役の内田夕夜さん、ルルティエ役の加隈亜衣さんが出演された同時視聴会の配信もあったので、キャストさんやファンの皆さんを含めた『うたわれるもの』ファミリーが一緒に見守る一体感を感じられたのも嬉しかったです。でも最終章のアニメの放送が始まったのは嬉しいんですけど、“終わり”の始まりと考えると寂しさもありました。
――PVの第2弾にかなり重要なシーンが散りばめられていたのにも驚きました。
Suara:「めちゃめちゃいいシーンだけど、そんなシーンいいの!?」って思いますよね(笑)。でも前持って見せても、それを上回る感動や衝撃を与えられる自信があるのかなって。より期待感をあおられたし、スタッフやキャストの方々が総力を挙げて作られているのを感じました。遂に謎が解き明かされるというワクワク感を抱きながら、最後まで見届けたいなと思っています。
――OP曲とED曲がオンエアで流れた後の反響はいかがでしたか?
Suara:SNS等で見た感じでは、「人なんだ」はカッコいいとか、「早くフルで聴きたいです」という声をたくさんいただいて、安心しました。でも皆さんの期待を超えるという意味では私以上に下川プロデューサーが一番プレッシャーを感じていたかも(笑)。
OP曲「人なんだ」は予想以上のロックで、ハクの揺れ動く心情を描いたような曲。ハクの生き方を感じながら熱唱
――『うたわれるもの 二人の白皇』のOP曲「人なんだ」は力強く、激しい曲ですね。
Suara:第2部にあたるアニメ『うたわれるもの 偽りの仮面』のOP曲「不安定な神様」を下川プロデューサーに作曲していただきましたが、今回もファンの方から希望も多かったし、私も「書いてくださいよ!」と待ち望んでいたので、楽曲が届くのが楽しみでした。「不安定な神様」を超えるアップテンポな曲になるのかなと予想していたら、テンポがアップになっただけでなく、ものすごくロックな曲が上がってきました。最初、カッコいい曲だけど、自分の声がのるイメージがなかなか涌かなくて。
今まで『うたわれるもの』シリーズではいろいろなジャンルや曲調の楽曲に挑戦させていただきましたが、今回は「私、歌えるかな?」という不安がありました。でも下川プロデューサーとのプリプロ(プリプロダクションの略。レコーディングの前準備や仮録音)で試行錯誤を重ねていくうちに「これならいけるかも」と確信が持てて、本番に臨むことができました。
――サビ始まりの曲で、いきなり曲名になっている「人なんだ」というフレーズから始まるのでかなりインパクトがありましたし、「人なんだ」という言葉自体がパワーワードになっているような。
Suara:「不安定な神様」もそうでしたが、歌い始めにキーワードがくるのは狙っているのではないでしょうか!? 歌詞からハクの生き方を感じながら歌いました。
――サビフレーズの「悩むだろ 歩んできた道 間違いじゃなくても」や「誰かに支えられて ただ自分らしく 生きてく」などの歌詞は、ハクの苦悩や葛藤を打ち明けられる相手がいないという孤独感を、自分を𠮟咤することで打ち消そうとしている姿と重なりました。
Suara:親友のオシュトルから皇女のアンジュと仮面を託されたハクは、オシュトルとして生き、戦う道を選んで。きっと大きな葛藤があったと思うし、そんなシーンもアニメの中で描かれていたり、オシュトルに語り掛けるように「これが残されたものの責任か」とつぶやいたシーンもあって。歌詞からもハクの心情やオシュトルへの想いが伝わってくる気がします。
――サウンドは和笛とエレキギターが暴れるような激しいロックチューンですが、ハクの心情と激しさを増していく戦いを表しているようですね。
Suara: ハクの決意はしたものの、揺れ動いている様子はサウンドアレンジからも感じ取れるのかなと思います。
――1曲の中でいろいろな感情が出てくるため、歌う側としては難しそうですね。
Suara:歌詞の中に「ためらい」や「不安」、「悩み」という言葉が出てくるので、歌詞に沿った気持ちを込めて歌っています。
――Suaraさんの歌い方も強さや激しさの中にも優しさが感じられるところもハクとリンクしているかなと。
Suara:ありがとうございます。ハクは大将として戦う役割をまっとうしていますが、本来の性格は温和で、仕事を与えられると「面倒くさいな」と言いながらもしっかりこなすまじめさがあって。常に周りを見渡して、仲間に声をかけたりする優しさがあるので、そういう部分も伝わるといいですね。レコーディング前の練習の時は歌いながらハクを感じていましたが、本番になると、とにかく必死で細かいことを考える余裕もなくて。ディレクションも特に感情に関しては言われることはほとんどなかったので、意識したのは限られた時間の中で、自分が持っているものと要求されたものをどれだけ出せるかだけで、まさに戦いでした(笑)。だからレコーディングが終わった後はヘトヘトでした。