声優アーティスト・花澤香菜さん NEWシングル「駆け引きはポーカーフェイス」リリース記念インタビュー|『それでも歩は寄せてくる』イベント時に後輩キャスト陣より衝撃の事実が告げられる!?
原作:山本崇一朗(講談社「週刊少年マガジン」連載中)のTVアニメ『それでも歩は寄せてくる』が7月より放送中!
そのOPテーマを飾るのが、花澤香菜さんの「駆け引きはポーカーフェイス」。頭をぐるぐる回るキャッチーなサビが癖になるポップチューンです。
7月20日(水)のシングルリリースを記念し、アニメイトタイムズでは花澤さんへのインタビューを実施!
楽曲のことはもちろん、マキ役として出演している『それでも歩は寄せてくる』のアフレコ現場の様子についても伺いました。
後輩声優とのエピソードを本当に楽しそうに、そして嬉しそうに語っていましたので、楽曲の話と合わせて、ぜひお楽しみください。
ライブ映え曲がずらりと並ぶ! 再出発を感じたアルバム『blossom』
――今年の2月23日にリリースした6thアルバム『blossom』は、ポニーキャニオンへのレーベル移籍後初のアルバムということで、再出発の意味もあったアルバムだったと思います。
花澤香菜さん(以下、花澤):いろんな流れがあって、ここに行き着いたという感じですね。
アーティストデビュー時からお世話になっている北川勝利さんとまたお仕事することができましたし、1stアルバム『claire』時代からお付き合いのある方々も集まってくれて、再集結感もあるアルバムになりました。
私の歌い方も変わっていたりするので、そこにもすごく合わせてくださいました。
――実際、一緒にやってみてどうでしたか?
花澤:みんな何も変わっていなくて、ただただ同窓会みたいな感じでした(笑)。収録しているよりもしゃべっているほうが長いくらいで、すごく楽しかったです。
――デビュー時は声優のお仕事も忙しい中で、まだ音楽活動についてよくは分からない中での活動だったと思いますが、今はまた違った気持ちで取り組めているのではないですか?
花澤:そもそも最初は私の声を活かしたプロジェクトとして進んでいて、私の声が楽曲の一部のような感覚だったんです。
自分から率先して楽曲を作るのではなく、楽曲を構成するパーツの一部のようなイメージで、それはそれでめちゃめちゃ楽しくて、いろんな要望に応えていったりする意味では、アフレコのスタイルと変わらない感じでした。
――求められるものを表現するという意味ですね。
花澤:そうです。ただ、北川さんというプロデューサーがいたので、しっかり全体の統一感は生まれていましたし、北川さんともどんどんやり取りを深めていって、私の意欲も上がっていきました。
今は、「こういう曲を歌ってみたい」みたいなことも言うようになりましたし、一番大きかったのはライブですかね。最初はステージに出ると、キャラクターを背負っていない自分が人間として薄っぺらすぎるんじゃないかって思っていたんですよ(笑)。
――えー! そんなことないですけどね。
花澤:何だか見透かされている感じがして、せっかく集まって観に来てくれているのに、みんなが味方だと自分自身が思えていなかったんです。
――味方しかいない空間のはずなのに。
花澤:そうなんですよ! 「何か面白いことをしなきゃ」とか、「私で大丈夫?」って思いながらやっていた部分があったんですよね。
緊張もしているし、「そもそも歌も上手くないしなぁ」っていうのもあったりして……。「新しいことを初めて楽しい!」という感覚もしっかりあったんですが、それよりも緊張とか不安のほうが大きかったです。
でもライブをどんどん重ねていき、2ndアルバム『25』を出したときのツアーあたりで、「音楽と一体になって楽しむってこういうことなのかな?」とライブの中で分かって、そこからは、「あぁ、私が楽しんでさえいれば、みんな楽しんでくれるんだな」と分かりました。
――ライブをやりたい!という気持ちは、常に強くあったんですね。
花澤:そうですね。そこからも作品はリリースしていますが、そんなにライブはやれていなくて。「もっとライブがやりたいんだけどなぁ」と思っているうちに、世の中がコロナ禍になってしまったりして……。
――その思いが、『Blossom』には込められている?
花澤:そうですね。やっぱりラジオとかアニメのイベント以外で、応援してくれているみんなとちゃんと向き合う時間ってライブだと思うんです。
声優の仕事は、求められているものに応えるということを繰り返しているので、ライブでしか味わえないスッキリとした感じがあるんですよね。きっとやりたいことを表現しているからなんだろうと思います。
なので、『Blossom』はライブ映えする曲ばかりなんです。レコーディングの段階から、「ライブだったらこういうコール&レスポンスができるなぁ」と考えながら歌っていました。あと、聴いていて自然に踊っちゃうような曲ばかりでしたし。
そこまで意識していなかったんですが、集まった曲を見てみると、みんな前向きな曲だったので、「今はそういうマインドなんだな」とも思いました。
――アルバムだと、どの曲が盛り上がりましたか?
花澤:やっぱり「You Can Make Me Dance」は盛り上がりました。あとは「Miss You」もカッコいい感じで、ライブ映えするんですよ。声を出していい状況であれば、みんながどこかで「フー!」って言っちゃいそうな爽快感がありました。
――確かに、全部生で見たら楽しそうですね。「息吹 イン ザ ウィンド」や「SHINOBI-NAI」も、当然ライブ向きですし。
花澤:「息吹 イン ザ ウィンド」も良かったですね。「SHINOBI-NAI」は、ポルカドットスティングレイとのコラボで、北川さんが提案してくださったものです。
お話をいただく前から、ポルカの曲は聴いていましたが、自分の声とは全然結びついていなかったんです。でも、私のリスナーさんたちは、きっとポルカの曲を聴いてきたであろうし、新しい!と思ってやらせていただいたら、すごく良かったですね。
――花澤さんを意識した曲もありましたよね。
花澤:「トーキョーモーヴ」という曲は、妄想で私を思い描きながら書いてくれていたみたいなんですよ。めっちゃ嬉しかったです。
――「SHINOBI-NAI」はアルバムで一番新しい風を感じた曲ではあったのですが、「港の見える丘」のチャイナな感じも、最近の花澤さんを象徴しているのかなと思いました。
花澤:そうですね。ポニーキャニオンでやるにあたって、「中国での楽曲同時リリースみたいなこともしたいよね」という話があったんです。なので「Monnlight Magic」と「港の見える丘」は、中国語バージョンも作りました。この曲も、旅行に行きたくなる~!って曲ですよね(笑)。
意外にも初めてとなるTVアニメのオープニングタイアップ曲「駆け引きはポーカーフェイス」
――最新アルバムで新たな手応えを感じる中、TVアニメ『それでも歩は寄せてくる』OPテーマ「駆け引きはポーカーフェイス」のお話が来たわけですが、アニメタイアップは嬉しかったのではないですか?
花澤:これまで何度かEDテーマは歌ってきましたが、OPテーマは初めてだったので、めっちゃ嬉しかったです。
しかも原作がめちゃめちゃ良いじゃないですか。これはアニメも期待大だぞ!と思ったので、ドラマ『お耳に合いましたら。』のOPテーマだった「Moonlight Magic」のトキメキ感は引き継ぎつつ、OPテーマらしい、アニメに合うような曲にしたいなと思いました。
――今後アニメがシリーズ化しても、一番最初の0Pテーマって、印象に残りますしね。
花澤:大事ですよね! 今回はコンペ形式で、アニメの製作委員会や監督も含めて選んでくれたので、制作の皆さんの中で、「この曲だ!」っていう一曲になっていると思います。
それにKOHさんの曲がすごく良くて! KOHさんは、ClariSの楽曲で聴き馴染みがありましたし、今まで歌ってきた感じともまた違う、エレクトロポップだったので新しい雰囲気もあって、自分でも「いいなぁ」と思いながら歌っていました。
――どこが特に良かったですか?
花澤:一聴して「これ、サビぐるぐる回るやつだ!」って思ったんです。めちゃめちゃキャッチーですよね。
あとは、ヒロインの八乙女うるしちゃん(CV:中村カンナ)の、ちょっと小動物的な、ちょこまかした感じも出ていますし、作品の世界観にもすごく合っていると思います。
ただ、私もマキちゃん役として作品に関わっているので、“マキちゃんのキャラクターソング”にならないようにしなければと注意しました。
――キュンキュンする歌詞なので、楽曲を聴けば、うるしを思い浮かべる人は多い気がします。トーンが少し明るい印象があったのですが、どのようなアプローチで歌いましたか?
花澤:大人な感じにならないよう、高校生の恋愛らしい、キラッとした感じを出したいと思いました。でも、そうするとキャラソンっぽくなりそうなので、私らしいニュアンスは散りばめるようにしていました。
でも、そこに関しては、歌詞が宮川弾さんだったことが大きかったかもしれないですね。宮川さんの歌詞は、もう何曲も歌ってきましたし、歌いまわしというか、この世界観に慣れているというか、大好きなんです。なので、すごく歌いやすかったです。
――掛け合っているところも、すごく良かったです。
花澤:Dメロもかわいいですよね。あと、将棋の駆け引きと恋の駆け引きを掛けていて、「宮川さんめちゃめちゃ考えてくれたんだな」って思いました(笑)。
――〈さあ踏み出そう1歩前へ〉という歌い出しは、作品から離れてもメッセージ性が感じられ、何か勇気をもらえる歌詞になっていると思いました。ちなみに、最近何か踏み出したことはありますか?
花澤:何だろう。最近暑すぎて、家から一歩踏み出すのすら大変じゃないですか? だから毎日頑張って一歩踏み出しています(笑)。休みの日も、なるべく外に出るようにしています。
――リアルに一歩踏み出していた話ですね(笑)。花澤さんは、ポーカーフェイスで駆け引きはできなさそうなイメージですが、いかがですか?
花澤:その通りです(笑)。まったくできません。顔に出ますし、駆け引きをそもそもしなくていい道を選んできたかもしれない……。
基本的に試されるお仕事なので、試されはしますが、駆け引きはしていないような感じがします。
――確かに。
花澤:アフレコは駆け引きというより、「何を言いたいんだろう?」というのを分析する仕事でもあるんですよ。たとえば音響監督の指示があるときも、後ろでいろんな人の要望を受けて、私たちに、こういう言葉を使ったほうが伝わるかなと思ってディレクションしてくださっているんです。なので、そこの背景まで考えてみて、こうやってみようか?と、私たちも演技していたりするんです。
――駆け引きというより配慮というか。その奥にある本当に求めるものを掴むような感じなのですね。汲み取る力が必要そうです。ゲームの場合はどうですか?
花澤:この前、企画でポニーキャニオンの方とインディアンポーカーをやって、めちゃ楽しかったんですが、駆け引き以前に私の引きが強すぎて勝ちました(笑)。
ポーカーフェイスは憧れますね。いかなるときもスンとしているのはいいですよね。
――では、アニメのOPアニメーションはいかがでしたか?
花澤:めっちゃかわいかったです! 特に、うるしちゃんと田中歩くん(CV.阿座上洋平)が踊っているシーンがかわいかったです!! そのときの歩くんも、ポーカーフェイスで踊っていましたね(笑)。