ワンピース映画最新作『ONE PIECE FILM RED』ウタ役 名塚佳織さん×シャンクス役 池田秀一さんインタビュー|多くを語らない中で、キャラクターの表情が際立つ作品【ネタバレ注意】
『ONE PIECE FILM RED』が大ヒット公開中です! 『ONE PIECE(ワンピース)』は、尾田栄一郎先生による週刊少年ジャンプ(集英社)で連載中の国民的人気コミック。1997年に連載、1999年にはTVアニメ放送がスタート。2022年、コミックス全世界累計発行部数は5億部を超え、2022年7月には連載開始25周年に突入しました。
『ONE PIECE FILM RED』は、総合プロデューサー・尾田栄一郎先生、監督・谷口悟朗さん(『コードギアス』シリーズ)で贈る新作映画。谷口監督は、1998年に発表された『ONE PIECE 倒せ!海賊ギャンザック』以来の『ONE PIECE』作品への参加となり、注目されています。
今作は2022年8月6日(土)から公開され、公開10日間で500万人を動員、興行収入は70億円を突破。シリーズ最高興行収入だった『ONE PIECE FILM Z』(2012年12月公開/興行収入68.7億円)をわずか10日間で超え、現在は100億円を突破、『ONE PIECE』映画史上最高の興行収入を記録しています。
本稿では映画公開記念企画として、シャンクス役を演じている池田秀一さん、ウタ役を演じている名塚佳織さんにインタビュー。キャラクターや作品の魅力、そして谷口悟朗監督についてもお話をお聞きしました。
※インタビュー文に一部ネタバレもありますので、まだ作品を見ていない方はご注意ください。
<STORY>
世界で最も愛されている歌手、ウタ。素性を隠したまま発信するその歌声は“別次元”と評されていた。そんな彼女が初めて公の前に姿を現すライブが開催される。色めき立つ海賊たち、目を光らせる海軍、そして何も知らずにただ彼女の歌声を楽しみにきたルフィ率いる麦わらの一味たち、ありとあらゆるウタファンが会場を埋め尽くす中、今まさに全世界待望の歌声が響き渡ろうとしていた。物語は、彼女が“シャンクスの娘”という衝撃の事実から動き出す――。
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『ONE PIECE FILM RED』は贅沢な作品
――『ONE PIECE FILM RED』について、感想をお聞かせください。
シャンクス役・池田秀一さん(以下、池田):アフレコ収録時点ではまだ画ができていなかったので、「いったいどのような作品になるのかな?」と不安もありながら収録していました。完成した作品を見ると、すごくまとまっていて「なるほど、こういう感じになるんだ!」と納得しました。
ウタ役・名塚佳織さん(以下、名塚):今回は今までの『ONE PIECE』映画作品の中でも、特に“歌”がメインになっている作品なんです。
今までと少し違うテイストでありながら、キャラクターたちのかっこよさは変わらずなので、新たな物語を楽しみつつ、キャラクターたちの姿をたくさん見ることができる映画だと感じました。
収録からしばらく経って、改めて全体を見て「贅沢な作品に仕上がっているな」と思いましたね。
――今作ではシャンクスとウタの関係が描かれており、これまでにないシャンクスの魅力が感じられました。今作でシャンクスを演じた時は、今までと違ったところや変化はありましたか。
池田:「これまでと違ったところ」というのは特に意識していません。シャンクスはTVアニメにはほとんど登場しないので、毎回新鮮な気持ちで演じているのですが(笑)、今回は映画オリジナルストーリーですし、新たに描かれる「シャンクスとウタの関係」がテーマになっているので、そこに集中して演じさせていただきました。
お互いが感じるシャンクスとウタの印象
――お互いの演じているキャラクターの印象をお聞かせください。
池田:最初は子どもらしい部分が目立つウタですが、ルフィに対してはお姉さん風を吹かせるところもあって、かわいらしいですよね。
ただ、映画が進むにつれて、シャンクスはウタの想いが理解できるからこそウタを引き留めることができなくなってしまうんです。終盤のシーンで、シャンクスはウタを助けようとするんですが、ウタはその手を振り払ってもみんなのために歌うんです。シャンクスにとってはそこが難しいところで、「ウタがそう言うなら、それが彼女にとって最善なんだ」というふうにシャンクスはウタの想いを尊重するんです。
けれど、そのシーンはそんなにしつこく語られないんです。そこが僕は好きなんですよね。全部説明してしまう作品もあるけれど、この作品は説明しない。シャンクスの表情とか、ウタに対するリアクションとかはほとんどなくて、全部を見せずに口元だけで表現するというのが良かったですね。
シナリオの時点では、シャンクスのセリフがもう1つあったんですが、アフレコのタイミングではカットされていて。完成した映画では泣いているのか、泣いていないのかわからないような表情で、セリフもない。
そこが「いいな~!」と思って……。シナリオを読んだ段階では、いいセリフがあって、言ってみたいなと思っていたんですが、完成したものを見たときは、後ろ姿で終わっているのがすごくいいと思いました。その方がよっぽど印象に残るんだろうなという気がしました。
ウタはいい子ですよ。けれど、「いい子だな」と感じているところをシャンクスはそんなに具体的に出さないんです。「お前はいい子だ」という場面は見せない、でも抱えていてあげる、みたいなところが好きですね。
――続いて名塚さん、シャンクスについてお聞かせください。
名塚:ウタとして『ONE PIECE』の世界に入るまでは、シャンクスは憧れの存在で、「かっこいいお兄さん」という感じでした。でも、ウタとしてシャンクスと関わってみると、かわいらしい部分が多いなと感じました。自分のような年齢から見ると、シャンクスはすごくかっこよくて、近づきがたい雰囲気がある感じがしたんですが、ウタからすると「かわいいお父さん」なんだろうなと思いました。
ウタの心にどのくらい残っているかは分からないんですが、ふたりが初めて会った瞬間のシャンクスの慌て具合とかいいですよね(笑)。落ち着いたイメージのあるシャンクスも慌てることがあるんだと思って、身近に感じることができた瞬間でした。
ウタにとって、シャンクスはかけがえのない存在なので、離れてしまうことがすごく辛かったんだろうなと……。そこが一番大きなきっかけとなって、今のウタがいます。自分と同じように大切な人と離れてしまうことや、違う形であっても、辛い思い、悲しい思いをしている人たちを救いたいという気持ちがそこから芽生えていったのかなと思っています。
それぐらいウタにとって、シャンクスは大事な存在で、みんなにも大事な存在を失ってほしくないし、ずっと大好きな人たちと楽しい時間を過ごしてほしいという思いが、ウタの行動に強く出たのではないかなと改めて感じますね。
シャンクスの存在がなければ、今のウタの人生はなかったんだろうなと思いますし、ウタにとってはすごく辛いこともあったけれど、再会して後悔なく自分の思いは伝えきったし、シャンクスと出会えて良かったんじゃないかなと思います。