上田麗奈さん2ndミニアルバム「Atrium」10月5日発売記念インタビュー！　アルバムごとに1つの季節を描いてきた「四季シリーズ」最終章にして、自身にとっての「集大成」と言える今回の内容とは……？

「履き慣れてない靴のままで」に込められているのは、今の上田さんの想い。もがきながら頑張っている人は特に泣ける曲

――ではここからは、収録曲を1つずつご紹介していただけますか？

上田：実は、今回の全6曲には時系列があるんです。1曲目「履き慣れてない靴のままで」は、今現在の28歳の私の気持ちにフォーカスした曲。18歳で上京してからの約10年間、良いこと、悪いこと、大変なことがたくさんありましたが、精神的に成長してこられたという実感があるんです。

そのようないろいろな経験の中で芽生えた、自分自身を大事にしていきたいという想いから、この楽曲が生まれました。もともとはネガティブな人間が、自分なりにポジティブに生きようとしている様子を感じていただけるのではないかな、と思います。

――「履き慣れてない靴のままで」というタイトルも、ネガティブとポジティブのどちらのニュアンスにも取れますね。

上田：絶妙ですよね。作詞の松井洋平さんが言葉を巧みに操って、歌詞を書いてくださいました。松井さんの歌詞は、「RefRain」の頃から変わらずステキだなと思いますし、ずっと助けられています。

何かしら悩みを抱えてもがいている……たぶん誰しもそうだと思いますが、頑張っている人がこの曲を聴いたら、泣けてくるのではないでしょうか。また、聴き手の方々の歌詞の受け取り方が、今と数年後で異なったり、楽曲の味わいもまた変わってくるのかなと思います。

【アルバム】上田麗奈/RefRain

――上京して仕事や生活に慣れてきて、悲しみや大変なことともうまく付き合えるようになったという、しなやかな女性らしさを歌声から感じたので、この曲は今の上田さんというお話を聞いてとても納得しました。

上田：歌声に表れていますか？　私、手応えが全然なくて……。打ち合わせまでに時間があったので、より固まったプランを出せて、みんなで同じ方向を向いてレコーディングができたぶん、作業が早く終わり、あまり苦がなかったから手応えもなく（笑）。

どう聴こえるのかな？と、すごくふわふわした感じだったので、そう言っていただいて、自分がやりたいことができたのかなと思いました。

――間奏のゴージャスなトランペットなど、オープニングトラックらしさもありますね。

上田：そうですね。独特かつ、かなり華やかで明るい雰囲気になったと思います。1曲目らしくて素敵です。

ちなみに、完成した曲を聴いた時、自分の声がいつもと違うかも？と思っちゃったんですけど、違和感なかったですか？

――まったく違和感なかったです！　前作からのギャップには少し驚きましたけど（笑）。

上田：それなら良かったです。他の曲と比べると、芯が強くなりすぎてしまったかも？という不安があったんです。でも、これはこれで等身大なんだな、と今思いました。ありがとうございます。

2曲目「マイペース」は新しい環境に慣れつつ、自立しなきゃと気を引き締めていた頃の上田さん。オーダーは「もっとネガティブ寄りに」？

――2曲目は、クラップ音が入った軽快なリズムのポップチューン「マイペース」です。

上田：私が上京してきた18歳の頃のテンション感を思い出しながら、作ってもらった曲です。1人暮らしを始めて新しい環境に身を置いてみたら、コンプレックスが強かった私にとって、誰も自分を知らない世界が楽しすぎて……！

「門限がなく、自由に好きなことができるんだ」「誰にも縛られず、自分のペースでこの世界を生きていこう」みたいな、何もかもが初めてで、新鮮なことばかりゆえのポジティブさを持った、あの頃にしかなかったエネルギーが、この曲には乗せられていると思います。

そんなムードを反映するため、「踊れそうな曲を作ってください」とお願いを（笑）。ワクワクしながらも、これから自立していくんだという気持ちが強かったので、しっかり地に足を着け、軽やかにしすぎず、重めなところも残して……。

――Bメロでテンポが少しゆっくりに、変拍子っぽくなるところは、ウキウキしながらもちょっと引き締める、みたいな感じですもんね。

上田：そうですね。すごくいいアクセントになっていると思います。

――繰り返される「Dang Dang Dub-i Dang Dang」のフレーズは耳なじみが良く、自然と口ずさんだり、体が動いてきます。

上田：そうですね。私もレコーディングしながら、「あぁ、ドライブに行きたいなぁ」と思いました（笑）。すごく心地の良い、ずっと聴いていたくなる曲ですよね。

歌詞に関しては、何度かやり取りがありました。自由でありたい、自分のペースで自立していきたい、というポジティブな気持ちはあるものの、それができそうな子ではなく、できなさそうな子の方が良いのかな？と思って、「もっとネガティブ寄りに」と何度か修正をお願いしました。

私はネガティブで引っ込み思案で、何事も慎重すぎて、石橋を叩きすぎてしまう、みたいな性格なので（笑）。

――「焦らずに 前向いて行こう」「休み休み 無理しないでいよう」などの歌詞に、思わずホッとさせられたり、肩の力が軽くなった気がしました。

上田：本当ですか。よかったです……。私もこの曲を聴くと、なんだか安心します。私らしくいることをポジティブに捉えさせてくれる曲ですよね。