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ブロマンス時代劇『陳情令』何度も観たくなる名シーン集【後編】

ブロマンス・ファンタジードラマ『陳情令』何度も観たくなる名シーン集【後編】~あの日の旋律と重なり合う二人の思い~

 

重なり合う二人の思い

金凌に刺された魏無羨を連れ、藍忘機は金麟台を脱出。魏無羨を雲深不知処に連れて帰り、静室にかくまっています。

赤鋒尊と共情した際に、金光瑶が弾いて赤鋒尊に聴かせていた「清心音」の旋律には違いがあったことから、邪曲「乱魄抄」の旋律が組み込まれていたと魏無羨と藍忘機は考察。これまで金光瑶の理解者として彼を信じて疑わなかった藍曦臣は、その裏の顔に動揺を隠せないようです。

そんななか、魏無羨は藍忘機の体にある戒鞭の痕について藍曦臣にたずねます。16年前、藍忘機は魏無羨をかばったとして叔父の藍啓仁(ラン・チーレン)から戒鞭300回と3年の面壁を科せられていたのでした。さらに藍曦臣は、静室(※)についても魏無羨に聞かせています。

そして耽美な雪見酒のシーン。藍曦臣から藍忘機の深い思いを聞いた魏無羨は、藍忘機に気持ちを伝えたいのに口ごもってしまいます。過去、窮奇道と不夜天で聞こえていたもうひとつの笛の音が錯覚ではなかったと、誰かが陰で「乱魄抄」を使い陳情の指令を変えたと確信した魏無羨。

しかし、その真相を知らなくてもいい、世は不確かで何でも起こり得る、悟ったと言う今の魏無羨にとって大事なのは、他に味方はいなくても藍忘機がそばにいて信じてくれること。自分の心に恥じないこと。

「藍湛 お前に捧げる 人生で1人の知己を得れば満足だ」(第43話より引用)

二人の思いが重なったと言えるこのシーン。魏無羨はようやく自分を信じてくれていることを信じることができたとも言えます。彼は、ありがとうとごめんなさいの気持ちも口にしています。

 

 

(※)静室

藍曦臣は、静室が自身の母の住まいであったことを魏無羨に明かしています。

家主であった父は姑蘇の城外で出会った母に心を奪われたのですが、母は父に心を奪われておらず、父の恩師を殺してしまいます。父は苦悩し彼女を秘密裏に連れ帰り、一族の反対も顧みずひそかに祝言を挙げます。生涯で唯一愛する妻だと宣言し、もし殺すならまず自分を倒せと。その後、母を静室に閉じ込め、自身は別の建物にこもるように。

藍啓仁に託されていた藍忘機と藍曦臣は、毎月、母と会う日を待ちわびていました。ある日、母はいないと言われてからも毎月静室へ来て、戸が開くのを待ちながら廊下で座っていた藍忘機。

時が経ち、成長して理解をしてからも静室へ来ていたという藍忘機には執着があると、藍曦臣は魏無羨に告げています。

 

標的になる魏無羨&始末する藍忘機、二人の強さと美しさ

金光瑶が雲深不知処を訪れ乱葬崗に傀儡が現れたと告げ、魏無羨と藍忘機は乱葬崗へと向かいます。

道中、「忘羨」を吹く魏無羨に嬉しそうな藍忘機。魏無羨に曲名を問われていますが、はぐらかしています。明らかに危険が待ちわびているけれど、そんなことは感じさせない穏やかな時間。少しも怖くない、魏無羨は一人ではないし、もう孤独ではありません。

その後、温寧も合流し乱葬崗に到着。乱葬崗の伏魔殿では、何者かに捕らえられた藍思追や金凌ら各世家の子弟たちの姿が。さらに、各世家の宗主たちも到着し、傀儡を操ったと魏無羨は問い詰められますが、宗主らはなんと、霊力を失ってしまいます。

魏無羨は蘇渉(スー・ショー)にある仮説を聞かせます。ここへ来るまで、琴で傀儡を退けるように見せかけていたが、実は戦曲の一部分を、人が霊力を一時的に失う旋律に変えていたと。からくりを見抜かれた蘇渉は、さらに魏無羨に追い詰められ、その場から逃げ出しています。

傀儡が襲ってくるなか、魏無羨が標的となり藍忘機が始末することに。絶対的な信頼関係があってのことですね。笛を吹く魏無羨の佇まいと、藍忘機の剣の腕、二人の強さと美しさも際立つシーン。これにより、各世家の子弟や宗主たちを乱葬崗から脱出させることに成功します。

 

 

 

金丹の真実、藍忘機の涙

乱葬崗を離れ、一行は蓮花塢に到着。藍忘機と共に、魏無羨は長年遠退いていた蓮花塢に足を踏み入れます。そこへ、訪ねてきた女二人の証言により金光瑶の恐ろしい事実が明るみに。打倒金光瑶を掲げる各世家の仙師たちを残し、魏無羨は藍忘機を連れて江氏の祠堂を訪れ、亡き江一族の位牌の前で三拝しています。

それを見ていた江澄が、魏無羨が藍忘機や温氏を守ったことで江氏を犠牲にしたと罵倒していますが、霊力を消耗していた魏無羨は倒れてしまいます。そこへ温寧が現れ、江澄に魏無羨の剣・随便を抜けと迫ります。

随便を抜いた江澄。封印されているため魏無羨にしか抜けない随便を江澄が抜いた、それは何を意味するのか。温寧が語る真実に涙が止まらない人も多いでしょう。

江澄が随便を抜くことができたのは、江澄の体内で霊力を巡らせている金丹が魏無羨のものだから。江澄の失った金丹は修復されたとされていましたが、そうではなくて、医師である温情(ウェン・チン)の手で魏無羨の金丹を取り出し、江澄に移したから。

魏無羨がなぜ剣を使わないのか。使わないのではなく使えなかったのです。金丹を失ったその体では剣を抜いても持ちこたえることができず、詭道に頼るしかなかったのです。

魏無羨の体を抱きながら涙を流す藍忘機。彼は、魏無羨を支えその場をあとにします。

金丹を移す際、金丹に影響を与えないため麻酔を使わず本人が覚醒していなければならなかったこと、成功率が5割であったことを温寧から聞いた藍忘機。その真実の全てに相当なショックを受けていることがうかがえます。

 

 

こちらもご注目

ここへきて、斂芳尊(レンホウソン)(金光瑶)の悪事が次々と明るみになっていますが、それを裏で操作している謎の人物の周到さ、綿密さはあるいは金光瑶以上かもしれないところもあり、またそれを見抜き考察する魏無羨と藍忘機の聡明さも際立ちます。

昨日まで誰もが斂芳尊と絶賛していたのも嘘のように、一夜の間に打倒すべき悪になり、逆に、これまで悪とみなされていた魏無羨は突然“魏先生”などと呼ばれています。自分に代わって金光瑶が共通の敵の座についた結果、人々に受け入れられた魏無羨ですが、ただただ懐疑の念を抱くのでした。

 

魏無羨&藍忘機、二人で合奏 “曲が終われど絆は永遠に”

雲萍にある観音廟において、事件の終局を迎えようとしています。そこには金光瑶に騙され霊力を失った藍曦臣の姿も。金凌を守ろうとして魏無羨が金光瑶に琴弦で首を絞められたため藍忘機も反撃をやめ、霊脈を自身の手で封じています。聶懐桑は捕らえられ、江澄も金光瑶の華麗なる弁舌に動揺した隙に霊力を奪われてしまいます。

そんななか、金光瑶は掘り当てた箱を開け、首をつながれた赤鋒尊の骸を見て驚愕。そこへ刀霊に憑りつかれた温寧がやって来て暴れるなか、江澄から陳情笛を受け取る魏無羨。復活後、初めて陳情を吹き、赤鋒尊の刀・覇下を導く魏無羨の強さは圧巻です。

すでに重傷を負い金光瑶が動けないなか、聶懐桑が叫んだ瞬間、藍曦臣はとっさに金光瑶に剣を向け突き刺します。廟が崩れ始め、魏無羨や藍忘機たちが外へ逃げるなか、金光瑶は藍曦臣を道連れにしようとしていたものの、覚悟を決めた藍曦臣を見て、外へ突き飛ばし一人廟に残るのでした。

魏無羨は自身の腕の傷が消えるのを確認、つまりそれは莫玄羽の最後の仇敵が死んだということ。魏無羨と藍忘機は廟をあとにします。そして、温寧と共に二人を追いかけてきた藍思追は、幼い頃のおぼろげな記憶を話し始めます。

藍思追がかつての温氏の生き残り・阿苑(アーユエン)だと知った魏無羨。もう死んだと思っていた阿苑が目の前にいる藍思追だという事実に感極まる魏無羨は、藍忘機が阿苑を救ってくれたことも知ることに。こちらも号泣シーンですね。

温寧と藍思追を見送った魏無羨と藍忘機。二人は別々の道へ進むことを決意しています。ここからのラストシーンの余韻はものすごく、多くの人の心に残る名シーンとなっています。なぜここで別々の道へ進むことを選んだのかも含めて、思いを馳せる人も多いでしょう。

それから時が経ち、「忘羨」を吹く魏無羨の後ろから「魏嬰」と呼ぶ声が。魏無羨はゆっくりと振り返り、最高の笑顔を見せています。雲深不知処に戻り、笛と琴で合奏する魏無羨と藍忘機。どんな言葉でも足りない、たくさんの思いが詰まった珠玉の名シーンです。

 

 

わだかまりがとけていく江澄

金丹のことで動揺している江澄が、観音廟で魏無羨に抑えきれない思いをぶつけているシーンがあります。魏無羨が金丹のことを言えなかったのは、苦しむ江澄のそんな姿を見たくなかったから。

江澄は、過去に交わした雲夢双傑の約束のことをこれまでに何度か口にしています。あの時、魏無羨が言ってくれたこと、江澄にとっては心の支えだったのでしょう。魏無羨は約束を破ったことを謝罪し、なんと、江澄も魏無羨に謝罪しています。本当はそれが言いたかったのかもしれませんね。

驚く魏無羨ですが、江家への恩返しだと言い、過去には執着していないから忘れるよう江澄に伝えます。そして、金子軒(ジン・ズーシュエン)の死が金光瑶の陰謀によるものだと知った江澄。魏無羨と昔のように、と簡単にはいかないですが、長年のわだかまりがとけていくのです。

 

 

「忘羨(無羈)」肖戦&王一博

 

『陳情令』何度も観たくなる名シーン集【前編】はこちら

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おわりに

最終話を初めて視聴したとき、まだ終わらないでほしいと祈っていました。ラストシーンで「魏嬰」と呼ぶその声を聞いた魏無羨の反応は、まさに彼自身の思いを物語っています。

魏無羨が復活し、藍忘機はどれだけ救われたでしょう。藍忘機がおそらくそうであったように、江澄もまた、魏無羨が死んだとは認めたくなかったはず。それぞれ、魏無羨を探し求めていたのだろうと思います。魏無羨の居場所が藍忘機になってしまったことに、江澄はどこか寂しさを覚えているでしょうか。

江澄にも、魏無羨を守るために自身が犠牲になった過去があるのですが、どうしてもその真実を告げることができないでいるのです。

藍忘機は魏無羨を姑蘇へ連れて帰るという長年の願いがようやく叶っています。世間がどうであれ藍忘機だけが、心身が蝕まれると心配し続けてくれた、姑蘇へ連れて帰ろうとしていたのは、説教や罰を与えたいからではなかったことを魏無羨もようやく理解できたでしょう。

一方、赤鋒尊と金光瑶の溝は深く、また、藍曦臣をも欺いていた金光瑶ですが、偽りばかりでもなかったのかもしれません。そう思いたいです。

『陳情令』の名シーンをお届けしてきましたが、美しい音楽も名シーンには欠かせません。音律に長ける魏無羨と藍忘機は、笛と琴で共に奏でることができるというのも本作の魅力。音楽の余韻がすごいのも『陳情令』ならではですね。素敵な作品と出会えたことに感謝です。

 

[文/藤崎萌恵]

 

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