“ハイテク忍者”誕生秘話――秋アニメ『忍の一時』シリーズ構成・脚本 高野水登氏インタビュー
「人間」としてキャラクターを作ろう
――実際にシナリオとして、キャラクターを描いていく際には、どんな点にこだわっておられたのでしょう?
高野 キャラクター全体でざっくりとしたこだわりを言うと、「地に足のついた感じにしたい」とは考えていました。それは僕に限らず、打ち合わせ初期からスタッフのみなさん全体で言われていたんですけど、少年マンガではなく青年マンガくらいの温度感で作ろう、と。つまりは「人間」としてキャラクターを作ろうという話をしていたんです。だから主人公が無双もしないし、女の子キャラが「○○だわ」「○○よ」とも言わない。フィクションっぽくなってしまう要素を、徹底して入れないように心がけました。その考え方がストーリー展開にも繋がっていて、とにかく真っ当に、真っ直ぐな話を全12話かけてやっています。しっかり全部計算して、1話も無駄にならないように作ったつもりですね。
――その中に長野さんこだわりの水着回も入っているのが、また素晴らしい話ですよね。
高野 長野さんだけじゃないですから! 水着と温泉回は僕も滅茶苦茶こだわりですよ! これが書きたくてアニメのシナリオを書いてるところがあるんだから!
――発言が力強すぎる!(笑)。
高野 当たり前でしょ!! 楽しく書きました。水着回なんて、脚本で衣装の指定までしちゃってますからね。「この子は色気のないスクール水着っぽいやつ! こっちは可愛らしいやつ! こっちはちょっとパーカー羽織ってます!」とか。中坊のときに水着回でドキドキした気持ちを呼び覚まして書きました。ただ、そんな回でもただの息抜きでは終わっていなくて、ちゃんとお話は動いているんです。
――そこもこだわりで。
高野 そうなんです。1話毎の満足感を重視したかったんですよ。全12話で連続したストーリーが展開する、縦軸のある作品ではあるんですけれど、毎話何か事件が起こって、それが解決するところまでやるのは意識していました。そうしないと、アニメに限らず、今、新しい作品に触れる人は、「次も観よう」と感じてくれない気がしているんです。何も解決しないで、謎は全部先に、先に回して、次に続くやり方のほうが楽なんですけどね。
――では最後に、ご自身もアニメ好きでもあられる高野さんから観た、今作の見どころを。
高野 とにかくこの作品は、飛び道具を使わずに、スタッフ陣からキャスト陣から誰もかれもが、全員ストレートパンチ、正拳突きの勢いで作ってくれた感覚なんですよ。だから、きっと安心して楽しんでもらえるものになったと、僕は思っています。オリジナルものは先が読めないところが魅力ですけど、先がどうなるかわからないものはどうしても当たり外れが判断しづらくて、見続けるのが不安になることもあるかもしれない。でもこの作品に関しては、安心して楽しんでもらえる、シンプルにおもしろいと思えるものを、関わってくださったみんなで作れたと自負しています。ぜひ、お気軽に観ていただければと思います。
――ありがとうございました! ……と、なんだか真面目な雰囲気でキレイに終わったと見せかけて、ごめんなさい、「最後」といっておきながら、もうちょっと続けてもいいですか? 高野さんがゴリゴリのオタクなことが判明したので、せっかくなのでもう少し軽めの話をしたくて。
高野 どうぞどうぞ。
――……ぶっちゃけ、ヒロインの内、誰が好みのタイプですか?
高野 どこが軽めですか! これまた難しい話じゃないですか!! ……やっぱりな〜。紅雪ちゃんが好きなんですよ。シリーズ後半の展開なんか、それは、それはもう、気持ちを入れて書いたんです。それも含めて、紅雪ちゃんは僕のアニメキャラに対する趣味の全てを詰め込んだ女の子なのは間違いない。綾波レイと長門有希にやられてしまった、完全に心を奪われてしまった人間だからこそ生まれたヒロインだといっても過言ではないです。そして、そんな子をサブではなくメインのヒロインにする! ってところに僕の人間性が表われている(笑)。
――わかりすぎます。
高野 ただ、紅雪ちゃんは大好きですけど、だからといって他のキャラに手を抜くことは一切ないですけどね。みんな好きです。涼子ちゃんも、オタクキャラなのにいかにもオタクっぽい見た目じゃなくて、性格も言葉遣いもしっかりしてる女の子。そういう子が、忍具の話題になるとただのオタクになるところとか、好きになっちゃいますよね、どうしたって。僕がそうだからわかるけど、オタクはみんな、そういう子が好きなはず。……あの、インタビュアーさんは、全話最後まで観られたんですよね?
――ええ。
高野 僕は綺麗みたいなキャラも好きなんで、実はかなりこだわって、あの雰囲気が出せるようにお願いしていて……。分かる方にしか伝わらない様な裏設定も隠しておいたので、気付く方がいてほしいですね!
――(笑)。
高野 いやー、もう、ダメですね。普通に話しているだけで、滲み出ちゃうんですよ、中坊のころからずっと残っている、どうしようもないオタクな感じが(笑)。それを今回の作品では、表だって全力で作品に詰め込めたので、あらあためて思いますが本当に良かったです。視聴者のみなさんにも、そんな感覚を楽しんでもらえたらうれしいですね。
(インタビュアー:前田久)
TVアニメ『忍の一時』作品情報
2022年10月より放送開始!
放送
TOKYO MX:10月4日より毎週火曜23時~
BS朝日:10月7日より毎週金曜23時30分~
CBCテレビ:10月22日より毎週土曜27:12~
AT-X:10月4日より毎週火曜20時~
リピート放送:毎週木曜8時~/毎週月曜14時~
配信
FOD:10月4日より毎週火曜23時~
※放送日時は変更となる場合がございます
キャスト
櫻羽一時:逢坂良太
加賀時貞:小西克幸
紅雪:白石晴香
黄瀬川輝麗:悠木 碧
鈴ノ音涼子:関根 瞳
伴 朱雀:坂 泰斗
高嶺火村:八代 拓
櫻羽弓香:井上喜久子
森山光蔵:田中 完
柘植礼羽:進藤尚美
伴 鳳扇:てらそままさき
高嶺焔毘:間宮康弘
椿 里美:富田美憂
美濃部鬼道:津田健次郎
上月汐音:高田憂希
五所川原隼人:前野智昭
唐獅子玄二:松風雅也
児雷坊十全:麦人
三ツ橋小南:森なな子
スタッフ
企画:DMM pictures ×TROYCA
監督:渡部周
シリーズ構成・脚本:高野水登
キャラクターデザイン・総作画監督:鈴木勇
メインアニメーター:奥田淳
プロップデザイン:江間一隆
美術監督:岩瀬栄治
美術設定:高橋麻穂
色彩設計:篠原真理子
CGディレクター:井口光隆
撮影監督:加藤友宜
編集:右山章太
音響監督:明田川仁
音楽:TOMISIRO
音楽制作:DMM music
アニメーション制作:TROYCA
製作:忍の一時製作委員会
オープニングテーマ:ハンブレッダーズ「光」
エンディングテーマ:黒子首「おぼえたて」
イントロダクション
忍者は、存在しない。…と、我々は思っている。
仮に忍者が存在したところで、忍者はその姿を我々に晒すことはない。
だからこそ、忍者は『表向きには』存在しないのだ。
主人公、櫻羽一時は、我々と同じく忍者は存在しないと思っている、普通の男子。
彼には普通の、幸せで輝かしい日々が約束されている…はずだった。ある日、一時は命を狙われ、それが甲賀忍者の仕業であると聞かされる。
なぜ一時は命を狙われたのか? それは…彼が由緒正しき、伊賀忍者第19代正当後継者だったからなのだ!
伊賀と甲賀は長年対立しており、甲賀は伊賀を侵略しようとしている。
一時が生きるためには…自らも忍者になるしかない!こうして、誰も知らない忍者の世界に身を投じる一時。一人前の忍者となるべく学び、戦い、苦難に立ち向かう。
だがそれは、一時が辿る過酷な運命の、ほんの序章でしかなかった…。
『アルドノア・ゼロ』『アイドリッシュセブン』のTROYCAが放つ、先の読めないオリジナルニンジャアクション、2022年放送開始!
関連サイト
TVアニメ『忍の一時』公式サイト
公式Twitter
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