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『メガトン級ムサシX』永井豪&日野晃博ロングインタビュー

『メガトン級ムサシX』に『マジンガーZ』と『ゲッターロボ』が参戦! 原点と最新作から見るロボット作品の魅力とは?|永井豪さん&日野晃博さんロングインタビュー

手塚治虫先生の影響から生まれたもの

日野:当時はおもちゃもいっぱい持っていましたよ。超合金とかソフビ系とかいろいろ。

永井:当時、バンダイの子会社だったポピーが「アニメの人形なんか作らない」って言ってたんですよね。『仮面ライダー』は話題になっていたけれども、アニメは売れないって思っていたんです。

でも『マジンガーZ』があまりに視聴率が良いので、びっくりして急遽作ったんですよね。そしたらすごい売れ行きになってしまって。

日野:急遽だったんですね。最初からおもちゃ企画があるわけじゃないんですね。

永井:ありませんでした。あくまでお付き合いで番組の制作に乗ってあげるよって感じ。動画のセールスも大変だったようですし。東映とのお付き合いみたいなところから始まったんですけど、あっという間に主流になりました(笑)。

日野:主流どころか、そこからすべてのロボットが始まりましたからね。すごい話ですよ。歴史の話です。

僕は子供の頃に現在のロボット作品のスタンダードが誕生したところからお客さんとして見てたんですね。

永井:そういうお客さんがいたから僕もどんどん作っていけました。

日野:おもちゃとしても新しかったんですよ。ボタンを押すとロケットパンチが飛ぶのも画期的でした。

永井:いろんな武器を考えていた時に、当時やっていたボクシングを思い出したんです。常々、僕はリーチが短いな、なんて思っていたんですよ。それでロケットパンチを思いつきました。もっと伸びたら良いなと思ってましたからね。そして飛んで戻ってくる。それだとかっこいいかなと思いまして。

日野:僕もそういうアイデアは、様々なところでリスペクトさせていただいています。日本のロボット作品は永井先生が引っ張っていきましたから。

永井:アイデアに関しては困ったことが無いくらいです。子供の時から次から次へと出ます。

日野:『グレートマジンガー』の話もお伺いしたいのですが、『マジンガーZ』が売れたから作った感じですか?

永井:僕としてはもっと『マジンガーZ』で行きたかったんですけど、次のおもちゃが欲しいというところもあって。

日野:そうですよね。おもちゃ先行での作品作りはその時代から始まっているんですね。

永井:スポンサーが強いですからね。どうしようかなと一瞬考えて、兜甲児(『マジンガーZ』主人公)のお父さんがもっとすごいの作ってなかったかな? って考えたんです(笑)。

おじいさんが作って孫にあげたってスタイルだったから、お父さんが実はもっとすごいのを作っていたんだって話にすると言ったら「それ良いですね!」となって。

もっと詳しく言うと、戦闘のスタイルももうちょっとスマートにしたり、尖った感じにして。いじりすぎると『マジンガーZ』から子供たちが離れちゃうかもしれないからその要素も残しながらでしたね。

日野:なるほど。『マジンガーZ』のZは何故Zなのですか?

永井:物語の中でいろいろと理屈をつけた気がしますけど、やっぱり僕としては手塚先生の影響が残っていると思います。

先生は僕が子供の頃に『旋風Z』って漫画をやっていたんです。ロボットものではないんですが、主人公の助手に女の子のロボットがいまして。そのタイトルをずっと良いなと思っていたんです。

それが終わったあとに、主人公が戦う相手を変えて『ハリケーンZ』っていう漫画になったんです。それを小学校高学年くらいから読んでいたので。

日野:永井先生の子供の頃にZのかっこよさに惹かれていたんですね。

永井:世代的にありましたね。

日野:やっぱりつながっていくんですね。これも知らない人も多いんじゃないかな。いい情報ですよ。やっぱりリスペクトは継続されていくんですね。

永井:手塚先生の影響は凄く大きいです。文化ってのは積み重なって行くものです。前の世代の作品にどんどん乗っかって、積んでいけばいいのでね。

日野:手塚先生も悔しいでしょうね。そんなロボットがあったか! って(笑)。

永井:そうだったら良いですね。とにかく手塚先生のロボットから変えていかなければいけませんから。自分で動くアトムでも、鉄人28号のようなラジコン型でもなくて、なにかないかなと考えていて、ずっと思いつかなかったものが、ある日ふと思いついたんです。

日野:ガンダムだろうとなんだろうと乗り込むロボットのビジネス的な側面を見せてくれて、そこから乗り込むロボットは廃れてないですからね。

3機合体が5機合体になったり、コンテンツは進化していくんですが、発想はあの頃から変わっていない。僕らも『メガトン級ムサシ』で3機合体を最新のCGを使って苦労してやっていますし(笑)。

永井:今は誤魔化しづらい状況だから大変です。『ゲッターロボ』のときのように絵をグニャッとしたりして、本当は合体できないものも誤魔化していたんだけども、それが今はできませんから。

日野:今回の『メガトン級ムサシ』のロボットバトルのシーンはフルCGですが、かなり頑張っています……! ケレン味を出すために努力していますね。どうやったら派手に、面白く、かっこよくなるのかを突き詰めています。

ぜひ合体のシーンが完成したらお見せしたいなと思っています。どんなふうになったか分かると思います。

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