この記事をかいた人

- 福室美綺
- 福岡出身。触れた作品にすぐハマる、ちょろさNo.1ライター。親友であり敵のような複雑な関係性が大好物です。
——特殊な世界といえば、今回の朗読ミュージカルも少し特殊な雰囲気だとお話されていました。特に、珠城さんは男役と女性漫画家という二役を演じられます。宝塚時代にも『ピガール狂騒曲』で一人二役を演じられていましたが、今回の朗読ミュージカルとの違いはありますか?
珠城:朗読劇というところで全然違うなと感じています。ダンスナンバーといった派手なパフォーマンスがあるわけではないので、声の言葉の抑揚やニュアンスで伝えていかなくてはいけないところは、今までやってきたものとは全然違うかなと思います。
——千葉さんもたくさんの朗読劇に出演されてきましたが、今回の朗読ミュージカルは特殊だと?
千葉:そうですね。若い役は若い声で演じることが多いですが、今回は素で喋っているような部分があるのでとても演じやすいです。実は、自分が二枚目といったイケメン役がめちゃくちゃ苦手でして……。
珠城:良い声をされているのに……。
千葉:甘い声で囁くとか、相手を落とすとか本当に難しいんです(笑)。説明なく顔がいい役柄でイケメンボイスを求められるんですけど、まったくわからなくなっちゃう(笑)。その辺りの先入観が今回の朗読ミュージカルにはないのですごくありがたいです。
——個人的に、千葉さんがイケメン役に苦手意識を持っていたことに驚きました。
千葉:かといって、元気な役を演じることも多いんですけど、元気な役が自分らしいかと言うと…(笑)。
珠城:そうなんですか!?
千葉:実はそうなんです。元気な声と、パーソナルな元気さは別物だと思っているので……。
珠城:あ~! わかります……! えっと、普段は比較的大人しいタイプの方……?
千葉:ふふっ(笑)。
珠城:こういう質問は聞き方が難しいですね(笑)。
一同:(笑)。
千葉:二次元作品でいう元気さは持っていないと思います。人と喋るのはすごく好きなんですけど、ウェーイ!やっていこうぜ!みたいなキャラでもないです。
珠城:……一緒です(笑)。
千葉:あはははは!
珠城:私よく、「珠城さんは太陽みたいですね!」「いつも明るくてカラッとしていらっしゃいますね」と言われるんですけど、別に全然そうじゃない……(笑)。
一同:(笑)。
珠城:確かに、トップスターとしてリーダーシップを取ったり、みんなを引っ張る立場になったらそういう力が出てきたりもしますが、普段の私は別にウェーイ!みたいなタイプではないので、どちらかというと、のんびりしていてマイペースな感じです(笑)。
千葉:あはははは。だからこそ、自分はそういう役でレギュラーに入るときは、収録が始まる前に皆さんに話しかけたりして自分がよりリラックスして元気な自分で居られるようにしています(笑)。
珠城:それすごくわかります! 私も人と話すのがすごく好きなので、コミュニケーションを取ったほうが安心しますよね。
千葉:今日も合間の時間に気さくに話してくださるんだなって感動していました。
珠城:初めての現場って自分も毎回緊張するんですけど、余計な気づかいや探り合いとか、ステージに必要のない緊張感があるともったいないなと思うんです。
緊張しながらも「私は大丈夫ですよ!楽しくやりましょう!」みたいな空気がちょっとでも出せたら良いなと勝手に思って話しかけています(笑)。
千葉:見事にその流れに入らせていただきました(笑)。
——お二人ともすごくチャーミングで、ますます朗読ミュージカルがどういう感じになるのか楽しみになりました。
珠城:ありがとうございます(笑)。中には、宝塚しかご覧になったことがない方がいらっしゃるかもしれないので、そのような方にも今回の朗読ミュージカルを楽しんでいただけると思います。
もちろん、千葉さんのファンでアニメーションが大好きな方でミュージカル風のステージが初めてという方も、あまり先入観もなく、身構えずに楽しんでいただけるのではないかと。途中で歌うこともありますが(笑)。
——ちなみに、お二人とも歌われるのですか?
千葉:僕も1曲歌わせていただきます。
珠城:実はまだ、千葉さんの歌を聞いていないので楽しみです。
千葉:作中でも「お前が歌うんか!」と言われている役ですけど歌います(笑)。
一同:(笑)。
珠城:そういえば、普通の朗読劇って歌わないですよね。
千葉:そうですね。七海ひろきさんと出させてもらった作品では、文化祭のミュージカルシーンみたいなところをみんなで歌いましたが、今回のように、役柄が何かを演じていてさらにその心情を抽象的に歌うことはなかったので、僕にとっては初挑戦です。
——それは楽しみです……!
千葉:ちなみに、珠城さんは歌のリハーサルもご自身でされているんですか?
珠城:一応、自分でボイストレーナーさんに見ていただいています。でも、歌はいつも緊張しますね。今日のお稽古もいきなり「歌ありで読んでみたらどうかな?」と言われてすごく緊張しました(笑)。
千葉:僕も今日はセリフのところだと思っていたので、めちゃくちゃビクビクしていました。みんなできちゃってる!と(笑)。
——千葉さんは珠城さんのようにボイストレーナーさんに見ていただくことはあるのでしょうか?
千葉:日頃頼む方がいても、曲によって見ていただくことはないですね。僕の周りでもそういう手法の方はあまりいないんじゃないかな……キャラクターソングとなると、自分で考えたものを持って行って収録という感じです。
珠城:それでできるんだったら大丈夫だと思いますよ!
千葉:ありがとうございます。できていると信じたいです(笑)。ただ、歌もそうですけど、セリフを覚えるのも単純に心配です。
——そうでした! 朗読劇で台本を床に置いて喋るシーンも珍しいですよね。
珠城:しかも、結構そのシーンが多いんです。特に、私が演じる女性漫画家のアシスタントであり姉でもある宮菜穂子さんが高橋愛さん&千葉さんの姉弟と喋っているシーンにぜひ注目してください。私はただただ漫画を描いていますが(笑)。
千葉:(笑)。
▲千葉さんが演じる槙田シンジの姉であり編集者・槙田英恵役の高橋愛さん
▲珠城さん演じる女性漫画家の姉でありアシスタント・光子役の宮菜穂子さん
——そのシーンはぜひ注目したいところですね! では最後に、楽しみにされている方へメッセージをお願いします。
千葉:自分自身、あまり見たことがないエンタメ作品になっています。自分としてもかなりやったことないことだらけなので、すべてが新鮮です。台本を置いてセリフを言ったり、作中で歌ったり、初めてだからこそできることがあると思うので、そういう感覚を今後の人生で忘れないように頑張っていきたいと思っております。
珠城:今回、出演者が4人というかなりコンパクトなカンパニーでお届けしますが、皆さんとても穏やかで、波長がぴったりと合っているような気を勝手に感じています。
朗読ミュージカルという新しい企画ですので、ミュージカルと朗読劇を観たことがない方も楽しんでいただけると思いますし、幅広い年齢層の方に喜んでいただけるステージになるんじゃないかなと思っています。
私自身、初めての挑戦がたくさんありますが、初めてだからこそ何でもやってみて良いような気もしているので、私たち4人が舞台上で大いに楽しみながら表現している姿を皆さまも一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。
——ありがとうございました!
[取材・文/福室美綺]
福岡出身。触れた作品にすぐハマる、ちょろさNo.1ライター。好きな作品は『Free!』『NO.6』『十二国記』『ギヴン』『新世界より』など。好きな声優さんは保志総一朗さんと坂本真綾さん。ハッピーエンドよりも意義のあるトゥルーエンドや両片想いが大好物な関係性オタクで、主にイベントレポートやインタビューを担当しています。最近はVTuberがマイブーム。
【開催日】2022年10月15日(土)※夜公演は貸切公演、16日(日)
【会場】ところざわサクラタウン ジャパンパビリォンホールA
【出演】珠城りょう、高橋愛、千葉翔也、宮菜穂子
【開催時間】
15日<昼の部>開場 12:45/開演 13:30 <夜の部>開場 16:45/開演 17:30 ※FC貸切公演
16日<昼の部>開場 12:15/開演 13:00 <夜の部>開場 16:15/開演 17:00
【STORY】
熱を出し寝込んでしまった姉に代わり、漫画家・桜庭(さくらば)あきらの元へ原稿を取りにきた槙田(まきた)シンジは呆然と立ち尽くす。
テーブルに置かれていたのは、絵のない、台詞のみが羅列された脚本。アシスタントの光子(みつこ)が「これが先生の執筆スタイル」と言い放つと、物語の主人公になりきった桜庭がクローゼットから登場する。
突然の事について行けないシンジ。
するとそこへ、熱に冒されフラフラの姉・槙田英恵(はなえ)が現れる。心配するシンジを他所に、脚本に書かれた台詞を
口にする英恵。
斯くして強引且つ唐突に、朗読ミュージカル「Unrequited Love」の幕が上がるのだった。
【STAFF】
脚本・演出:斎藤栄作
企画・制作:株式会社オフィスサイン
主催:株式会社KADOKAWA