秋アニメ『アキバ冥途戦争』ゆめち役・田中美海さん、店長役・高垣彩陽さん、ラーメン屋の大将役・小山剛志さんインタビュー│嵐子の誕生日会はみんながひとつになったきっかけ。衝撃的なトマトジュースのシーンは「マジで意味がわかんねぇよ……」【連載第6回】
兄貴からパピー、そして大将に
──田中さんとのお付き合いは2014年放送の『ハナヤマタ』からですか?
小山:そうです。美海もね、めちゃくちゃ思い入れありますよ!『ハナヤマタ』はいつだっけ?
田中:デビュー1年目でした!
小山:美海はすごくいい役でさ。俺は海坊主的な存在の店長役で。
田中:私のキャラが「兄貴〜」と慕っているんですよね。
小山:それだけでもうキュンとくるわけじゃないですか。実際に歌う姿を見る機会もありましたが、美海のパフォーマンスには華があったんですよ。「あれ、この子伸びるぞ?」って思った記憶があります。実際伸びました。
で、「兄貴」って呼ばれていたのが、次は「パピー」になりました。『ゾンビランドサガ』では親子役を演じて。
──ま……いや、 リリィちゃんと剛雄を!
小山: 正雄ね(笑)。
田中:(真顔で)いや、リリィちゃんです。リリィは性別リリィです!
小山:あははは! そうやって、どんどん深い関係値を演じるようになって。自分でやってるのでなんですけど、あの回(『ゾンビランドサガ』8話)は感動的でね。死因はさておき……。
リリィが亡くなって自暴自棄になって荒れ狂うシーンがあって、この世のものとは思えない叫びをしなきゃいけなかったから。あの時は「もう今日は(そのあとの予定が)飛んでもいいや」という覚悟で現場に行きました。
──めちゃくちゃ素敵な関係性ですね。
小山:そう。だから今日のふたりは俺にとって……声優界でも仲のいい人はたくさんいますけど、その中でも特に「素敵だな」と思うひと。だから嬉しいですね。
田中&高垣:嬉しい〜。
高垣:私も今日「このメンバーで取材なんだ」ってめちゃくちゃ嬉しくて。
田中:そうですね、つながりの深いメンバーで。
高垣:小山さんはみんなのお父さんです。実際、大将であり、兄貴であり、親戚のような存在。たまたま隣のスタジオで収録している時とかも、声をかけてくださるんです。信頼しています。大先輩なんですよ。でもすごくフランクに接してくださる。
田中:わかります〜! 私も会うたびに「美海~!」と声をかけてくれるので、うれしいです。いつも「優しいなぁ」と思います。
小山:これはあとでふたりにお小遣いあげないとなぁ……。
一同:(爆笑)
小山:でもふたりのことが好きだから話しかけてるだけで。
高垣:本当にありがたい。『アキバ冥途戦争』でご一緒できて、改めてすごく嬉しいです。
田中:私もです。今度は大将!
小山:というか、すごいメンバーが揃ってるよね(笑)。ゲストが「まじぃ!?」と思うほど豪華でビックリした。
高垣:本当に「よくこのメンバー揃ったなぁ!」と思いました。
田中:毎回アフレコが楽しみです。
──小山さんの中で他に気になるキャラクターはいますか?
小山:現時点ではキャストの名前は出せないんですが、次の話数から登場する愛美がお気に入りですね。普段は正反対の、かわいらしい役を演じられることが多い方なんですよ。でも「こうすると声が低くなるんですよ〜」って、アフレコ前に声のチューニングしててね。あんなにかわいらしい声を出す人が役のために精魂込めて準備してるってすごいなと思いました。一緒に録ったということもあるんですけど、カッコいいなというイメージがあります。
──小山さんは大将を演じる上でイメージトレーニングやチューニングをされることはあるんでしょうか。
小山:チューニングみたいなことはないんだけど、「感情を入れずにひたすらぼそっと言ってくれ」というリクエストをスタッフからいただいているんですよ。だからそれは意識していますね。
メイドシープ地下のトマトジュースのシーンで実は
──では5話のことについて、もう少しお伺いさせてください。5話のアフレコはいかがでしたか?
高垣:「数え歌」が楽しかった。
一同:(笑)
──<一人で花を作るより~二人で作りゃ金になる~>(笑)。すごい歌詞だ……。
高垣:曲資料をいただいたときに「なんだこれ」と(笑)。台本を読んで「ああ、内職してる時の歌なんだ」と。<はぁーべったんこーべったんこっ>と。
田中:私、歌いたかったんです! ゆめちは歌えなかったんですよ。
高垣:あ、そうか! ゆめちは接客中だったもんね(笑)。お客さんが入っているから、ボソボソ歌ったほうがいいのか、ノリノリのほうがいいのか悩んで。「こういうのもどうですか?」と、別パターンも提案させてもらったんです。最後に録った、ノリノリの演歌っぽいパターンが採用になりました。
──現場も盛り上がったでしょうね。
高垣:そうですね、少人数ではありましたけどすごく楽しかったです。あの嵐子の<はぁーべったんこーべったんこっ>のテンションが良いですよね。あと嵐子の「…へい」がすごく好き(笑)。
田中&小山:(笑)
高垣:「へ、塀って…あの『塀』!?」となごみがいったあとの、「へい」という返事。「これってあえて“はい”、じゃなくて“へい”なんですよね?」っていう話をしました(笑)。
小山:嵐子ってちょいちょい面白いシーンがあるんですよね。本人が自覚してるかは分からないですけど。サトリナ(佐藤利奈さん)のあの低音のベースがあるから、ちょっとした面白さが際立つ。
──あのお声がかっこいいですよね。なごみ役の近藤玲奈さんの声ともマッチしていて。
小山:カッコいいね、本当に。
高垣:あのトマトジュースのシーンも良いんですよね。ともよちゃんも前回の取材のときに「トマトジュースのシーンが好き」って言ってましたけど。でもよく考えると、とんでもない拷問ですよね(笑)。メイドシープ怖い……。
田中:怖い。「ふわりん!」って言ってるのに。
小山:あのシーン、マジで意味がわかんねぇよ……。そもそもあんな大きな樽、なんのために用意されてるんだよっていう(笑)。嵐子がトマトジュースを飲もうとするシーンは思わず笑っちゃった。
高垣:そうそう「頂戴します!」っていう。あのシーン、アフレコのときに、制作チームの方が「一応……トマトジュース用意しました!」って。
小山:ほお?
高垣:それでトマトジュースを利奈さんに渡されていて。利奈さんも「せっかくなので」と飲んでいる音を録られていました(笑)。トマトジュースってこぼしたら洋服が大変なことになるじゃないですか。だから見ていてハラハラしていました(笑)。他にもそういうことがあるんですよ。例えば、店長がゴルフボールのピンを咥えさせられていたシーンがあったじゃないですか。
──2話ですね。あれもまたすごいシーンでした。
高垣:あのシーンで私は「細いペンでも咥えようかな」と、持っていったんです。そしたら「高垣さん、これ用意しておきました!」ってゴルフのピンを渡されて(笑)。
田中:えええ!?(笑)
高垣:しかも「セットしか売ってなくて」と、結構な量があって(笑)。「せっかくなので、テストと本番で」と2本いただきました(笑)。
小山:めちゃくちゃリアルを追求してるなあ。リアリティとは程遠い話なのに。
田中:あのシーンを見たときに「なにか咥えているのかな」って思っていたんですけど、ガチでピンだったとは!
高垣:リアリティがありますよね。というわけで、この回では利奈さんがトマトジュースをがぶ飲みしています(笑)。そのあとのセリフも、トマトジュースを飲んだ直後なので、すごくリアルだと思います
小山:トマトジュースって水とはまた違うもんね。喉に引っかかる感じがあるから。サトリナもだけど、制作陣もすげぇなあ(笑)。