『リコリコ』は全員が愛すべきキャラクター! 役作りは「キャラクターと自分が寄っていく感覚」│舞台『リコリス・リコイル』千束役・河内美里さん&たきな役・本西彩希帆さんインタビュー
舞台の面白さとは? そして舞台『リコリコ』への意気込みは?
ーーアニメは声の演技と絵の演技が合わさってひとつのキャラクターになるのですが、声優さんの演技についてはどう思いましたか?
河内:戦闘シーンは舞台でも演じますが、声優さんはマイク前であの臨場感を出すじゃないですか。真島にお腹を蹴られたところの声も忘れられないし、たきなの肩がワイヤーで擦れたときの叫びとか、「肩取れちゃう!」って思いましたし。
そういう臨場感がすごく伝わってくるお芝居だなと思いました。戦闘シーンでの掛け合いとかは、舞台ならではのものができると思うので、そこは考えながら見ていました。
ーー千束は人工心臓だから息が乱れないというのもありますが。
河内:そうですよね……。それはまずいな(笑)。
本西:そっとお水、出しますね(笑)。
河内:あとは声色だけだと何を考えているかわからなかったりするんですよ。第1話の公園でたきなと話すシーンでも、いろいろなものを抱えた中で、いろんなことを思い出しながら語っているんだろうなぁとか。でもたきなに向けたときは、いつもの明るい天真爛漫な千束がいたり、そういうコロコロ変わる感じが、彼女の儚さと掴みどころのなさを表現しているんだろうなと思いました。
ーーたきなはいかがでしたか?
本西:たきなは言葉で語らない部分も多いキャラクターだと思いました。表情とか佇まいで語ることも多いんですよ。声のお芝居も素晴らしかったし、特に居方(いかた)でたきなと千束の違いがはっきり出ているなと思いました。今この子はこういうことを考えているのかなって汲み取りながら観ていくと、あそこであの表情をしていることには、こういう意味があったんだなとか。それは『リコリコ』の面白さですよね。でもパワーがしっかりあるから、吸引力のあるキャラクターだと思いました。
ーー12話のヨシさんに向けた殺意丸出しのたきなの表情は、7話でのバーでヨシさんへ向けた表情が伏線になっていたりしますからね。
本西:第12話のたきなを見て、「たきな、こんな顔もするんだ!」って思いました。第1話ではあんな無表情で撃っていた子とは思えない。
ーーたきなは成長するし変化もするから、そういう意味でも演じがいがありそうです。
本西:そうですね。
河内:ふざけるときもあるしね。水族館でのシーンとか。
本西:それも全部は千束を励ますため、人のためにやっているところがあるから、そこも愛おしいと思います。リコリコのみんなと過ごしてきて、心を許したたきなだからできることだなって。どうしてもたきなのことを思うと母親みたいな気持ちになっちゃうんですけど(笑)。
ーーここから稽古も始まると思うのですが、役作りとしては、アニメをなぞるわけではないんですよね?
河内:そうですね。アニメで描かれているキャラクターを大切にしつつ私たちがやる意義というのは大事にしたいと思っています。キャスティングをしていただいた時点で、その役ができるだろうと見込まれていると思うんです。だから、どんなキャラクターなのかしっかり自分に取り込んだうえで、その中で振り幅を作っていければ、舞台をやる意味があるんだろうなと思っています。
ーー今回は原作がアニメになるので、そのキャラクターを入れる感じですかね。
河内:こういうトーンでしゃべるんだな、こういう温度感なんだな、こういうクセがあるんだなというのは頭に入れておきます。お客さんが見たときにどういう印象を受けるのかを考えて、原作の印象を与えられるようにしようと思っています。そこからは演出家さんのオーダーに応えていく感じになりますね。
本西:私も特徴とかキャラクターのプロフィールは頭に入れておきます。そこからは演出家さんと一緒に稽古をしていく中で決めていこうかなと。「アニメではここしか切り取られていないけど、このときのたきなはどうなんだろう?」という部分は遊べるところなので、大事にしようと思いました。キャラクターと自分が寄っていく感覚を掴みながら、作っていくと思います。
河内:舞台って地続きで繋がっていくけど、アニメにはカット割りがあるからね。
ーーアニメでは見えていないところ、例えばセリフをしゃべっているカットのとき、聞いている側はどうしているのか、舞台では観れるから面白いですよね。そういう意味では、舞台上にいる間はそのキャラクターになり切っていないといけないから、そこは演じていても楽しそうです。
本西:私は最終稽古で完成するタイプの人間だから、最初の頃と比べて結構変わるんです。そういう変化も楽しみながら、たきなに寄り添っていけたらいいなと思います。
河内:そうだね。稽古で試行錯誤していきたいね。
ーーそれと舞台の楽しさでいうと、公演ごとにお芝居が変わるところがありますよね。
河内:それは自分がやっているときも、客観的にほかの人のシーンを見ていても感じるところで、今日はこういうふうに気持ちが動いたんだなって思ったりするんです。演じているのも人間なので、心がお互いに作用し合って、そのときだけ生まれるものがあるんですよね。
本西:今日のこの人、すごいな!って思うときがあるんですよ。すごく感情をもらえるなって。そうすることで生まれる自分の気持ちもあるから、お芝居で返すというやり取りが、舞台の楽しいと思うところです。その日その日の最大限を出しているからこそ生まれる何かがあることが、すごく魅力だし、舞台でしか感じられないものを伝えられたらいいなと思います。
河内:本当にそう思います。お客さんも周りの人から伝染して感情が動くことがあるし、それで会場全体の空気が変わる瞬間があるんです。それって舞台上の我々ももらうことができるので、その一体感も実際に来ないと感じられないものかなと思います。
本西:1回だけでも楽しめるし、『リコリコ』って全員が愛すべきキャラクターだから、今日は千束を定点で観ようとか、たきな定点にしようとか、そういう見方もできるので何度でも観ていただきたいです。
ーーちなみに、今日のビジュアル撮影はどうでしたか?
河内:制服が可愛くてすごくテンションが上りました。カバンなどの小道具にもこだわっていましたし、アニメが好きな方も絶対に喜んでくださると思いました。喫茶店の着物の制服も素敵でした。
本西:アニメで見たままなので気持ちが上がりました。ウィッグもお化粧もしてもらうと、夢心地だったところから現実になるというか、キュッと身が引き締まりましたし、やるぞ!って気持ちになりました。そして何年かぶりのツインテール! 頑張ります!(笑)。
ーーでは最後に公演を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。
本西:大人気作品ですので、私たちもしっかりと愛を持って、真摯に取り組んでいきます。観に来てくださるお客様に喜んでもらえる作品づくりをしていくので、アニメの『リコリコ』が好きだ!という方も一度、足を運んでいただけたら嬉しいです。
河内:私たちも皆さんと同じように『リコリコ』を愛して、その良さを舞台の上でギュッと詰め込んで良いものにしようと思っていますので、楽しみにしていてください。
逆に舞台が好きだったり、役者が好きという方が観ても絶対に面白いと思うので、そこからアニメも観ていただければ嬉しいです。どちらからのファンでも楽しんでいただける舞台にしていきたいですし、キャスト・スタッフ一同一丸となって、素敵な作品にしていきたいと思います。2023年は一緒に舞台『リコリコ』から走り出しましょう!
[取材・文/塚越淳一]
舞台『リコリス・リコイル』概要
タイトル:舞台「リコリス・リコイル」(読み ブタイ「リコリス・リコイル」)
日時/会場:2023年1月7日(土)~1月15日(日) 天王洲 銀河劇場
銃器協力:TOKYO MARUI
協賛:MEIKO
主催:舞台「リコリス・リコイル」製作委員会
企画・制作:ANIPLEX/Office ENDLESS
原作:Spider Lily
脚本:ほさかよう
演出:山崎彬
出演
錦木千束:河内美里
井ノ上たきな:本西彩希帆(劇団4 ドル50 セント)
中原ミズキ:石井美絵子
クルミ:大渕野々花
ミカ:北村圭吾
楠木:三枝奈都紀
春川フキ:田上真里奈
乙女サクラ:彩木咲良
蛇ノ目エリカ:井尻晏菜
吉松シンジ:小野健斗
姫蒲:新谷姫加
ロボ太:竹内凜太郎
真島:仲田博喜
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