ふたりで『ルパン』の系譜を徹底研究。たどり着いた答えは“音楽”にあり? アニメ『LUPIN ZERO』ルパン役・畠中 祐さん×次元役・武内駿輔さんインタビュー
『ルパン三世』は終わりも正解もないのが魅力。おしゃれな音楽も欠かせない要素
――『ルパン三世』シリーズが長く、たくさんの方に愛されてきた魅力や理由はどこにあると思われますか?
武内:『ルパン三世』には絶対的な正解がないと思うんです。一人ひとり、その人にとってのルパンがいて、ストーリーがあって。そしてモンキー・パンチ先生がこれまでルパンのたくさんのストーリーを紡いできましたし、今もアニメがあるようにいつまでも終わらないところが愛され続ける理由の1つかなと。そして素晴らしい音楽も欠かせません。
畠中:『PART1』が1971年に放送されましたが、50年経ってもまったく色あせなくて。おしゃれかつジャジーな音楽で。またルパンという男はつかみどころがないけど、どの世代の人から見てもカッコいいと思ったり憧れるところがあるし、音楽に例えればルパンがジャズなら次元はクラシックで、まったく違う二人なのにスイングする絶妙なコンビ感やバランスもあるんです。
――アダルトなクールさやセクシーさが作品全体に漂いながらもコミカルさやアクションも魅力的で。ある意味で、アニメには大切な要素やエンタメがすべて詰まった作品のような気がして。個人的な話ですが、『ルパン三世』との出会いがアニメを好きになったきっかけでした。
畠中:それはすごく嬉しいですね。
武内:ルパンはカッコいいサ●エさんだからね(笑)。
畠中:国民的だからね。
武内:テーマが普遍的なものを取り扱っているものが多いですし。そして声優文化と『ルパン三世』は強く紐づけられていると思うし、声優という仕事への認知度や地位を上げようと貢献してくださった山田康雄さんの生き様も『ルパン三世』に浸透していると思うんです。声優が好きな方に限らず、エンタメに関わる方々からリスペクトを受け、今もなお影響を与えている作品だと思っています。
70~80年代の文化が再評価されている今だからこそベストタイミング! 絵や音楽、お芝居などビンテージ感を意識
――そんなルパンと次元の少年期を描いた『LUPIN ZERO』は『ルパン三世』シリーズを最初から手掛けてきたテレコム・アニメーションフィルムが制作し、監督やお二人をはじめ、『ルパン三世』を愛している人たちが本気で作っていることが一目見ればわかります。今の若い世代の人にこのおもしろさを伝えるとすれば?
武内:今、80年代の音楽が流行ったり、昔のエンタメが注目されている流れがありますが、当時のOP映像を今見てもおしゃれなんですよね。モノトーンではなく、黒と青などの1枚絵が切り替わる演出など楽しんでいただけると思うんです。今作もそんなおしゃれ感は踏襲されているし、MV的に見るのもアリだと思います。
――昭和の高度成長期を舞台に、絵の質感も昭和のアニメのようにあえてザラっとしていたり、すごいこだわりですよね。
畠中:わざと街中に電車を走らせたり。
武内:今、ファッションでもビンテージものが再評価されてきて、あえてダメージ感を付けたり。そんな技術がみんな、どんどんうまくなっているように、エンタメ界も上手に表現できるようになっているのかなと。“なんとか風”ではなく、当時をリアルに再現することによって美しく見せる。
だから『LUPIN ZERO』は今の時代にピッタリのタイミングで出てきたんじゃないかなと思っています。そしてアニメの黎明期に作られた作品のパワーや魅力を少しでも『LUPIN ZERO』を通して感じてもらえたら嬉しいです。
畠中:僕らキャスト陣も昔のグルーヴ感を出そうとやってきたので、楽しんでもらえたらいいですね。今回、脚本を読ませていただいたらすごくおもしろくて。おもしろいは世代を超える気がするんです。それに武内くんはZ世代なので、Z世代も楽しめるでしょう(笑)。ルパンと次元の出会いが描かれているから若い方や未見の方にも入りやすいのでは?
武内:『LUPIN ZERO』から入って、『PART1』を見るという楽しみ方もあると思うので、「『ルパン三世』はたくさん出ているからどこから見たらわからない」という方はまずはここからで。ルパンたちはハチャメチャやっているようで、自由に生きようともがいている姿を微笑ましく感じ取ってもらえたら十分に魅力が伝わるのではないかなと思っています。