好きだったアニメの主題歌を妄想で作っていたら新シリーズのOPテーマに!? アニメ『虚構推理Season2』OPテーマ「ヨトギバナシ」の配信を控えるカノエラナさんにインタビュー
オーダーは「紫から白に」?
──「ヨトギバナシ」においてもご自身で作詞・作曲されていますが、制作サイドからのオーダーはあったのでしょうか?
カノエ:第一段階で私から曲をお送りさせていただいたら、「この感じで大丈夫です。あとはAメロ、Bメロが紫色で来て、サビで真っ白になってください。歌詞は言葉遊びをしていただいて大丈夫です」と。
「なんてわかりやすいオーダーだろう」とすぐに理解してサビを改造というか、丸ごと入れ替えました。またそこで言い切れなかったことをAメロとBメロで書き足して、すぐに再提出しました。
──この曲はどういうイメージで制作されたのでしょうか?
カノエ:タイトルも歌詞も最初に作った時のままで、1期を全部見終わった後のお話も原作を読んで知っていたんです。
なので、その先のお話で私が印象に残った部分を歌詞に落とし込んだり、一期で鋼人七瀬の物語が結構描かれていたので、その要素を2番のAメロのあたりに入れてみたりといろいろな仕掛けをまぶしています。
でも私は琴子ちゃんが好きなので、語り部として物語を紡いでいくスタンスを崩さないように、一人語りでいろいろなお話を紹介していく形で歌詞を書きました。
最初に作った「ヨトギバナシ」をベースに、この2年間の間に自分の中で感じ方が変わったのかを確認するためにもう一回原作を読み直したり、サビを変えてみたり。一度作った曲を、時間をおいて再構築するというやり方をしたことがなかったので新鮮でした。
──ちなみに曲が先でしたか? 歌詞が先ですか?
カノエ:いつもほぼ同時ですね。「こういう歌詞が歌いたいからこういうメロディにしようかな。でも言葉尻が合わないからメロディ伸ばしてみよう」ということを同時にできるので。左手でギターのコードを押えながら右手で歌詞を書いて、録音もしてというスタイルで、今回もそうです。
──歌詞を読むと古今東西の伝奇、おとぎ話から童話まで、誰でもどこかで見たり、聞いたりしたことがあるお話や主人公が満載ですね。
カノエ:『虚構推理』もそういう要素があるので。ただの推理ものではなく、ただの恋愛ものでもない、ただの妖怪ものではないといろいろな要素があるので、和っぽいものも洋っぽいものも全部詰め込んでしまおうと。それでも「一人の人が語っていれば、その人の物語になるから」という本のような作り方をしてみました。
──サウンドもメルヘンや和、そしてサビは王道のJ-POPやアニソンを感じるフレーズなど、音の遊園地のようなおもしろさや楽しさを感じました。
カノエ:ごちゃごちゃの世界観でいこうと。まさに紫からサビで真っ白の世界へ。「いろいろな世界へ飛ばされたみたいに表現できたらいいんですけど」と、この曲のアレンジャーであり、私のライブでもバンドマスターをしてくださっているエンドウ.さんに相談したら、
私が想像していた以上にひっちゃかめっちゃかな曲になっていて。
「これは私が求めていたおもちゃ箱みたいな曲です! これでいきましょう」と。またゴリゴリなところがあったり、スカっぽいところは裏打ちでいってみたり、「ここでコーラスを入れたら妖しくなるかも」とかアイデアを出し合いました。
──歌い方からもカノエさんのいろいろな表現を感じられますね。
カノエ:今回はいろいろな歌い方をしました。妖しく歌ったり、強いところは本気でぐっと下がるような声で歌っているし、コーラスワークは妖怪みたいに人外感を出したり、ささやいてみたり。一曲でいろいろな私の声を聴けちゃうセットみたいな(笑)。
──TVサイズでも変幻自在ぶりが感じられますが、フルサイズではさらに楽しみ方が広がる気がします。
カノエ:1コーラスを聴いてもうちょっと聴きたいなと思ったところで、急に2コーラスめで世界観が変わるという仕掛けもしています。
『歌楽的イノセンス』を作った時は、転調する曲はあまりなかったんですけど、今回は「AメロとBメロは低くおどろおどろしい感じで、サビでは思い切りぶっ飛ばして。ここまでいろいろな作り方を研究してきた成果であり、見本ができた気がします。
──ご自身的な聴きどころや注目ポイントを挙げるとすれば?
カノエ:一人の語り部がいろいろな声色を使って、様々な登場人物に成り代わっているし、サウンドもジェットコースターみたいにアップダウンが激しいのでぜひフルサイズで楽しんでほしいです。
MVは『虚構推理』を意識しつつ、ショートムービー風に
──MVはホラーっぽさがありつつ、しっかりと結末もあって。ショートムービーのようでした。
カノエ:『虚構推理 Season2』のキービジュアルが「あれ? 琴子ちゃんの後ろに誰かいる!」みたいな感じだったので、私もそれっぽくなってみようかなと。どうせ自分を前面に出すのであれば、全然人とは違うものに成り代わろうというのが最初のコンセプトでした。
ただ、おどろおどろしくなり過ぎないようにコミカルな部分も入れてみました。面白半分に心霊スポットへ撮影に来た男の子たちがどんどん不思議な世界に引きずり込まれて、パニックになって。
最後で「わっ!?」となる部分は私から監督に「こういうのも入れてみてもいいですか?」と提案させていただきました。
──衣装と髪色はジャケットと同じに。
カノエ:ウィッグを付けました。もしかしたら今までで一番なじんでいるかも(笑)。また元々和風のものが好きだったので、雪駄で歩いたり、ライブでも羽織を着たりすることはありましたが、帯を締めてしっかりと和服を着る機会はなかなかないので、私だけではなく、いつもの私を知って下さっている方も新鮮だったのでは?
──ジャケットもインパクトがありました。
カノエ:一度見たら忘れられないというか。でも怖くなくて、かわいく思えるのはこの赤いちょうちんくんがいるからでしょうね。『虚構推理』に登場する妖怪たちもコミカルでキャラクター感があって、温かい部分も表せたらいいなと思って、作っていただきました。
カノエラナが「アニメの世界に進んでいきます。よろしくお願いします」というごあいさつの1枚なので、『虚構推理』の世界観に寄り添えていればいいなと思います。私も『虚構推理』のいちファンなので、今シリーズもリアルタイムでチェックして、いっぱいツイートしたいです(笑)。