ClariSが語る『リコリス・リコイル』とOPテーマ「ALIVE」のすべて/インタビュー
補うだけでなく高め合える関係でいたい
――改めて、「ALIVE」はお二人にとって、どんな楽曲だったのでしょうか。
クララ:レコーディングのときは、アニメがどんな展開になるか全くわからない状態で歌っていたんです。千束とたきなという女の子2人が軸になって物語が展開していくことは知っていて、掛け合いの部分の歌詞などからもそれは感じ取れたのですが、自分たちと重なる部分も多かったんですよね。
ですので実際に歌うときは、自分たちに置き換えて歌っている部分が強かったんです。そうやって感情を込めて歌っていったものが、アニメを見ていく中で、どんどん千束とたきなにリンクしていくのがすごく嬉しかったですし、この楽曲を私たちが歌えて、本当に良かったと思いました。
カレン:掛け合いでは、2人の絆の強さ、存在の必要さを改めて感じました。この曲をレコーディングしたときは、全身全霊をぶつけていたので、燃え尽きちゃうくらいの感情を吐き出していたんです。でも、アニメを経てから歌うと、歌えば歌うほど燃えてくるんですよね。ですのでこの曲に出会って、自分の心、感情の芯の部分が強くなった気がしています。
――アニメから曲に入ったので、千束とたきなに合った歌詞だと思いつつ、ClariSにも当てはまる歌詞だと思っていたんです。今ライブで歌うと、リコリコの2人のことも頭に浮かびながらになるんですね。
クララ:やはり入ってきますね。振り付けもガンアクションがあったり、リンクするところがたくさんあるので、バディ感というか2人が乗り移ったじゃないですけど、2人を感じる部分があるので、よりアニメへの想いは強いものになっていると思います。
カレン:そうだね!
――どちらかというと千束がクララさんなのかなと。
クララ:それがすごく難しいんですよ!(笑)。
カレン:私たち性格が正反対で、千束とたきなも違った正反対じゃないですか。
クララ:千束の明るくて天真爛漫・自由奔放みたいなところはカレンなんです。でもそうじゃない部分もあるから、ここはたきなっぽいよねとか、バラバラなんです。
ただ、絆の深さとか、相手を思う気持ちという意味ではすごく理解できるなと思っていて、私もカレンに対してそういう気持ちを持っているなと思いながらアニメを見ていたんです。だからアニメを見てからだと、歌い方、ひとつひとつの言葉への感情移入の仕方がすごく変わったんですよね。
――〈利己的な感情 ぶつけあっちゃ(まだ)見えないね/逃げて来た分の距離を埋める(ほら)旅に出よう〉とありますけど、2人は絆が深まった出来事とかはあるのですか?
クララ:たくさん時間を重ねる中で、どんどん深まっていった感じかなぁ。大きな出来事があったというよりは、経過だと思うんです。
――2人で一緒にいる時間は長いのですか?
クララ:長いです!
カレン:ほぼ毎日です。
クララ:家族よりも一緒にいるよね。
カレン:うん。家族よりも知ってる(笑)。
クララ:ただ、2人で始めた頃は、お互い人見知りで、いきなり距離を詰めるのは得意ではなかったんです。
カレン:どっちもたきな、みたいな感じで(笑)。
クララ:そう。探り探りで近づていったんですけど、お互い得意不得意があって、そこでぶつかるのではなく、得意なほうが引っ張っていくということができたんです。そうやって活動していく中で、感覚的に「いいね」って思うものが似ていることに気づいて、そこからはどんどん近づいていき、私たちにしかない空気感が、気づいたらできていたという感じなんです。
カレン:だからアニメとも似ているんですけど、気づいたらもう切っても切り離せない……。
クララ:切り離したくない……。
カレン:切られても絶対に離れない!という存在になっていました(笑)。
――補い合えているのがいいですね。
クララ:〈示された答え選ぶより/新しい夢を目指すから(ずっと)/眩しい道を歩いていこう〉という歌詞で終わりますけど、2人でひとつのものに向かって頑張る気持ちって、2人にしかわかりえない感情だったりするし、お互いを思う気持ちが詰まっている感じがするので、すごくリンクするんです。
私たちの活動も同じことを続けるのではなく、新しい夢・世界を見たいから新しい曲に挑戦をするので、この曲はいつも私たちの背中も押してくれるんです。
カレン:その歌詞は本当にすごくわかるなぁって思うんです。「1」あるものを「100」にするのも大切だけど、「0」から「1」を創るのってすごく難しいことなんです。でも私たちはそれもやってみたい気持ちがあるんですね。でもそれって勇気がいるし、失敗もするかもしれない。でも「ALIVE」の歌詞を通して、挑戦することへの恐怖が取り除かれて、挑戦への前向きで強い気持ちをもらえたんですよね。もともと自信がないタイプなのですが、自分自身も強くしてもらえたと思っています。
――作詞とかはまさに「0」から「1」の作業ですし、同じシングルに収録されている「ループ」も作詞をされていますよね。
クララ:そうですね。2人でそういう話をしている時間が楽しいので、これからもたくさん「0」から「1」を生み出せるように頑張りたいです!
――得意不得意というのは、どんなところをお互い補い合っているのですか?
クララ:たとえばダンスが得意なカレンは振り付けを考えてくれて、私は衣装を担当したり。
カレン:ライブのセットリストでは、私がストーリーを考えて、それに合わせた衣装はクララが考えてくれるんです。ただ私たちは、ずっとそのバランスでやるというわけでなく、お互いがどちらもできるようになりたいという気持ちがあるので、補うだけでなく高め合える関係でいたいと思っているんです。
クララ:歌も私がバラード、カレンはアップテンポな曲が得意でしたけど、レコーディングを重ねていく中で、苦手だと思っていたものも楽しく自分らしく歌えるようになったんです。2人でお互いを引っ張り上げてこられたので、よりいいものが届けられているんじゃないかなと思います。
――いい話です。2人の歌に関しては、どんな曲でも2人の声が合わさったときが最強だと思っています。ユニゾンがこんなに素晴らしいユニットは他にないなと。
カレン:嬉しいです! 私たちもたまに1人に聴こえるんですよ(笑)。
クララ:不思議だよね。誰か解明してほしい。
カレン:ヘルツみたいなのを調べてみたいよね。
――波形がどうなっているのか知りたいですね(笑)。お二人はこの先も新しいことをしていきたいという感じなのですね。
クララ:そうですね。昨年リリースした「Masquerade」と「ALIVE」は、これまでのClariSらしさとは違うことに挑戦して、それを皆さんに受け入れてもらえたんです。これもClariSらしさにしていけるんだ!って確信を持てたので、今までになかったジャンルに挑戦したり、それぞれの個性を活かせるものを届けられるようにしたいです。
カレン:コロナ禍から、昨年はグンと動き出せて、私たちに関しては、こういう対面でのインタビューも昨年から初めたんです。そこからテレビ出演や『THE FIRST TAKE』など、「ALIVE」は私たちの可能性も広げてくれたので、多くの方の愛でいただけたチャンスを、今年は自分たちの手でしっかりと掴んで、広げていける1年にしたいです。