日本武道館公演を控えるGRANRODEO ブルーノート東京でのライブをパッケージした「GRANRODEO Live Session “Rodeo Note” vol.2」、『黒子のバスケ』アニメ10周年記念アニバーサリーソング「ゼロステップ」についてKISHOW、e-ZUKAに聞く
『黒子のバスケ』×GRANRODEOで原点回帰
──『黒子のバスケ』×GRANRODEOで、さまざまな名曲が生み出されてきました。改めておふたりにとって『黒子のバスケ』はどのような存在の作品ですか?
KISHOW:漫画やアニメの見地で言うと、『SLAM DUNK』ロスのようなところにいたときに、新たなバスケ漫画として誕生して。バスケ漫画として『SLAM DUNK』が金字塔を打ち立てたから、そこに続くバスケ漫画というのはしんどかろうな、と個人的に思っていました。
でも『黒子のバスケ』という、これまでの作品とは違ったブランディングを作り上げ、時代の引力に引き寄せられたように、人気に火がついて、アニメ化にもなって。我々的に言うと、そこにGRANRODEOも引き寄せられて、何かご縁を感じていました。
この17、8年で数あるタイアップを担当させていただいた中で、やはり『黒子のバスケ』は特別な存在だなと思っています。勝手に運命のようなものを感じざるを得ないと、僕は思っていますけどね。
e-ZUKA:「Can Do」が16枚目のシングルだったんですよね(2012年)。それまでもいろいろと曲は出してきてはいたんだけど、ここでなんか……メジャー感と言いますか、そういうものを出せたような気がしています。
僕らも気合いが入りすぎていたんですよね。4曲つくったうちの2曲目が「Can Do」だったんです。こちらが懸念したストレートさや潔さが、逆に青春感やスポーティな感じに合って良かったのかなと思っています。
「RIMFIRE」は歌詞も先に出来ていて。そこでガンガン言葉を使ってしまったものだから「Can Do」はストレートな言葉になっていたんですよね。
──なんだか運命的と言いますか。結果的にそのストレートさが欲しかったという。
e-ZUKA:そうなんですよ。だからちょっと変わっためぐり合わせで、それも思い出深いですね。
──「ゼロステップ」はその「Can Do」のストレートさを引き継いだ曲ですね。
e-ZUKA:もともとそういうオーダーをいただいていたんです。途中ラブソングを出したり、ソウルっぽい曲を出したり、ときにはカッコつけてみたりと、いろいろな曲を出していたんですけど、原点回帰で「Can Do」のようなストレートな曲でいきましょうと。
──制作はどのように進められたんですか?
e-ZUKA:まずはいつもどおり僕が曲を作って。お題としては「Can Do」のような原点回帰したサウンド、そして小野賢章くんとのデュエットで、ということで。
だから気負いなく作っていたんです。小野賢章くんも参加するし、ストレートな曲ということで、GRANRODEOとして新しいところを見せるというプレッシャーもなく。自分的にはストレートで、80年代のハードロックポップのイメージで作りました。
──KISHOWさんはどういった心持ちで作詞に挑んだのでしょうか。
KISHOW:10周年ということで、やることはハッキリしていたんでね。曲を聴いたときに「Can Do」らしさを感じて、e-ZUKAさんがそういう発注を受けていたんだろうな、というのは想像に難くなかったものですから。
つまり歌詞もそういうことだろう、と感じたメロディーに対して素直に言葉を書いていきました。「Can Do」を作ったときの感覚がちょっとだけ蘇った感じはあったかもしれませんね。変にこねくり回さず、素直に原点回帰しました。
それに加えて、『黒子のバスケ』の楽曲は劇場版を含めて7曲作ってきたので、それを経ての、肩の力の抜けた感じがあればいいなと。それが明確に頭にあったので、歌詞はすっきり出てきた記憶があります。
──<(Go for it!)>という言葉は原点回帰の意味を込めて入れたものなのでしょうか?
KISHOW:あまり意識はしていなかったんです。ちょうど3つのアタックに<(Go for it!)>という言葉が合ったので(笑)。「Go For It!」は僕が唯一歌詞を書いてない曲ではあるんですけど(笑)、セルフパロディってわけじゃないのですが、自分らの持ち曲の言葉を当てはめたような気がします。そこまで意図的に作ったものではないです。
──さきほどから記憶を辿るようにお話されていますが、制作されたのは結構前なんですか?
KISHOW:2年前くらいになるかな。
e-ZUKA:いつだったかなぁ、結構前ですよね。賢章くんが分厚いコート着てきたのを覚えてるから、冬だったかな。この曲に合わせて絵を作るということだったので、制作は早めだったんですよね。しかもフルコーラスで作ると。それは事前に聞いていました。
──新作アニメ映像によるミュージックビデオが公開されたとき、ファンの皆さんが「黒子たちが動いてる!」と感動されていましたよね。しかも「Can Do」らしさを感じる曲だ、と。
e-ZUKA:やっぱり10周年ということで皆さん、盛り上がっているんでしょうね。
──小野さんを迎えるにあたり、いつもの制作と違ったところはありましたか?
e-ZUKA:賢章くんに合わせる、ってことは意識していて。2015年のアニサマで「変幻自在のマジカルスター」で共演したんですよ。そのとき原キーでやってたんです。でもさすがにそれでずっと通すと辛いかなと思って、少し下げて。
で、歌録りのときも、今回はイレギュラーな形で歌から録ったんです。で、キーを合わせて録ろうと。キャラクターの声も意識しなきゃいけないじゃないですか。それで下げました。
だから普段のGRANRODEOの曲としては低めの設定です。で、あえてGRANRODEO ver.もキーを上げず、低いままでやりました。
コラボレーションの面白さとは?
──タイトルは「ゼロステップ」です。バスケ好きには馴染みのある言葉だとは思うのですが、改めてこの理由についておうかがいしてもいいですか?
KISHOW:ちょうど良いなと思ったんですよね。ゼロステップってNBAのとある選手のプレーから生まれた言葉で、トラベリングの新ルールとなって。当初は良いか悪いかという論もあったんだけど、当たり前のようにゼロステップが認識されるようになって。
──ファンの方の反響はどう受け止められていますか?
KISHOW:本人の耳にはあんまり入らないものなんですよね。当事者的な話になりますけど、もうひとり、『黒子のバスケ』で小野くんという声優さんがいらっしゃるじゃないですか。
──火神大我役の小野友樹さんですね。
KISHOW:彼は悔しい思いをしているんだろうな、と。彼はガチンコのロデオボーイという“ウワサ”ですから。なんで僕じゃなかったんだ、と言ってるという声は人づてに聞いていますけどね。
でもやっぱり『黒子のバスケ』ですから、黒子役の賢章くんが歌ってようやく様になる曲なんだろうなと思ってます。
──いつか小野友樹さんとのフィーチャリングも聴いてみたいです。
KISHOW:彼はリスペクトがすごくて。張り切りすぎて暑苦しくなってしまうかもしれないなと(笑)。
──e-ZUKAさんの周りの反響はどうでしたか?
e-ZUKA:身内の話で言うと、うちのベースの瀧田さんが気に入ってましたね。「めちゃくちゃかっこいいじゃん!」と。珍しいなぁと思っていました(笑)。あとうちの制作側のスタッフもよく口ずさんでいます。
──過去にはFLOWとの伝説のコラボレーションもありました。今回はフィーチャリングという形で迎え入れた形ですが、改めてコラボレーションする面白さというのは、どういうところに感じていますか?
e-ZUKA:今回はこっちが作ったものに乗ってもらうという感じだったので、コラボレーションとはまた違うかもしれないんですけど、「面白いな」って思いましたね。昔はキャラソンをやったりしてたんですけど、最近はGRANRODEOばっかりになってて。
自分のいつも作っているサウンドの中に、他の人の声が入るというのは面白い。しかもきーやんと一緒にデュエットしてるというのも珍しいから。サウンド的にいうと(栗林)みな実ちゃん以来くらいじゃないかな。
彼は彼でSCREEN modeとコラボレーションしてはいるけど(ALIVE SCREEN mode feat. KISHOW (GRANRODEO))。
──KISHOWさんとしては新鮮さがあるものですか?
KISHOW:歌ってキーが重要だと思っていて。歌っていて気持ちのいいキーが僕と賢章とは違うので、今回は僕が合わせにいって。だからいつもとは違う感じがありましたね。なんていうんだろうな。
メロディーもe-ZUKAさんだし、歌詞も自分だし、GRANRODEOのいつもの楽曲なんだけど、ハイブリットした感じがあったかな。
フィーチャリングという意味合いがどこに着地するのかはわかっていないんだけど、普段のGRANRODEOとは違う感じがあって。それをフィーチャリングと呼ぶのであれば、今回はとても、小野賢章をフィーチャーしたな、という感じはありました。
日本武道館に向けて
──3月11日(土)には、5年半振りの日本武道館でのワンマンライブ『GRANRODEO LIVE 2023 "Rodeo Jet Coaster”』が開催されます。「GRANRODEO LIVE 2021 “Rodeo Coaster”」のバージョンアップで、全曲アニメタイアップと発表されています。
e-ZUKA:昨日ラジオでも “Rodeo Coaster”の……って言ったんですけど、“Rodeo Coaster”はアニソンだけじゃなかったんですよね。
──タイアップが中心でしたよね。
e-ZUKA:そうそう、シングルとか、ゲームのタイアップも含んでいて。だからちょっと間違えちゃった(笑)。今回はアニソンだけですと言ってしまったので、どんな形であれやるしかない。
ただね、濃い曲が多いんですよ。ほとんどがオープニングなので、攻め攻め、キメキメの曲ばかり。自分たちのテンション、体力が持つかって問題はありますけどね(笑)。一回、全部やってみたんですよ。
──ご自宅でですか?
e-ZUKA:そう。アニメのタイアップの曲って覚えているんですよ。ツアーで絶対やるので。だからわりと覚えていました。新曲「ゼロステップ」はこれから覚えなきゃなと思っています。
──『黒子のバスケ』はメドレー形式で披露されていた時もありましたが、そういったことも考えられていますか?
e-ZUKA:メドレーもちょこっと入れたいなとは思ってます。聴いているほうも疲れちゃうと思うので(笑)。休憩時間とかないし。
──KISHOWさんはひさしぶりの武道館、いかがですか?
KISHOW:定期的にやらせてもらっている場所ではあるんですけど、慣れたくないなと思っていて。改めて武道館のありがたみを感じたいなと思っています。やっぱりビートルズにはじまり……という聖地ですから。
最近亡くなった(シーナ&ザ・ロケッツの)鮎川(誠)さんが、ビートルズがきた1966年、高校3年生の夏に衝撃を受けてバンド活動をはじめた……と話していたインタビューを読んだことがあって。
やっぱりそれくらい、とんでもない存在だったんだと。レジェンドたちの、レジェンドがやった場所だから。ありがたみを忘れたくないなと思っています。だからGRANRODEOで日本武道館をやるっていうのは、改めて噛み締めたいなと。
最近特にミュージシャンの訃報が多いですから。生きているモノとしては……そこまで大きな括りでは背負わないですけど、武道館でワンマンをやれる喜びを味わいたいなと思っています。
しかも今回はやることもハッキリしているので。全部アニメタイアップで組むので「いつでもやれるぞ」って感じです。おそらくですけど、声出しも可能になるとは思うんですよね。オーディエンスの声を聴いたらどれくらい感極まるか、想像ができないので。
すべて普通のことではない、という気持ちです。まあでも僕は恥ずかしながら気分屋さんのものですから(笑)、あとは当日の気分次第。
──レジェンドたちがライブを繰り広げてきた武道館。新たな伝説が生まれるであろうライブハウス武道館を楽しみにしています。
KISHOW:はい。ぜひ楽しみにしてください。
[取材・文/逆井マリ]
GRANRODEO Live Session "Rodeo Note" vol.2
【発売日】2023/02/22(水)
【初回限定盤(CD+BD)】4,950円(税込)
【通常版】3,300円(税込)
『黒子のバスケ』アニメ10周年記念アニバーサリーソング「ゼロステップ」
【発売日】2023/03/15(水)
【『黒子のバスケ』アニメ10th盤】価格:3,520円(税込)
【GRANRODEO盤】1,430円(税込)
GRANRODEO LIVE 2023 "Rodeo Jet Coaster"
【⽇程】2023年3⽉11⽇(⼟)
【会場】⽇本武道館〒102-8321 東京都千代⽥区北の丸公園2-3
【開場16:00 / 開演17:00】
【チケット料⾦>】全席指定9,800円(税込)
GRANRODEO 公式サイト
GRANRODEO 公式YouTubeチャンネル
GRANRODEO 公式Twitter @GR_staff