一目で温かさが伝わってくる作品──マンガ家とお姫様のピュア&ほんわかSFラブコメアニメ『おとなりに銀河』 久我一郎役の八代 拓さん、五色しおり役の和久井優さんが作品の魅力を語る!
『goodアフタヌーン(講談社刊)』で連載中、雨隠ギドさん原作のアニメ『おとなりに銀河』が2023年4月より放送開始!
高校卒業後、マンガ家デビューした久我一郎はその後父親を亡くし、残された幼い妹のまちと弟のふみおを養うため、日々奮闘中。ある日原稿の締め切りに追われている一郎の元に、アシスタントとして現れた五色しおりは、一郎が驚くほどの能力でサポート。執筆作業も順調に進む中、一郎としおりに思わぬアクシデントが起きて……。
恋をしたことがない一郎としおりに訪れた初めての恋の行方、一郎の妹、まちと弟のふみおとの家族愛、同じアパートに住む人々との交流など、終始ゆっくりと温かい時間が流れつつ、世間知らずなしおりの行動などコメディ要素もあるSFラブコメ作品になっています(なぜSFなのかは1話を見てのお楽しみ!)。
『おとなりに銀河』のアニメ放送開始を記念して、主人公の久我一郎役を演じる八代 拓さんと五色しおり役の和久井優さんへのインタビューをお届けします。前編となる今回は、作品や久我くん、五色さんへの印象、雨隠先生とのエピソードなどをお聞きしました!
絵を見ただけでピュアさや温かさを感じ、ほのぼの見られるだけでなく、心にもぐっとくる素敵な作品
──原作を読まれた感想と魅力を感じた点をお聞かせください。
久我一郎役 八代 拓さん(以下、八代):最初に読んで思ったのは、絵のタッチが温かくて、目に入った瞬間に優しい空間が広がっていて素敵だなと。そしてキャラクター全員がピュアな部分を持っているのが魅力的だなと思いました。
一郎くんは一生懸命生きているけど、まだ経験値が足りないがゆえのピュアさを持っていますし、物語の中で新たに気付くこともたくさんあります。五色さんも育ってきた環境や素性が特別なため、一郎くんたちと出会ってからは見るものや体験することがどれも新鮮で。
ほかの登場人物も純粋に好きなものを追いかけたり、やりたいことや生き方なども自由で、時々ちょっと素直じゃないところもありますが(笑)、みんなピュアな心を持っていて。そしてキャラクターたちの何気ない言葉に泣かされたり、真っすぐさに心を打たれるシーンもたくさんあるんですよね。
──特に一人暮らしをしている八代さんには刺さりまくる作品かもしれませんね(笑)。
八代:実は昨日も読んでいて泣いてしまいました(笑)。もちろん大号泣じゃなくて、ほろりという感じで。作品やキャラクターたちのピュアさ、真っすぐさ、純粋さが魅力じゃないかなと思います。
五色しおり役 和久井優さん(以下、和久井):私も絵を見ただけで温かさが伝わってきて。しおりちゃんや久我さんの穏やかな表情を見るだけで「絶対にいい人!」とわかるくらい、温かくて明るいタッチの絵にまずひかれました。
実際に読んでみてもみんな優しいんですけど、そのベクトルがそれぞれ違うところが人間くさくていいなと。久我さんもしおりちゃんもお互いを思いやりながら接しているのに、ちょっとすれ違ってしまうところがもどかしいし、ドキドキうずうずするような。
ほかにも読み進めていくと突然、心にグっと刺さるポイントが現れて、思わずほろっとさせたられたりして。
でもギャグやコメディのところはしっかり笑わせてくれて、しおりちゃんが興奮しながら好きなものについて語るシーンが好きで私も思わずくすっと笑ってしまうことがよくあります。ほのぼの見られる作品と思いきや、心にもぐっとくる素敵な作品だなと思いました。
── 一郎としおりの初々しいやり取りにドキドキしたり、背中を強く押したくなることも。
和久井:ちょっと、こそばゆい気持ちになりますよね。
八代:すれ違ってしまったり、思わぬ方向に進んでしまった時でも、「ごめんなさい」と謝れるし、「大丈夫ですから」とお互いに相手を気遣えるのもいいですね。結果的に「考えていたことは一緒だったね」という繰り返しも愛おしいです。
和久井:最初の頃のしおりちゃんは恋に憧れる女の子でしたが、久我さんという包容力のある優しさにあふれた人と出会い、久我さんの妹のまちちゃん、弟のふみおくんとはまるで家族のようにふれあって。
恋愛感情と家族愛がうまく混ざり合っているところも心地いいですね。
── 一郎は家族を養うためにアパートの大家だけではなく、マンガ家としても一生懸命頑張っていますが、この作品を読んでいるとマンガ家とはこんなに過酷なのかと(笑)。
和久井:大変そうですよね。原作の雨隠(ギド)先生とお会いした時はその過酷さを感じさせないほど穏やかかつフレンドリーに接してくださって、まさに『おとなりに銀河』を描いている方だなとわかる素敵な方でした。
お二人が原作で好きなシーンは?
──原作の中で好きなシーンを挙げるとすれば?
八代:五色さんへの感情がうまく整理できなくて、五色さんへ謝るシーンがあるんですけど、五色さんはむしろ一郎くんの気持ちが自分にあると捉えて「ありがとうございます」と感謝やお礼の言葉で返してくれたのは印象的でした。
五色さんの優しさととんでもない純粋さに心を打たれたし、そんな五色さんらしさに気付かされるシーンは好きです。
和久井:久我さんは頑張り屋さんなので、何もかも一人で抱えてしまいがちで。そんなあたふたしている久我さんを見て、「助けが必要だったらちゃんと言ってください」と言えるのがしおりちゃんのいいところだと思っています。
助けが必要な時だと察しているけど、久我さんとわかり合うために、上手に助け船を出してあげることも多くて。
初対面の時でも言えるのがすごいなと思うし、ただ力になりたいという想いを伝えるシーンは素敵だなと思いました。
──たぶん自分の気持ちを吐露できる人は、かつての住人であり、年上の桃香くらいしかいなかった一郎にとって、しおりという存在は大きかったでしょうね。
八代:そうですね。しかも一郎くんだけではなく、周りの人にも影響を与えるくらいの存在だと思います。そんな五色さんも周りの人から気付かされることも多くて。
まちに自分の秘密を打ち明けないといけない場面になった時、察したまちが「秘密を全部言わないと友達じゃないと思ってる?」と言ったシーンは、「まち~!」と叫びたくなるほど愛おしく思いました(笑)。
──八代さんが演じる一郎の印象とご自身との相違点、共感できる点などお聞かせください。
八代:一郎くんは良くも悪くも、自分が受け取るよりも相手に与えるほうが楽という考え方ですが、僕もわかる気がします。
僕もほかの人が楽しそうにしているほうが嬉しくて、もし自分やほかの人に気を遣っているのを感じると居心地が悪くて。そういう感覚は近いものを感じます。違うところは、僕は絵が上手ではないところでしょうか(笑)。
──イベントなどで絵を披露する機会では爆笑を生んでしまうような、いわゆる画伯レベルだったり……?
八代:どっちつかずで。それが一番おもしろくないですよね(笑)。
和久井:何を描いているのかはわかるんですよね?
八代:そう。視点やタッチが独特なら皆さんにも笑ってもらったり、楽しんでいただけるんですけど……。
──久我と同じく気を遣いすぎでは?(笑)。ただ、八代さんが描く一郎を見てみたいですね。
八代:皆さん、見た瞬間、「ああ……まあ……」というリアクションになると思います(笑)。
──和久井さんのしおりへの印象は?
和久井:しおりちゃんの考え方には共感しかなくて。ただ少女マンガに憧れて、ふらっとやって来たわけではなく、しっかり芯があるので、とても共感できます。
お話の中で、できるだけ大切な人に対しては言葉を尽くして伝えたいと話すシーンがあって。私も日常の中で同じ気持ちを抱くことがあるんですが、うまく伝えられないことが多いんです。彼女はそれを実行できるのが素晴らしいなと思いました。。
──ここまでのお話を聞いていると口下手には思えませんね。
和久井:私、順序だてて話すのが苦手で、伝えるとしっちゃかめっちゃかになってしまうんですよね。