冬アニメ『ツルネ -つながりの一射-』二階堂永亮役・福山潤さん×不破晃士郎役・近藤孝行さん対談インタビュー|「応援せざるを得ない魅力がある」辻峰高校にとってターニングポイントになった合宿回までを振り返る!
「弓道なんか やめてやる」
弓道、仲間、師弟……さまざまな“つながり”を感じられる、現在放送中の冬アニメ『ツルネ -つながりの一射-』。キービジュアル第2弾のキャッチコピーになっている言葉には、新たに登場した二階堂永亮の”真意”が込められています。
鳴宮湊をはじめとした「風舞高校」、藤原愁らがいる「桐先高校」とは練習環境も雰囲気もまったく異なる「辻峰高校」に強い興味と関心を惹かれた方は多いでしょう。先日放送された第9話、第10話では風舞との突発的な合同合宿が行われ、二階堂の“真意”が垣間見えました。
今回は、そんな辻峰高校の弓道部に属している二階堂永亮役・福山潤さんと、二階堂を陰で支えている不破晃士郎役・近藤孝行さんの対談インタビューをお届け。ドラマが動いた第9話と第10話を中心に振り返りながら、たっぷりとお話を伺いました。
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劣悪な練習環境でも価値がある
——これまでのお話を振り返って、物語やキャラクターについてどのように感じたのかお聞かせください。
二階堂永亮役・福山潤さん(以下、福山):二階堂としては過去に何があったのか、明かされていなかった部分が見えてくるようになり、彼自身がどういう想いで弓道をやっていたのかも含めてアニメを見てくださった方は腑に落ちるところがあったかと思います。自分も演じる中で、視聴者の心を揺さぶるお話になったなと感じました。
弓道もそうですが、彼にとって1番大きかったのはやっぱり“おじさん”のことです。その観点でこれまでのお話を振り返っていただくと、しっかりと線が繋がっていたんだなと感じますし、そういう風に作っていただいていたんだなと。
演じていて、第10話で起きたことを踏まえて今後はどういう風にやっていくのか、そこが彼らのひとつの勝負なのかなと思いました。
不破晃士郎役・近藤孝行さん(以下、近藤):辻峰高校としては二階堂を中心としたストーリーだったと思いますし、二階堂の心の点線を描いていて、その脇を僕らが固めて彩るような感じがありました。
その中で、特に不破くんがより近くで二階堂に寄り添っていて、二階堂は短い期間で心が成長したと思います。収録現場でも“キバを抜かれていってる”とよく言われていました(笑)。
福山:(笑)。
近藤:すごく良い顔をするようになっていって、それを不破くんは自分のことのように喜んでいる感じが良い関係性だなと。辻峰高校のみんなは良い考えをしているというか、すごく素敵なコミュニティで僕は好きです。
福山:ロン毛と黒マスクとメッシュだもん。見た目がヤンキー高ですよね(笑)。
近藤:暴走してるイメージがね(笑)。
福山:見た目って本当に損するんだなって。でも、話が進むにつれ、ギャップによってイメージが逆転しました。
近藤:本当に変わりましたよね。
——最初の印象とは大きく違う辻峰高校ですが、ストーリーが進むにつれどのような部分に魅力を感じますか?
福山:大会に出るというレベルで考えたらコーチがいない中、自分たちで一から弓道部を盛り立てていますよね。部員だけで全国にまで漕ぎ着けては強豪と渡り合えるまで力を身につけていっているところが連載漫画だったら少年ジャンプの設定に近いんじゃないでしょうか。
近藤:確かに(笑)。
福山:そこにちょっと湘南のテイストが入っていたら少年マガジン、そして二階堂たちがまだ小学生だったら少年サンデー、異世界設定が入ると少年チャンピオンかな(笑)。
一同:(笑)。
福山:設定だけ見ても、辻峰高校は応援せざるを得ない魅力がありますよね。彼らの中にある少年ならではの一生懸命さは風舞とは違った形で出ていますし、ひたむきさをみんな持っています。
また、その“ひたむき”の種類も風舞とはまた違うんです。風舞のように弓道に対して真っ向に向かっていくというよりも、“作っていく”感覚に近いというか。
そういったところは見れば見るほど、彼らを応援せざるを得なくなる魅力があると思います。
——近藤さんはいかがでしょう?
近藤:僕は個人的に“絆”かなと思っています。
他の高校と比べたら環境的には劣悪と言わざるを得ませんが、その環境でも楽しもうとしている感じが見えますし、背負っているものの深さや大きさ故に二階堂が鋭く尖ってしまったとしても、それを柔らかく受け止めてくれる4人がいてすごくバランスが良いなと。
風舞の絆は第1期も含めて長いこと描かれてきたと思いますが、僕はこの第2期の後半で辻峰の絆が見えました。
——第4話での二階堂の「道場も監督もなしでトップになってやる」という言葉に賛同するシーンが印象に残っています。
福山:少年ジャンプだったら、その言葉はセンターカラーです。
近藤:あはははは! よく次から次へと出てくるなぁ(笑)。
福山:そのシーンは、演じている僕らも結構エモいシーンでした。的を立てかけるための畳など、いろいろなものを寄せ集めて練習していますが、何よりもパラソルです。あれはたぶん、商店街から破けているものをもらってきたものじゃないかなと。そういうお手製の感覚って、なんかくすぐるものがありますよね。
第4話で雨が降ってきて撤収するときに屋根がある道場がほしいとこぼしますが、この環境で勝つのがカッコいいんだとついてきてくれる仲間がいる。練習環境が悪くても価値はあったんだなと思わせてくれるあのシーンは“ズルい”です。
——また、練習環境が整っている風舞と桐先との対比も良いですよね。
福山:そうなんです。その後に出てきた愁の私設弓道場ですよ?
近藤:あれは見せつけられたーっ!
一同:(笑)。
福山:さらにさらに、竹弓を渡された遼平が「高いんでしょ、これ」と言った後の「俺はカーボンのほうが好きだけど」ですよ?
近藤:人としてもできてる……。
福山:すべてのものが噛み合っていましたよね。
近藤:僕自身、印象的なセリフとして残っているのが、二階堂の「見くびんなよ」です。
福山:愁に言ったセリフね。
近藤:そうそう。あれが僕にとっての巻頭カラーです。
——確かにそのセリフは痺れました。
近藤:あのセリフでグッと視聴者を惹きつけたと思います。あと、僕が印象に残っているシーンは、やっぱり第9話・第10話の合宿です。練習環境に恵まれていく風舞に対して劣等感を抱くわけでもなく、和気藹々とやれている辻峰は大人だなと……ただ1人を除いては(笑)。
福山:(笑)。
近藤:1人だけ距離を置いてギスギスしている二階堂もまた対比で面白いですし、合宿が辻峰のターニングポイントだったと思います。