声優生活30周年記念 自身の出演作関連楽曲からセレクトされたアニソン・カバーアルバム「アニメグ。30th」は、作品・関係者・ファンの皆さんへの愛と感謝を込めた「ラブレター」 緒方恵美さんインタビュー
緒方恵美さんの声優生活30周年を記念したアニソンカバーミニアルバム「アニメグ。30th」が好評発売中です。
声優として、アーティストとして常に第一線に立ち、2022年10月に声優生活30周年を迎えた緒方恵美さん。これまで「アニメグ。」を2作発表してきましたが、「アニメグ。30th」と銘打たれた本作では、デビュー作品・TVアニメ『幽☆遊☆白書』から、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『劇場版 呪術廻戦 0』までの楽曲全6曲をパッケージ。
また、『幽✩遊✩白書』オープニング主題歌「微笑みの爆弾」は、angelaのKATSUさん、コーラスにatsukoさんというスペシャルアレンジでお届けするほか、『地縛少年花子くん』のオープニングテーマ「No.7」では、作品に登場するキャラクター「もっけ」役を務めた、声優の吉田有里さん・森永千才さん・金澤まいさんがコーラスに参加。
編曲は、緒方さんが信頼するクリエイター陣が担当し、多くの人とのセッションによりエネルギッシュな作品に。本作に息づく生命力をアニメーター・平松禎史さんによる描き下ろしイラストが強く印象づけています。
「こんなに長くやらせてもらえるとは思ってなかった」
──「アニメグ。30th」が5年ぶりにリリースされます。今回はミニアルバムとなりますね。
緒方恵美さん(以下、緒方):今までは15周年、25周年と出してきて、そのテンポでいくと本当は35周年でのリリースになるはずだったのですが、いまこのご時世なので、この先どうなるかわからないし、早めにやりましょうと(笑)。
それで今回はミニアルバムで、いつもよりは小さめのボリュームでやってみましょうか、と。
──そういう経緯があったのですね。30周年を迎えられたことに関しては、どのようなお気持ちでしょうか?
緒方:特に何か、ってわけではなく、うっかり30年きてしまったというだけで(笑)。あとは30周年ということに託けて、なんかいろいろやろう、という気持ちです。
でも真面目な話をすると、こんなにやらせていただけるとは思っていなくて。声優に限らずですけど、役者という仕事を長く続けられる人ってどれくらいいるのかなと。諸先輩方の時代は長く活躍されている方もいますけど、今は世代交代が激しいですし。
──激動の時代ですよね。
緒方:自分の世代は中間くらいですけど、こんなに長く、しかもこの年代でメインのお仕事を続けられるとは思っていなかった。だからうっかり、ここまで来させていただいているということが自分でも本当にびっくりです。
この運命をくださった神様と、周りの皆さま、各作品の関係の皆さまに、ただ感謝するだけという感じですね。「アニメグ。」はカバーアルバムなので、主には作品・関係者・ファンの皆さんに対するお礼のような感覚で作りました。
──本当に愛だなと感じていました。また、緒方さんが皆さんと楽しんで作られていることも伝わってきました。
緒方:楽しかったですね。若いときはいろいろありますけど、歳を重ねてくるとそれさえも「これを楽しくするにはどうするか」って思考になる。だから自在に楽しむことができるし、事前に確認することで危機回避能力も高くなります。
若いころはわからないので、そのまま勢いで壁にぶつかって「ああ、痛かった」で終わるんですけど、「痛くなりそうだな」と思ったら事前に確認する力?(笑)
──緒方さんもそういう時代があって、今があるという。
緒方:本当にそうです。
──今回セレクトされたカバー曲は全6曲。どのように決められたのでしょうか?
緒方:前回25周年で出しているので、その間が5年しかないですから、ほぼこの2~3年以内の出演作品の中からセレクトしました。1曲だけ、30年の時を越えて入れさせてもらったものがあります。
──TVアニメ『幽☆遊☆白書』オープニング主題歌「微笑みの爆弾」ですね。『幽☆遊☆白書』世代のひとりとして、とてもうれしいです。
緒方:最初にこの作品に関われていなければ、私はここまで来ていないので。感謝と、初心忘るべからず、ということでこの曲を入れました。
昔、『幽☆遊☆白書』のメインの役者で楽曲をカバーする企画があり、そのときに「微笑みの爆弾」を担当させてもらったんです(『決定盤「幽☆遊☆白書」アニメ主題歌&キャラソン大全集』収録)。当時の自分はまだ未熟者だったので、いま改めて30年で培ったものをこめて。