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江副仁美×乙部善弘 対談『ポールプリンセス!!』で届ける夢と憧れ/インタビュー

「ポールダンス」×「歌」×「頑張る少女たち」 をテーマに、YouTubeで発信中の『ポールプリンセス!!』 監督・江副仁美さん×企画プロデューサー兼CGディレクター・乙部善弘さんインタビュー

エイベックス・ピクチャーズとタツノコプロがタッグを組んだオリジナルアニメプロジェクト『ポールプリンセス!!』がYouTubeで配信中です。

「ポールダンス」×「歌」×「頑張る少女たち」 をテーマに、1本のポールに込めた少女たちの想い、青春が、ドラマとショーの2パートで描かれています。本作はプリティーシリーズの3DCGディレクター/CGライブ演出を手掛けてきた乙部善弘さんが発案したもの。乙部さんは企画とCGディレクターを担当。監督はプリティーシリーズに参加してきた江副仁美さんが務めています。おふたりに本作の制作にまつわるエピソードや、今後の見どころについておうかがいしました。

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ポールプリンセス!!
ポールダンスに出会い、⼈⽣を変えてゆく少⼥たちの努⼒と成⻑のストーリー星北ヒナノは、ごくごく普通の控えめな17歳。幼いころから、おばあちゃんの営むプラネタリウムが⼤好きだったがそのプラネタリウムをたたもうとしていることを知り、おばあちゃんとプラネタリウムのために何か⾃分にできることはないかと悩んでいた。そんな中、ヒナノは偶然、星空の下で⼀本の棒に掴まり、美しく舞う⼥性を⽬撃する。憧れていた夜空の星に⼿が届きそうなほど、美しく上に昇っていくそのショーに衝撃を受けてこれをプラネタリウムの中でステージをすれば、お客さんも集まって盛り上げられるかもしれない、と幼馴染のリリアにも背中を押され、ようやく駅前に⾒つけたポールダンス教室の扉を開けたのだった。しかし、室内は活気が無く、美しいショーをしていた時とは別⼈でやさぐれた様⼦の講師、アズミがいた。「え︖ポールダンスをやりたい︖残念ね、もうここ閉めることになったの」ようやく⾒つけた希望を失い、残念そうなヒナノとリリア。その寂しそうな顔を⾒て、アズミはついつい、「…⽣徒を4⼈集められたら、⽉謝で家賃が払えるから再開してもいいわよ」と⾔ってしまうのだった。ヒナノとリリアはさっ...

ポールダンスの生の迫力を感じ「これをアニメでやりたい」

――まずは本プロジェクトが誕生するまでの経緯からうかがえればと思います。もともとは乙部さんが企画を持ち込まれたそうですが、そのきっかけというのは?

乙部善弘さん(以下、乙部):遡ると、ポールダンスの映像を見たのがきっかけです。情報サイトに全米チャンピオンの映像があがっていて。とてもしなやかで柔軟で、かつ力強く動いていて、こんな世界があるんだと衝撃を受けました。また、ポールダンスというと男性が見るものだと勝手に思っていたのですが、観客の中には女性がたくさんいらっしゃることにも驚きました。

その映像を見て、自分の中でポールダンスのイメージが「男性が見るもの」から「カッコいいもの」に変わったんです。また、そのタイミングで『KING OF PRISM』の監督から「ショーの演出で何か新しいことやりたいんだけど」という相談を受け、その映像を見せたんです。「これくらいカッコいいんですよ」と。そしたら「良いね」という話になって。

――それで『キンプリ』で、ポールダンスのショーがあったんですね。

乙部:そのときのファンの方の反応を見て「アニメ好きの方にも受け入れてもらえるんじゃないかな」と思いました。ただ、そのあとはポールダンスの企画をやろうというところまでには届かなくて。これも偶然なんですけど、その後、アニメのコスプレでポールダンスをされている方の映像を見て。それもヒントになりました。で、企画にしたいなと思って、いろいろな人たちに映像を見せつつ、約2〜3年くらいが経って「自分で企画書を作らないと、先に進まないな」と。

それで2020年に企画書を作って社長に見せたんです。で、パイロットフィルムも作って「こういうのをやりたいんですけど」と見せたところ、「良いね!」とすぐゴーサインが出ました。それで、(タツノコプロの)ビジネスプロデューサーと話をして、だんだんと話になっていって。それで監督を選ぶタイミングで、江副さんのお名前を挙げさせてもらいました。

江副さんとは、『アイドルタイムプリパラ』や、『キラッとプリ☆チャン』などでコンテを書いてもらっていて、作品に合いそうだなと。それと企画を知ったら喜んでくれそうな気がしたんです。それで声を掛けたら「ぜひ」と言ってくれて。(脚本担当の)待田 堂子さんは江副さんの推薦でしたよね?

江副仁美監督(以下、江副):そうですね。

乙部:江副さんから「良い方がいる」とうかがっていました。キャラデザについては、候補の方は数人いたのですが、テーマ的に足を長く、綺麗に描く方かなと。というのも、パイロットフィルムを作った時に、どれくらいの等身の高さが良いか調べたのですが、いつものアニメのデザインだと気ぐるみっぽい雰囲気になってしまい「ちょっと合わないかも」というのがあったんです。それで衣装をオリジナルで書ける方で、女性が見たときに共感できるようなかわいいデザインを描かれる方を探したときに、トマリさんのお名前が上がって。思い切って声かけたところ、自分たちが手掛けた作品を既に見ていただいていて。

――となると、話も通じやすいですよね。

乙部:そうなんです。そこからはトントン拍子に話が進んでいきました。デザインも一発オッケーで、動きの部分で調整しなければいけないところはあったものの、トマリさんのイメージをほぼそのまま使わせてもらっています。

――お話をうかがい以前から構想があったということにまず驚きました。

乙部:構想自体は4、5年前くらいから考えていました。その時は「誰かつくってくれないかな」なんて思っていたんですが、思っているだけではやはり形にならないので(笑)。

――特にここ2〜3年はコロナ禍の影響で、ホールダンスの見学も難しい状況ですよね。

乙部:そうなんです。実際見学に行くのは難しい状況でした。でもちゃんと見学しないとと思い、本作でポールダンス監修をしてくれているKAORI先生が設立した「STUDIO TRANSFORM」に感染対策をした上でお邪魔しました。

STUDIO TRANSFORMには数々のタイトルを保持するトップダンサーさんたちが所属されているのですが、コロナの影響で発表の場が減って困っていたそうです。「こういう時期にそういったお話がきたことが嬉しい」「ぜひ協力させてください」と言ってくださいました。

――浅はかな知識で恐縮なのですが、本作でポールダンスを深掘りするまで夜の世界の、セクシーな印象がありました。正直少し近づきがたい印象があったんです。でも待田さんのコメントを見たら、小学生から60代の方までの幅広い年代の人たちが楽しまれているとのこと。「若い世代にとって文化として受け入れられているものなんだな」と。自分が恥ずかしくなりました(苦笑)。

乙部:いえいえ、大人の中にはそう思っている方も多いと思います。でも見学に行くと、5〜6歳の子や中学生もいます。また、最近はフィットネスを目的にポールダンスに触れる方もいるそうです。もちろん男性のポールダンサーもいます。STUDIO TRANSFORMの主催する発表会にも参加させてもらったのですが、1/4くらいは男性でした。僕らが知らなかっただけで、文化が広がっていたんだなと。子どもたちには夜のイメージというのはないんですよね。だからセクシーさや夜の世界というのは、僕ら大人の世代の考えなんだろうなと思いました。

子どもたちの中には、親の影響で始めたという方が多いようです。中学生の子になぜポールダンスをやろうと思ったか質問をしたら「先生方がカッコよかったから」と、憧れを頂いてはじめたことを教えてくれました。この作品ではその憧れを形にすることを目指したいなと。

――江副さんは本作のお話をもらったときはどのようなお気持ちだったのでしょうか?

江副:実は『キンプリ』でポールダンスのショーを見て(乙部さんに)「あのシーンすごく良かったです!」とお伝えしていたんです。それで今回、このお話をもらって。あのシーンがもっといろいろな形でできると思うと、面白そうだなと。それで「ぜひやらせてください」とお返事しました。

――ポールダンスに対してはどのような印象をお持ちだったのでしょうか?

江副:それこそ私も夜のバーなどの印象がありました。習い事のひとつでもありますが、少しハードルが高いというか。ドラマや映画でしか見たことがなかったので「私には縁のない世界だろうな」と思っていました。だから乙部さんにポールダンスの映像を見せてもらったときに驚いたんです。アーティスティックで、スポーティで。それを人間の体一つで表現されていて、なんてストイックな世界なんだと。それでイメージが変わりましたね。

――最初に寄せられていたコメントにも「およそ人間業とは思えないポーズや技をやっていて驚きと感動の連続でした!!」とありました。

江副:特に私は運動しないタイプなので(笑)、「人間ってこんなポーズをしたまま止められるんだ」と。それを軽々と表現されているのがすごいなと。もちろん実際は苦しいと思うんです。それを感じさせずに、美しく見せるポールダンサーさんたちがカッコいいなと思いました。

――私も本作をきっかけに動画を見てみたところ、きっと辛いはずなのに、表情が豊かで驚きました。まるで白鳥のようというか。

乙部:そう、まさに。実際にモーションキャプチャーの収録をしていると、苦しい表情は一切されず、笑顔で踊られるんです。心から楽しんでいるんだなと伝わってきます。

モーションキャプチャー収録の場合は当然いつもとは違う衣装での撮影です。当日突然スーツを着させられるわけですよ。ポールダンスの場合、肌の摩擦で動きを止めることがあるので、それができない。収録用には摩擦係数が高い特殊なポールを使ってはいるので、スーツを着ていても動きを止められはするのですが、それにしてもセンサーもバッテリーも付いています。

だから体感2キロくらいは増えていると思いますし、バッテリーはお腹にガムテープでぐるぐる巻きにして、センサーが当たらないようにずらして調整して……ってことを毎回やっていて、動きにくいのは確かなんです。それでも「全然できます、大丈夫ですよ」と言ってくれます。僕としては「こんなスーツを着ていたら本来の力を発揮できません」と言われることも覚悟していましたが、全然そんなことがなくて。手が真っ赤になっても「大丈夫です」と。ダンサーさんのお人柄もとても明るく、思っていた印象と違いました。

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