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- 阿部裕華
- アニメ・音楽・映画・漫画・商業BLを愛するインタビューライター
――ここからは『地獄楽』にちなんだ質問をさせていただきます。花守さんがもし死罪人になったら、どの執行人と組みたいですか?
花守:あ、私、死罪人になっちゃったんだ……(笑)。
――(笑)。
花守:典坐(演:小林裕介)くんがいいかな……。罪を犯している前提でお話しますけど(笑)、典坐くんと一緒にいたら自分の罪を償うことができそうなので。主人公みたいな人ですよね。強さで言えば士遠(演:小林親弘)先生なんですけど、変なことをしなければ首は切られないでしょうし! あ、でも、仙汰(演:山下大輝)殿もいいな……。場を和ませてくれる存在である、典坐くんか仙汰殿がいいです!
佐切は動揺しちゃうし、私も動揺しちゃうから、お互いに「どうしよう!」となって組んでもあまりいいことはなさそう(笑)。付知(演:市川蒼)くんは怪我したら人体改造されちゃいそうだし、桐馬(演:小野賢章)は言わずもがなですから組みたくないですね(笑)。
――では逆に、花守さんがもし執行人なら、どの死罪人と組みたいですか?
花守:怖い人ばかりだから、誰とも組みたくないなぁ!(笑)寝首を掻かれそうじゃないですか。「寝ても大丈夫ですよ」と言われたのに、次の日生首になっていそうで、安心して眠れない!
(亜左)弔兵衛(演:木村良平)は他人はどうでもいいと思っているだろうし、杠(演:高橋李依)は「ちょっとそこのお花摘んできて」と言われて摘みに行ったら殺してきそうだし……あ、(民谷)巌鉄斎(演:稲田徹)さんは惹かれますね。私、弱いから相手にされないと思うけど、少年マンガの王道なキャラクターですごくカッコいいから背中についていきたくなります。でもやっぱり、ヌルガイ(演:小市眞琴)ですかね! かわいい!
――『地獄楽』に登場するキャラクターたちは一人ひとり信条を持って生きています。それにちなみ、花守さんの持つ信条を教えてください。
花守:「これを守らなきゃいけない」とあまり考えてないかもしれません。ただ、役を演じる上で、「この子はなぜその行動を取るのか、言葉を発するのか」を知っている状態で演じたいと思うし、それが分からないとずっと「なんで?」と考えてしまう。行動のすべてに理由があるはずと思う癖があって、筋を通したくなってしまうんですよね。自分の中で理解できる感情ならすべてを理解してあげたいと思っちゃう。でもその軸がどこから来ているのか自分では分かっていないという……。
――「自分の中で理解できる感情ならすべてを理解してあげたい」と思うようになったのは、何かキッカケがあったのか、それとももともとの性格なのか、どちらなのでしょう?
花守:これは、幼少期の時におばあちゃんに言われた「自分がされて嫌なことを人にしないこと」「一度出た言葉は一生残り続ける」というところから来ている気がします。
――それが花守さんの信条なのかもしれないですね。
花守:そうかもしれません……! 今気づきました(笑)。おばあちゃんはすべての言葉に説得力のある人で、何を言われても「あ、そうなんだ」って受け取ってしまう子どもだったんですよ。この言葉を小さい時にずっと言われてきたから、感情や言葉の意味を知りたいのだと思います。小さい時の言葉って、今でもちゃんと活きているんだなぁ。
ただ、何でも感情や言葉に理由があるわけではないから難しさもあると感じていて。自分の大切な人が目の前で襲われそうになった時、咄嗟に体が動いてしまうことってあると思う。だから最近は、お芝居をする上でも「自分はこれをやらないだろう」と思うことも一度やってみるようにしています。分からない感情があってもおもしろいんじゃないかって思い始めていますね。
――それでは最後に、原作を読んでいてアニメを楽しみにしている人たち、原作を読んでいないアニメから触れる方たち、それぞれに向けて『地獄楽』をオススメするポイントを教えてください。
花守:原作を読んでいる方は、彼らのかっこいいシーンや弱さがにじみ出るシーンなど、思い入れの強いシーンがそれぞれあると思います。アニメはその思いに応えるべく、アニメーションはもちろん小道具に至るまでこだわられていて。例えば、私自身大好きな佐切の胸についている飾り鈴など、細かい部分まで作り込んで描かれています。原作を読んでいる時に想像していた音や描かれ方が再現されていると感じていただけると思います。声優陣一同も、原作と合わせて楽しんでいただけるように頑張って声を乗せております。アニメを見終わった後に、改めて原作を読んで、「このシーンの描かれ方、もう1回アニメで見てみたいな」と思っていただけると幸せです。
そして、初見の人は目が離せなくなるのではないかという気持ちです(笑)。『地獄楽』のタイトルが表すように、この作品は相反するものを交互に繰り返す物語です。主人公の佐切をはじめとする登場人物たちは、奇々怪々とした島で、相反するものの繋がりを見つけていきます。自分自身の信条がどこから来るのかを知り、少しずつ自分を理解していく。葛藤する理由には、今生きている人たちにも共感できるポイントが多く含まれていると思います。私が演じる佐切は「性別を超えて自分を見てほしい」という葛藤も抱えています。自分の置かれた環境や立場から言えなかったことを発露するシーンなど、特に共感できる部分が多いのではないかと思っています。各キャラクターもまた、強さと弱さを持っており、強いキャラクターの弱さや、弱いキャラクターの本当に強い心を見ることで、「一筋縄ではいかない」と人間の複雑な部分を感じることができます。ぜひ彼ら・彼女らの生き様、死に様を見届けていただけたら幸いです。
[インタビュー/阿部裕華]
アニメ・音楽・映画・漫画・商業BLを愛するインタビューライター。Webメディアのディレクター・編集を経て、フリーライターとしてエンタメ・ビジネス領域で活動。共著「BL塾 ボーイズラブのこと、もっと知ってみませんか?」発売中。
2023年4月1日(土)より毎週土曜23時~
テレビ東京系列他にて放送
※放送日時は変更の可能性がございます
2023年4月1日(土)より毎週土曜24時~
Prime Video、NETFLIX、ひかりTVにて配信
※配信日時は変更の可能性がございます
時は江戸時代末期。
抜け忍として囚われ死罪人となった元・石隠れ最強の忍“画眉丸”は、極楽浄土と噂される島から「不老不死の仙薬」を持ち帰れば無罪放免となれることを告げられる。
画眉丸は最愛の妻と再会するため、打ち首執行人“山田浅ェ門佐切”とともに仙薬があるという島へ向かうことに。
島に上陸した画眉丸と佐切に立ち塞がったのは、同じく仙薬を求める死罪人たち。
そして、島に潜む未知の生物、人工的で不気味な石像、島を統べる仙人たち……
謎多き島で、果たして画眉丸は仙薬を見つけ出し、生きて帰ることが出来るのか——!?
原作:賀来ゆうじ『地獄楽』(集英社 ジャンプ コミックス刊)
監督:牧田佳織
シリーズ構成:金田一明
キャラクターデザイン:久木晃嗣
音楽:出羽良彰
アニメーションプロデューサー:川越恒
制作:MAPPA
企画:ツインエンジン
原作協力:少年ジャンプ+編集部
millennium parade × 椎名林檎「W●RK」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
画眉丸:小林千晃
山田浅ェ門佐切:花守ゆみり
亜左弔兵衛:木村良平
山田浅ェ門桐馬:小野賢章
杠:高橋李依
山田浅ェ門士遠:小林親弘
山田浅ェ門典坐:小林裕介
ヌルガイ:小市眞琴
民谷巌鉄斎:稲田徹
山田浅ェ門付知:市川蒼
山田浅ェ門仙汰:山下大輝
公式サイト
公式ツイッター(@jplus_jigokurak)
公式Instagram
ハッシュタグ:#地獄楽
『地獄楽』全13巻&関連書籍好評発売中!
2009年第14回SQ.グランプリ佳作受賞『おもいで税関』でデビュー。「ジャンプSQ.」「ジャンプSQ.19」などで読み切りを数本発表後、2013年より「ジャンプSQ.」にて『FANTASMA』を初連載。2018年より「ジャンプ+」にて『地獄楽』を連載開始、2021年1月に堂々完結。2021年11月より「週刊少年ジャンプ」で『アヤシモン』(全3巻)を連載。