春アニメ『事情を知らない転校生がグイグイくる。』OPテーマ「アルコルとポラリス」は「この1年半のお芝居での経験が生かされたものに」│近藤玲奈さんインタビュー
声優・アーティストとして活躍中の近藤玲奈さんが2ndシングル「アルコルとポラリス」を2023年4月5日(水)にリリースします。
本作のタイトル曲は、声優としても出演するTVアニメ『事情を知らない転校生がグイグイくる。』のオープニングテーマ。西村さんと高田くんの関係性を描いた、キャッチーでキュートな歌となっています。一方、カップリングの「LemonAid LOVE」はエモーショナルな楽曲と、正反対のテイストでありながらも、この2曲の物語には実はつながりが。そして、声優として培ってきた経験/豊かな感情表現も織り込まれています。
余談ではありますが、筆者が近藤さんにお会いするのは、近藤さんが主演を務めた昨年放送の『アキバ冥途戦争』の連載インタビュー以来。お会いした瞬間に快く迎えてくださり、当時のお話で盛り上がったあと自然と本作の話題がスタートしました。
お芝居に「自信がついた」
──アーティスト活動は久しぶりになるんですよね。コンセプトアルバム『11次元のLena』から気づいたら1年半が経過していて。
近藤玲奈さん(以下、近藤):そうなんです。1年半……もうそんなに経つんですね。自分でもビックリします(笑)。
──この1年半の声優活動で得た感情表現の幅の広さが本作には反映されているように感じていましたが、近藤さん自身はどのように考えられていますか?
近藤:ありがとうございます、それは自分でも思っていました(笑)。『11次元のLena』が尖っている闇深いコンセプトの作品だったので、すごくエネルギーを使ったんです。2ndライブ(2022年1月29日開催“近藤玲奈 2nd LIVE 〜11次元のLena〜”)でも、世界観が伝わるようにとオリジナルの朗読をしたあとに歌って。そこで「やりきった、燃え尽きた!」という感覚がありました。
そこからお芝居に集中する期間があって……さまざまな作品に関わらせていただいた中でも、特に『アキバ冥途戦争』は主演(和平なごみ役)ということもあってすごく気合いも入っていたんです。
──連載インタビューでもアフレコのたびにお話を伺っていましたが、プレッシャーも大きかったと思います。
近藤:めちゃくちゃ緊張していましたし、プレッシャーもありました。作品的にも……良い意味で普通の作品ではなかったので(笑)。
──そうですね(笑)。特になごみちゃんは難しい役だったと思います。
近藤:唯一無二すぎて。かわいらしい女の子ではあるんですけど、かわいく話すこともあるし、ギャー!って汚く叫ぶこともあるし。
──黒豚になったり、忍者になったり、時にはラーメンを吐き出し、そして最後は36歳のなごみちゃんを演じたりと盛りだくさんでした。
近藤:はい(笑)。とにかく声の幅をすごく試された現場でした。そのおかげで自分の殻を破ることができたように感じていますし、感情表現の幅も広がったように感じています。ここまでやりきっちゃうことって楽しいんだ!って。そうした演技について周りのスタッフさんから「すごく良いお芝居でした」と言ってもらえて、自分に自信が持てたといいますか。
それまではアフレコ現場に行ったとき、難しい役だと縮こまってしまうこともあったのですが……なごみを演じたら、もうなにも怖くないなと(笑)。どんな役でも「いけるんじゃないか!」って思いになりました。
──とんとことん精神で!
近藤:はいっ!(笑) 当たって砕けろ!って。そうした経験を経て、お芝居に自信を持つことができました。
──さきほどアーティスト活動について「やりきった感があった」というお話がありました。もう少し詳しく伺ってもいいですか?
近藤:実は当初『11次元のLena』の続きの物語を出そうかなとも、ちょっぴり考えていたんです。でもこの物語はここで終わらせるからこそ『11次元のLena』として輝くんじゃないかという思いがありました。だからライブでは惜しみなくその世界観を伝えて。なんというんでしょう……(『11次元のLena』の登場人物である)「僕」「玲奈」「Lena」が浄化されたんじゃないかな、という気持ちになったんですよね。だからすごくやりきった感がありました。
──音楽活動でもやりきった感があって、そしてお芝居ではとても充実感があってと。だからこそ「近藤玲奈 Ver.02」じゃないですけど、表現者としての新しい一歩が本作では見られるのかなと。
近藤:去年もいろいろな体験をして、大変なことも嬉しかったこともありました。その紆余曲折を経て、今年また新しく進みたい気持ちになっていたんです。改めて、経験値って大事だなと痛感したんです。1歩進んで、2歩下がりをずっと積み重ねていくんだろうなと感じています。
今回の「アルコルとポラリス」は『11次元のLena』をプロデュースしてくれたhisakuniさんが引き続き書いてくださっていて。hisakuniさんの中で……これはほんのりとした裏エピソードではあるのですが、「僕」「玲奈」が幸せになっていたらこうなるんじゃないかな、とも考えられていたそうです。
──なるほど……! 『事情を知らない転校生がグイグイくる。』のオープニングテーマということもあって、西村さんと高田くんが頭の中にあったのですが、そういう捉え方もできると。
近藤:そうなんです。もちろん作品に寄り添った曲として作られているのですが「そういう見方もできるよ」と。
──ただそう考えると、『11次元のLena』の物語を知っている者としては、少し切なくもありますし、ゾクッとするところも。
近藤:そうなんですよね。「こうなってたら幸せだったのになぁ」と。今思ったんですけど……デビューシングルのカップリング「Listen~真夜中の虹」の歌詞を私が歌詞を書いた「僕が愛される日は」(『11次元のLena』)に引用させていただいているので、今後もどこかしらでつなげていけたら良いなと思いました。
──裏テーマのような形で。
近藤:次またもし新作を出せる機会があったら、この2曲からまた何かしらにつなげられたら良いな、なんてふと思ってしまいましたね(笑)。
──良いですね。音楽活動の場合は「やりたい!」と思ったことに挑戦できると言いますか。
近藤:そうですね。自分だけの自由な世界なのでやっていて楽しいです。