重たい雰囲気から急展開! 視聴者はついてこられるのか……!? 『THE MARGINAL SERVICE』宮野真守さん&森川智之さんインタビュー【連載第2回】
ゼノはチームのリーダー役、ブライアンは視聴者の代わりにツッコミ役!? いろいろな映画のオマージュも作品の魅力!
――ご自身のキャラクターについての印象とご自身との相違点などお聞かせください。
森川:ゼノは≪マージナルサービス≫のメンバーをまとめるリーダー的なポジションなので、そこは僕と似ているかなと。また濃いメンバーばかりなので、ある意味、タレントを抱えているプロダクションの社長みたいなところとか(笑)。ゼノは寡黙で、あまり自分を出さないので、ブライアンはとっつきにくい上司だなと思っているのでは? たまに暴力的なほど力づくの行動に出たり、考え方も相容れないし、まったく違うタイプの2人だなと思います。
――熱血漢の新人刑事とクールな先輩刑事という構図は昔の刑事ドラマっぽいなと思いました。
森川:このアニメはいろいろな映画のオマージュやインスパイアがあることも魅力の1つですが、参考映画として『セブン』の名前があって。実はこの作品の吹き替えを担当したことがあります。ブラッド・ピットが演じる新人刑事のミルズ役で、彼は血気盛んな若者で、まさにこの作品のブライアン、モーガン・フリードマン演じるベテラン刑事のサマセットはゼノかな。今回の第1話冒頭の雨の雰囲気も『セブン』と同じ感じでしたね。
宮野:さきほども話題に上がりましたが、ここ最近、森川さんとの共演が多くて、付き従ったり、反抗したりしていたので(笑)、今回もバディとしてやれたことがありがたかったですし、心地よかったです。ブライアンは≪境界人≫や≪マージナルサービス≫のことを知らないがゆえに素直に感情を爆発させられたのかなという気がします。
森川:あと視聴者の方が感じたり、ツッコミたくなるところも、ブライアンが全部やってくれているよね。
宮野:確かにそういう役割ではありますね。
――収録時に意識された点や受けたディレクションなどお聞かせください。
森川:どのアフレコでもそうですが、絵がまだ完成していないので、わからなかったり、疑問を感じたところは質問して、よく聞くことですね。この作品はアクションものでもあるので、視聴者の方も混乱しないように距離感を意識してやりました。第1話でいえば、ブライアンが屋根づたいに走ってディエゴを追いかけるシーンで、飛び降りていくアクションがどんな感じなのかはアフレコで見る絵ではわからないので尋ねたり。
宮野:「外画っぽい雰囲気でいきたい」というお話もあったので、そういう空気感を出せたらいいなと。アニメとのギャップが出た時には「もっと大げさにやってください」とか「もっと声を出してください」というディレクションをいただけるので調整して。そして森川さんとの掛け合いでは、人と人がぶつかった時、「どんな会話になるかな?」と感じつつ、楽しんでいました。
森川:会話の掛け合いは楽しかったよね。
宮野:2人は任務のため、仕方なく行動することが多いので、理不尽なことに対してブツブツ言いながら、ミッションを遂行しているのが生っぽくておもしろいですね。海外の映画ではよくミッション中におしゃべりしていて、まったく関係ない恋人のことを話したりして(笑)。
お気に入りのキャラはセオドアとペック。その理由は?
――ご自身が演じるキャラ以外のお気に入りキャラを挙げるとすれば?
宮野:むしろキャラ全員、お気に入りですし、気になります。分散収録では森川さんと三木さんとご一緒することが多かったこともありますが、セオドアのインパクトが大きかったですね。
森川:僕らの共通認識としては「おじいちゃん」で、だからキャスト表を見てビックリしたんです。
宮野:三木さんもアフレコ中、「これくらいかな?」と考えながらやっていたことも印象的で。方向性が決まった瞬間もおもしろかったです(笑)。
森川:かなり後半の話数のアフレコの時、「最近、お年寄りの役がくるようになったんだよね」と言ってた(笑)。
宮野:この作品は意外な人の、意外な芸の幅を見る機会になったと思います。内山くんのペックとか。
森川:うっちーは「(ペック役は)他にいるでしょ?」が口ぐせだったもんね。
宮野:でも、うっちーのペックはすごくかわいくて、演じるのは彼しかいないかもと思いました。
森川:もし他の人がやるとしたら、かわいく演じてしまうと思う。
宮野:確かに。うっちーはこの≪境界人≫の小動物を毎回全力でやってましたね。かわいさを意識せずにやっていたところが逆にかわいく感じられて。
森川:牙とツメがある雰囲気をすごく出してくれて。
宮野:しかも一番アメリカンジョークを言っているところ、言い回しも面白くて。ペック役をやってくれてよかったです。