よぞらの鳴き声に衝撃!? アニメ向けではないアプローチとは? 『カワイスギクライシス』花守ゆみりさん、藤原夏海さん、小笠原仁さん、会沢紗弥さんインタビュー【後編】
2023年4月7日(金)よりTVアニメ放送の『カワイスギクライシス』は、城戸みつる先生が『ジャンプSQ.』、『少年ジャンプ+(プラス)』にて連載中のマンガを原作とするSFコメディ。宇宙の帝国『アザトス』から地球の調査にやってきた主人公・リザが、地球上の猫や犬をはじめとした“カワイスギ”る動物たちに翻弄される姿に多くの共感が寄せられている話題作だ。第1話放送後、宇宙人・リザに共感する飼い主や、動物好きが相次いだ。“飼い主あるある”“動物好きあるある”が遺憾なく散りばめられていることも、本作の特徴だ。
リザ・ルーナ役・花守ゆみりさん、よぞら役・藤原夏海さん、向井誠二役・小笠原仁さん、矢薙華澄役・会沢紗弥さんの座談会後編を公開! 和気あいあいとしたムードの中、アフレコのエピソードや今後の見どころなどについて教えてもらった。
藤原さんの猫の鳴き声の分析に一同驚き
──インタビュー前編では小笠原さんのよぞらの声を皆さんが聞く一幕があり、小笠原さんは悶ていましたが(笑)、一方で藤原さんのよぞらの鳴き声に衝撃を受けたというお話がありました。
向井誠二役・小笠原仁さん(以下、小笠原):猫の鳴き声の解像度の高さにまず驚いたんです。藤原さんのアプローチは、アニメ向けのベーシックな猫の鳴き声ではないんですよ。
リザ・ルーナ役・花守ゆみりさん(以下、花守):普通の「にゃ〜」とかじゃないんだよね。
矢薙華澄役・会沢紗弥さん:わかります! 言葉で表現できないんですけども、すごくリアルで、それでいてかわいい!
花守:そう! もちろんいろいろな声の猫ちゃんがいるし、シュチュエーションによっても鳴き方は変わるから、鳴き方の正解を見つけるのってすごく難しいと思うんです。でも私も「すごくリアルだな」と思っていました。文字にするとわかりにくいかもしれないのですが……「にゃ〜ん」というよりは「にゃーん」。なっちゃんは、その「ー」のところのほうが少しだけ下がるんですよね。さらに喉の奥で鳴いている感じがあるというか……。
通常、アニメで猫を演じる場合は、「ー」の部分が強調されるといいますか。僅かに高めになる印象があるんです。でもなっちゃんはすごくリアルな鳴き方だったから「猫の口腔をよく理解しているんだなぁ、なっちゃんは猫を飼ってるんだろうな」と思っていたんですよ。
小笠原:そうそう! 猫を飼っていない人が猫の声帯模写をするときって「にゃ〜ん」と後半の音程が少し上がるんですよね。でも藤原さんは「にゃーー(ん)」と、少し低め。ものすごく特徴を捉えられているから「うまっ!」って。
よぞら役・藤原夏海さん(以下、藤原):嬉しい! 動画でいろいろな猫ちゃんの声を聞いて、中には人間っぽく鳴く猫ちゃんもいて。でも大体が……喉の奥で鳴らすような、独特の発声方法があるんだなと思っていました。
──「にゃ〜(↑)ん」というよりかは、「にゃ〜(→)ん」で、かつ、後半の言葉は少し下がり目でということですね。言われてみれば確かに、と思いました。プロの皆様による分析、勉強になります……! よぞらの鳴き声について、ディレクションはあったのでしょうか?
花守:そこはもう任されていたよね。
藤原:そうですね、ありがたいことに。「もうちょっとあざとく」「ここはもう少しアニメっぽくかわいらしく」といったニュアンスについてはディレクションをいただいていました。
花守:でもそれも最初の数回だけだった気がする。
小笠原:全部任されている。
花守:でもそのリテイクもカワイイんですよ。そのたびに「カワイスギる……!」と思っていました(笑)。
小笠原:そうそう、「リテイクだ! もう1回聞けるんだ!」と(笑)。
──キャスト陣がリテイクを喜ぶ(笑)。素敵な現場!
藤原:みんないい人たちすぎる(笑)。
──初回のアフレコ現場はどんな感じだったんでしょうか?
花守:とにかく楽しかったです。でも私は叫びっぱなしでした(笑)。
小笠原:花守さんのパッションがすごいんですよ。花守さんの叫びを聞いて、きっとみんな「とんでもない座長がきた」と思っていたんじゃないかなと。
藤原:確かに。
会沢:猫を見たことがない人はこういう反応になるんだろうなって思っていました。
花守:すごく覚えているのが、羽鳥 潤監督からの「あまりアニメに寄せなくていい」というディレクションです。みんな真面目なだけだから「奇をてらって」というより「まともな人が狂うところが面白いので、アニメ芝居というより、もうちょっと自然に」と。そういったディレクションを受けながらも、私は絶叫するんですが(笑)。あえて人っぽく作ることでそのヤバさが強調されるんですよね。
しかも人間のキャラクターたちの絶妙なテンション感がとてもリアルなので、さらにヤバい人感が際立っていて(笑)。「ああ、これは面白いアプローチだな」と思いましたし、それで調子に乗ってしまいました。
藤原&会沢&小笠原:いやいやいや!
花守:でもとにかく楽しかった〜!
会沢:華澄は「ヤバい客がきたな」という冷静な目を持っているのですが、動物が大好きだから「教えてあげたい」という気持ちが沸いてしまって、初対面でリザを家につれていくんですよね。
花守:それはそれでヤバいという(笑)。
会沢:「ヤバいけど面白いやつがきた」と、ゆみりちゃん演じるリザに引き込まれていくんですよね。とことん動物について教えてあげようと連れて行くのですが……(犬を見たリザが)「でかい!」「小さい!」と。
──犬ってこんなにバリエーションがあるの!?と驚いていましたね(笑)。
花守:むしろリザの声が大きいっていう。リアクションが大きいんですよ。
会沢:あの声を聞いて、「これから毎週楽しみだなぁ」って思っていました。
花守:嬉しい、ありがとう!
──小笠原さんは等身大のキャラクターということで、テンション高めに初回のアフレコに挑まれたのでしょうか?
小笠原:でも緊張はしていました。
花守:そうだったの!?
小笠原:(座組の)顔合わせもそのタイミングが初だったんです。だから実際に会ったときに「どういう感覚になるんだろうな」と思っていました。で、会ってみたら「こんなにテンションが高い主人公がいるなら大丈夫だろう」と。
花守:良かった(笑)。
小笠原:コメディ作品の“一対一”の場面って、ボケツッコミの構図が出来上がるじゃないですか。でもボケ側があれだけぶっ飛んでてくれると、何をツッコんでも楽しいんですよ(笑)。最高のアプローチをしてくださっているので、これはすごく楽しい作品だなと。
藤原:(花守さんが)引っ張ってくれているな、と感じていますね。
花守:いやいや、私は支えてもらっているんですよ。
会沢:いやいや。
花守:私はただのたうち回っているだけだから……。
会沢:のたうち回っているのは事実!(笑)
一同:(笑)
藤原:第1話のアフレコできちんとリザの声を聞きたかったので、あえてボイスコミックの声を聞いていなかったんですよ。思ったよりも頼りがいのある声色で、リザという人物を演じている印象がありました。よぞらは第1話でお迎えしてもらうのですが……第一声を聞いた瞬間に「わ、もうついて行く!」と思いました。「女性らしい」という言葉で説明すると語弊があるかもしれませんが、女性らしすぎず、頼りがいのある感じ。
小笠原&会沢:分かる。
藤原:気持ちを預けられる声だなぁって。頼り切りになってしまわないようにしながらも、身を任せられるなって思っていました。悶ているときのリアクションもすごいので、こっちもテンションが上がるんです。もうすごかったです。語彙力がなくなってしまうんですけど(笑)。
花守:嬉しい、嬉しいです!
──でもこの作品を見ていると、語彙力がなくなりませんか? 私も「カワイスギル!」「分かるっ!」しか出てこなくなってしまって(笑)。
会沢:私も「カワイイ!」しか言えなくなってしまいます(笑)。