春アニメ『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』ピンク役・黒沢ともよさんインタビュー|『マジデス』はまるでサウナ? カオスな展開の先に“ととのう”瞬間が待っている!?【連載第3回】
気鋭のクリエイター・JUN INAGAWAさん原案による愛と狂気と破壊の物語。オリジナルTVアニメーション『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』の放送がスタートしました!
本作は、若き革命者・オタクヒーローと、彼を慕う3人の魔法少女・アナーキー、ブルー、ピンク、そしてさまざまなオタクたちが、あらゆるオタク文化が排除された世界で、謎の勢力に戦いを挑む作品です。
アニメイトタイムズでは、出演者の放送後インタビューを掲載! 第3回は、ピンク役・黒沢ともよさんです。
『マジデス』は「反抗期の子供を見た!」みたいな気持ちになる作品
――JUN INAGAWAさんとは、もともと面識があったそうですね。
ピンク役・黒沢ともよさん(以下、黒沢):そうなんです。何年か前にJUNさんがやっていた展覧会で初めてお会いしました。そこで「こういう作品がしたくて、こういう想いがあって」と熱心に話をしてくださったんです。その言葉が明確で、「同世代で、自分の思想を言語化して、ちゃんと大人たちともやり取りをしていてすごいな」と感銘を受けたのが、最初の印象でした。まだアニメも決まっていないときですね。
――そのときから描き続けていたキャラクターがアニメになるわけですからね。オーディションは、JUNさんの作品だと知っての参加だったのですか?
黒沢:そうです。そしてJUNさんがオーディションの日の朝までDJをしていたことは知っていたんです。なのでその場には「いないだろうな」って思っていたら、大きな画用紙を抱えてお絵描きしながら「おはようございまーす」っていたので、「めっちゃタフやん!」と思いました(笑)。
お仕事なので、そこで特にお話はしなかったんですが、終わってから、休憩のタイミングでJUNさんがふっと出て来たときに、「朝までDJをしてたでしょ?」と聞いたら「寝てないっす!」って。なのでその日はお絵描きしながらオーディションをしていたらしいです(笑)。そのバイタリティ、すごいな!っていうのがオーディションの思い出ですね。
――情熱がすごいんでしょうね。ちなみにオーディションの手応えはありましたか?
黒沢:受けたのはアナーキーとピンクで、スタジオ(オーディション)まで行ったのはピンクだったんですが、手応えはまったくわからなかったです。もともとアニメ好きなのは知っていたので、ご一緒したいボイスクリエイターはたくさんいるでしょうし、声のイメージもあるのかな?と思っていたので、聞いてもらえて嬉しかったなと思いつつ、ご縁があればいいなという感じで帰りました。
――オーディションのときから、セリフは「ごぼ」だけだったのですか?
黒沢:「ごぼごぼ」だけでしたが、しっかり(原稿が)1枚あって、6~7パターンくらいの「ごぼごぼ」を録りました。最初はムセているんだと思って、ムセてやっていたら「鳴き声みたいなものです」と言われて「鳴き声とは?」みたいな(笑)。結構ハテナになりながらやりました。作品のテイストがまだ読めていなかったですね。
――オーディションのときは、「ごぼごぼ」をブルーが通訳するとも思っていなかったのですね。
黒沢:思っていなかったです。第2話の収録段階でも、ブルーとピンクの関係性が、現場で監督としゃべるまでわかっていなかったんですよ(笑)。私とあいみん(ブルー役・愛美さん)と監督で、思っていることが全部ズレていて、テストでやってみたときに、監督から「違います。こういうことです!」とディレクションが入って、「そういうことか!」ってなるという。なので第2話は手探りでやっていました。
――その感じが『マジデス』っぽいですね(笑)。黒沢さんが思う『マジデス』の魅力はどんなところでしょうか?
黒沢:JUNさんが原案なので、物語の出どころが若くてエネルギッシュなんですよね。「粗いけど熱い」っていうのが最後までずっと貫かれているんです。結構パンキッシュな表現が続きますが、伝えたいことは意外とピュアで真っ直ぐなことなんですよね。私は子供を産んだことはないですが、「反抗期の子供を見た!」みたいな気持ちになる作品だと思います(笑)。
今、皆さんは第3話までしか見ていないと思いますが、そこは反抗期始まりたての、一番わけわからないタイミングなんですよ(笑)。なんか暴れてるけど、理由はわからないみたいな。ですが、最後は何を考えているのか見えてくるので、安心して“わけわからない”を楽しんでほしいなっていう気持ちがあります。
――すごくわかりやすい(笑)。この作品はいろんなオタクが出てくるのも特徴ですが、オタクの印象ってどんなものですか?
黒沢:オタクってめちゃめちゃ愛おしいですよね! その対象は置いておいて、日本人が普段あまり得意としない、愛情を伝えるということを、彼らは特定の対象物に熱心に伝えるんですよ。それが本当に素敵な行為だと思っているんです。
最近オタクのみんなってファッショナブルになってきていますが、私はやっぱり昔ながらの濃ゆい愛情表現のあるオタク文化がすごく好きですね。今は生きやすくなったというか。それはいいことなのかもしれませんが、私はちょっと寂しいなっていう気持ちがあるんです。
――オタク文化がメインストリームになりつつありますからね。でも『マジデス』には、いろんなオタクが出てきますから。
黒沢:ミリオタ(CV.間島淳司)、ゲーオタ(CV.子安武人)、鉄オタ(CV.奥村 翔)、自衛隊オタ(CV.兼政郁人)、アニオタ(CV.稲田 徹)、ドルオタ(CV.石谷春貴)、プロレスオタ(CV.高橋伸也)……いいですよね(笑)。ミリオタと自衛隊オタクは違うんだとか、何か強い意志を感じますね。第3話では、痛車ドライバーが出てきましたが、このあと杉田智和さんが演じている「オールドリーダー」というのも出てきて、いい味を出しているんですよ! オタクたちは最高のキャストなので楽しんでください(笑)。
――では、黒沢さんが演じるピンクについても教えてください。
黒沢:ピンクちゃんは、わりと普通のOLさんと同じような雰囲気があると思っているんです。OLアニメで必ず一人は出てくる「ちょっと達観した子」みたいな。でも、いろいろなことにセンシティブに反応するような感じ。
あと、ピンクちゃんはメイドさんが好きで、それに「わっ!」って反応するタイプの女の子なんですが、日本語がしゃべれない! それも深い事情があってしゃべれないんですが…。
――そのあたりの設定については聞いたのですか?
黒沢:聞きました。理由があってしゃべれないんですが、それ以外は普通の女の子なんです。学生という感じもしないからOLなのかなと。わからない言語で感情を伝えるという意味で、受け取ってくれる皆さんに対しての余白があるキャラクターなんですよね。そこが彼女の魅力なのかなって思います。