81ACTOR'S STUDIOのレッスンで学んだことは今も生かされています――大久保瑠美さん、駒田 航さん、白田千尋さんら歴代受賞者が語る、81オーディションまでの道のり【短期連載第4回】

今年で第17回目を迎える、大手声優プロダクション・81プロデュース主催の「81オーディション」。

本オーディションは、毎年夏に行われている新人発掘のための81プロデュース単独主催の一般公開オーディション。先人たちが築いてきた声優業界の技術や文化、そしてマインドを継承し、長きにわたって活動することができる才能の発掘・育成を目指すという趣旨のもと、3万人を超える応募者の中から数々の人気役者を輩出してきました。

特徴としては、専門学校や養成所からだけでなく、広く一般からその原石を募集する一般公開形式であること。グランプリ受賞者は特待生として、81プロデュースの養成所・81ACTOR’S STUDIOでのレッスンのほか、デビュー後の長期的な声優活動のバックアップが約束されています。

そして、「第17回81オーディション＜エイティワンオーディション＞」のエントリーが2023年5月15日（月）まで受付中です。

本オーディションの開催に際して、受賞歴を持つ81プロデュース所属の3名の声優の短期鼎談インタビュー連載を実施。

ご登場いただくのは、「第3回81オーディション」で優秀賞（グランプリ）を受賞した大久保瑠美さん、「第5回81オーディション」で優秀賞（グランプリ）を受賞した駒田 航さん、「第11回81オーディション」でスタジオディーン賞を受賞した白田千尋さん。

声優を目指している方も、そして大久保さん、駒田さん、白田さんのファンの方も必見のインタビューを全4回に渡りお届けしていきます。

最終回となる第4回では、前回同様オーディション受賞後の「81ACTOR'S STUDIO」時代の思い出や、目標達成のために大切にしてきたことなどをうかがいました。

▼前回

時には厳しい言葉も。でもそれが糧になる

――前回は養成所時代の思い出をお伺いさせていただきましたが、養成所時代に得たものは大きかったのですね。

大久保瑠美さん（以下、大久保）：そうですね。当時に得たものは今でも役に立っています。

――では白田さんが「81ACTOR'S STUDIO」時代に印象に残っている授業というと？

白田千尋さん（以下、白田）：レッスンで中尾さん（中尾隆聖さん）に叱られたことでしょうか。

駒田 航さん（以下、駒田）：え！　マジ！　あの優しい隆聖さんに!?　僕なら寝込むかもしれない……。

大久保：それは悲しいね。ひとりで？　それともクラス全体で？

白田：私ひとりです。

大久保＆駒田：何したの!?

白田：「ことば」のレッスンで発表会があったんです。その中で私が演じていた役がどんどんと弱っていくシーンがあって。

そのシーンを演じたときに「死にそうになった時にそんなセリフを吐くのか」「そういう言い方をするのか」「芝居心がない」と叱られてしまい涙が出てきてしまって。そうしたら「稽古場で泣くな」と。

大久保：ああ、そういうことがあったんだ。中尾さんはとても穏やかな方なんです。だからきっとその前後に何かが確実にあると思うんですけど、逆に言えば、目をかけてる子じゃなきゃそこまで怒ることはないかないから。もしかしたら、ここで一度ガツンと言っておかないと、伸びが止まっちゃうと思ってたのかもしれません。

駒田：そうかもしれないですね。芝居心って言葉にするのは難しいと思うんです。先生によって持ってるハートは違うと思うんですけど、隆聖さんは長年培ってきた芝居心があって。ばいきんまんやフリーザなどを演じられてきているわけですから、本当に最強の方。
でもあの方は最強なのにその芝居心を振りかざさない。いつも謙虚でいらっしゃる大先輩という印象です。

その隆聖さんが強めなことを言ってくれたのは、ルート修正だと思います。間違っているわけがない。数十年しか生きてない僕らの価値観と、隆聖さんの価値観はレベルが違うので、言葉の重みが違います。隆聖さんに限らず、レッスンの中では当然厳しいことも言われます。でもそれは、その人のためを思ってのことです。

その言葉を受けた上で、白田さんが変化したからこそ、拍手で迎えられて事務所に入ってきたんだと思いますよ。レッスンを受けていく中で慣れてくることがどうしてもあると思うんですが、バトルフィールドであることをやっぱり忘れちゃいけないんですよね。

白田：実際、「毎回のレッスンをオーディションだと思え」と言われてました。

駒田：僕も隆聖さんのクラスで「ことば」のレッスンを受けていたんですが、背中を見るじゃないですけど、隆聖さんの佇まい、姿勢を見るだけでも勉強になりました。自分が40年後、50年後……同じようになれているとは想像できない、大きすぎる存在です。

ひとつでも多くいただいた言葉を吸収したいとは思っていたのですが、迂闊に質問はできないんです。自分が浅はかすぎる。でもこの人に「悪くない」と言ってもらえるものを出すには何をしたらいいのかはずっと考えていました。それも含めて81ACTOR'S STUDIOでとてもいい時間を過ごしていましたね。青春時代と言うと少し軽い響きになりますが、それに近いものがあります。高校時代のように心を燃やしたのは養成所でした。