81ACTOR'S STUDIOのレッスンで学んだことは今も生かされています――大久保瑠美さん、駒田 航さん、白田千尋さんら歴代受賞者が語る、81オーディションまでの道のり【短期連載第4回】
人との出会いを大切にすること
――今回のインタビューではオーディション、養成所時代の思い出と、たくさんのお話を伺ってきました。ここからは、声優としてデビュー後、目標達成のために大切にされていたことを教えていただければと思います。
駒田:僕は現場で会う人を大切にするようにしています。僕は最初の3年間ぐらいは、泣かず飛ばずどころじゃなく、本当に何もなかったんです。現場に行くと、駒田航なんて当然知られてないから、興味を示してくれない方もたくさんいるわけです。でもその中でお話をしてくれたり、アドバイスをしてくださったり。そういう人たちと次に会ったときにもうひとつ先の関係になりたいなと思っていました。
また、所属してから自分は下手なんだなと目の当たりにしました。あとから「養成所は狭い世界だったんだ」と。自分で改めて(当時の声を)聞き直すと下手だなと思うことがあります。
自分の何に期待されているかは、自分ではわからなくって。でもそんな中でも、いろいろな人との出会いを大切にして、いろいろなものを吸収しようと。それが自分に唯一できることだなと思っていました。スキルに関しては、見えない場所でコツコツと勉強してやるもので、人前で見せびらかすものではないと思うから。
どこに行っても本当に人を大事にしようって。絶対に目を合わせ、絶対に挨拶をするように心がけていました。
誰とも会話しない現場は絶対に作っちゃいけないと思っていたし、先輩がいたら「絶対に何かしら聞こう」とか、マネージャーさんがいたらちょっとでも話そうとか。そういうハートで現場に行っていました。これは今も変わりません。現場では全員と挨拶するようにしています。全員に挨拶していない現場は、多分10年の中で1回もないと思います。
大久保:駒田くんが現場にいるとすごく安心する。
駒田:え、本当ですか!?
大久保:私も喋るのは好きなんですけど、同じテンションで喋ってくれるし、気を遣ってくれる。そういう人が現場にいると安心するし、現場がうまく回る。だからこそ駒田くんにお願いしよう、って作品も絶対にあると思うよ。
駒田:嬉しいですね。こういうことを言ってくれる方が、ありがたいことにいらっしゃるんです。僕も嬉しいですし、そういう人たちが、僕がいないところで少しでも話に出してくれればありがたい。その分、幻滅させるわけにはいかないじゃないですか。慣れてるからおざなりにするのもダメだと思うので、きっとこれからもずっと続けていくんだろうなと思います。
白田:私は最初にお会いした時に白い恋人をいただきました。それがすごく嬉しかったんです。覚えてますか?
駒田:現場でね。北海道のお土産を貰ったからあげて。
大久保:へぇ~。優しい。
駒田:朗読の現場だったかな。僕らはキャストが入る前の場当たりに、“アンダー(スタディ)”をやってくれる子たちがいるんですね。そこで、良かったら、と。
白田:サク山チョコ次郎をお返ししました(笑)。
駒田:白田さんは面白いんですよ。「私はこれしかお返しできないんですけど」ってサク山チョコ次郎を渡すっていう(笑)。彼女はユーモアを持っていると思うので、所属したときのハートを彼女に聞いたら面白いのが出てきますよ……!
――わくわく!
白田:あっ、はい! 出ます!
えっと……ちょっとくじけそうになったときに、私は『D.Gray-man』で夢を与えてもらい、それで声優を目指した、と初心を思い出すようにしています。オーディションの前日にも必ず『D.Gray-man』を読んでいます。“好き”を絶対に忘れないようにしなきゃなとは思っていて。すみません、こんなことしか言えなくて(苦笑)。
大久保:すごくいい話じゃないですか。私は目標がないまま来ちゃった気がするなぁ。私の場合はありがたいことに、専門学校行っていたこともあって、デビューも早かったし、お仕事を始めるのもかなり早かったんです。
だから目標を立てるよりもやらなきゃいけないことが多くて。それに、当時は結構尖っていました。恥ずかしい話なんですけど……駒田くんとは逆で、「役者なんだからニコニコしていなくてもお芝居さえできればいいじゃない」と思っていた時期があります。
でも、そんなわけなくて。人と人との仕事だから、それじゃいけないと、仕事していくうちにすぐ気づいて。プロフェッショナルでなきゃいけないけど、愛嬌を失ってはいけないことを理解しました。それからは意識するようにしていますね。元々そんなに愛嬌があるタイプじゃなかったので。
――そうなんですか?
大久保:マネージャーに「怒ってるの?」と言われたことがあるんです。喋り方の語尾が強いから怒ってるように聞こえるらしいんですね。そんなつもりはなかったんですけど。でもそう言われてハッとして、喋り方を意図的に変えたり、表情をやわらかくするようにしたり。でも自分の意志は強い方なので、「こうしたい」ということは曲げないんですけど。
だから私の場合は、目の前にある目標をひとつずつクリアして、階段を上ってここまできたような感じでした。まだまだ先は長いですけどね。
駒田:瑠美さんの語尾の強さは分かりますね(笑)。
大久保:(笑)
駒田:でも可愛いから。「まあ、いっか~」ってなる気がします。
白田:本当に素敵です。憧れます。
大久保:フォローさせてしまった(笑)。
――大久保さんと白田さんの関係性も素敵ですね。ここまでで大久保さんと駒田さん、駒田さんと白田さんの出会いについて伺いましたが、大久保さんと白田さんがきちんとお話されたのはいつだったのでしょうか?
白田:瑠美さんが出演されていた朗読劇『ハニーレモンソーダ』にアンダーで参加させてもらったんです。特別講義もあって私は一方的に存じ上げてはいましたが、きちんと挨拶したのはその時だったような……。
大久保:うんうん。『ハニーレモンソーダ』の時に挨拶して。白田ちゃんが出演している『マイホームヒーロー』に私も響役として出ていて、そのときにきちんとお話しました。「あの時の子だ!」って。皆さんもそうだと思うんですけど、自分のことを慕ってくれると嬉しいんですよ。だから「瑠美さん~」って言って走ってくるのを見ると「かわいい! おいで~」って。
駒田:受け入れ態勢広めですからね(笑)。
大久保:事務所の先輩として、話しかけやすい存在でいたいなとは常々思っています。ただアフレコではなかなか喋る機会がなかったんですよね。白田ちゃんが何かを聞きたそうにしていたんですけど、アフレコが始まってしまって話せなくて。聞いてあげられないまま終わっちゃったなぁって気になっていて。
白田:気にかけてくださってありがとうございます。聞きたいことがあったのですが、アフレコが始まってしまったので、今度また伺おう!と思っていました。
――ちなみにどんなことを聞きたかったんですか?
白田:事務所に所属したあと、1~2年は何をされていたのかを聞きたかったんです。
駒田:「売れてたからね~」ってならないかな?(笑)
大久保:ならないよ!(笑)
白田:でも今回のインタビューでたっぷりお聞きできました! あと、瑠美さんから「Twitterの白田ちゃんのアカウントってこれ?」と言っていただけたのがとても嬉しくて!
大久保:そうそう! 私はTwitterを始めたばかりだったので(2022年6月アカウント設立)、ひたすら事務所の人たちを探してフォローしていたんです。それで声をかけさせてもらって。
――優しい……!
白田:そうなんです! すごく嬉しかったです!
――81プロデュースは役者の皆さんもスタッフの方々も人を大切にされていることが伝わってきます。所属されている皆さんから見て、81プロデュースの魅力はどのようなところだと思いますか?
大久保:役者ファーストだと思います。中にはマネージャーさんのほうが強い事務所もあるんです。決して、それが悪いとかではなくて。ただ、うちは「役者がどう思ってるか、どうしたいか」を聞くために、話し合いの場をちゃんと設けてくれます。
例えば「こういうお仕事が来てるんだけど、受けても大丈夫?」などと、ディスカッションを各マネージャーが必ずしてくれます。アットホームな雰囲気が私は好きです。
駒田:僕は役者のスタンス次第で変わってくる事務所だなと思っています。受け身のままであれば、その状態のままでもいてくれますし、ディスカッションをしたい場合であれば、それを退けるようなこともないし、話を聞いてくれる。目先のことより、長い目で見てブランディングを考えてくれるので、そうした面も含め、対話ができる事務所だとは思っています。僕自身は写真も含めて、幅広く好きなものがあるのですが、それをアピールしたことによって、自分のことを理解してくださったのですごくやりやすいです。だから役者と距離の近い事務所だと思います。もちろん自分の気持ち次第だと思いますけど。
白田:私はまだ事務所に入って間もないので、これから学んでいくことも多いのですが、とてもあたたかい事務所だなと感じています。
それを感じたのが、現在放送されている『マイホームヒーロー』の鳥栖零花役が決まったときです。瑠美さんも出演されている『マイホームヒーロー』は、ほぼ初めてのオーディションで、そして初めての合格をいただいた作品でした。合格の連絡をもらった翌週、事務所に行ったらもう皆さんが「おめでとう!」と声をかけてくださって、それがすごく嬉しかったです。マネージャーさんも先輩がたも皆さん優しいので……(ふたりやスタッフを見ながら)好きです! これからも宜しくお願いします!
一同:(笑)
インタビュー・逆井マリ
撮影・鳥谷部宏平
オーディション概要
【名称】
第17回81オーディション<エイティワンオーディション>
【主催】
株式会社81プロデュース
【開催日(予定)】
応募期間 2023年4月1日(土)0:00~2023年5月15日(月)23:59エントリー完了
2次審査 東日本(東京)会場:2023年6月10日(土)・6月11日(日)
西日本(大阪)会場:2023年6月17日(土)・6月18日(日)
*2次審査は上記日程のうち、いずれかの日で1時間程度の拘束を予定しております。
最終選考 2023年8月1日(火)
*主催者の都合や天災等の事情により、日程は変更される場合もございます。
【会場】
東京都内を予定
【応募受付期間】
2023年4月1日(土)0:00~2023年5月15日(月)23:59エントリー完了
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