『女神のカフェテラス』月島流星役・山根綺さんインタビュー【連載第5回】|「100点のその先を見られるお芝居の世界が、今は楽しくて仕方ありません」
音だけでお芝居をすると、そこに「嘘」が生まれる
――ここからは少しお芝居への思いについてお聞きします。
ご自身のなかで、役者として成長したなと感じることはありますか?
山根:自分の過去のお芝居を聞いて「うわー、ぜんぜんできてない」って思えるようになったのは、ある種の成長かも。お芝居も歌もダンスもぜんぶそうなのですが、何かを表現するときって、いまの自分が出せる100%でやるじゃないですか。「これがベストだ」ってその時は思っているんですよ。でも、1年後に当時の表現を聞いてみると、「私、これでよくできたって思ってたな。今ならもっと別の表現ができる」って感じちゃうことが多くて。振り返って、「もっとできたのに」と思うことが増えましたね。
――別の表現ができるというのは、それだけお芝居の幅が広がってきているということ?
山根:色々な役を演じてきたので、それもあると思います。あとは嘘なく、心からそのセリフを言えているのかの精度かな。音だけでお芝居をすると、そこに「嘘」が生まれると私は感じていて。演じるキャラクターの性格や心情などを自分のなかに落とし込んでそれを心から言えたら、聞いている方々により伝わるようになると思っています。
例えば、演じるキャラクターが生きるか死ぬかの選択を迫られているときに、一生懸命になり過ぎて声が裏返ったり、ひっくり返ったりすることは、あまりダメなことではないと個人的には感じていて。だって、そんな場面になったら綺麗な音なんて本来は出ないはずなんですよ。
――以前はもしかしたら、キャラクターを演じる、綺麗な音を出すという考え方に囚われていたのかもしれないですね。
山根:そうです、そうです! もちろん、不快な音をお届けする訳にはいきませんし、ひとりで作品を作っている訳ではないので、自分の考えがすべてではないです。それでも、「嘘」が生まれないようにその役として生きること、そのために心からセリフを言う精度を上げることを大事にしていきたいんです。
流星は隼くんと出会って成長していく
――役として生きるという言葉に、役者として矜持を感じます。
山根:ありがとうございます。ただ、そういう考え方だけでいると、キャラクターと気持ちがリンクし過ぎちゃうんですよね。だから、「この子の好きなところはどこですか?」と聞かれたときに、自分の好きなところを聞かれているような気がして、何だか恥ずかしくなっちゃうことがあって。
――客観視できなくなるときがある。
山根:情熱に100%振り切ると客観視できなくなって、自分の考えでしか表現できなくなってしまう気がします。ディレクションを受けたときに「なるほど、そっちか」と俯瞰して捉えるのも大切なこと。とはいえ、冷静になり過ぎると、ぜんぶが嘘になっちゃう。そこはバランスよく、情熱と冷静の間を目指したいですね。
――それって、非常に難しいことだと思います……!
山根:難しいですね、すごく。でも、その難しいこと、答えがないことが、いちばん好きで楽しいから。テストで100点を取るのとは違う、100点のその先を見られる世界が、今は楽しくて仕方ありません。
――「100点のその先を見られる世界」、すごく素敵な言葉です。
山根:おっ、これはタイトル候補ですかね(笑)。でも、本当にそうだと思っています。
――今後はどんな役者になりたい?
山根:そのキャラクターがただ喋っていると視聴者の方に感じてもらえる、声を聞いたとき、私の顔が浮かばないような役者になりたいですね。そうなるには声質だけではなく、芝居で魅せられるようにならないといけないなと思います。
――それって、表舞台への出演と必ずしも比例する訳ではない気が、個人的にはしています。野沢雅子さんがテレビにご出演されることもありますが、アニメで声を聞いたときに野沢さんの顔が思い浮かぶことはないなって。
山根:ですよね。私もそういう役者になりたいですし、芝居が好きと言ってもらえるようになりたい。演じる子の魅力を引き出せる存在になりたいですね。
――芝居への熱い思いを語ってもらい、ありがとうございました。改めて、演じる流星の序盤の見どころを教えてください。
山根:序盤は流星の小悪魔的な要素が前面に出ています。そこから、実は彼女にも色々な過去があって、今につながっていることが明らかになっていくんですよ。流星は隼くんと出会って成長していくし、隼くんも流星と出会って成長します。この作品は、みんなの成長物語でもあるんですよね。
――最後に、放送を楽しみにしているみなさまへメッセージをお願いします。
山根:キャストは現場で作品の話をずっとしているくらい、愛を持って演じています。スタッフさんも、いつも収録時間ギリギリまで「こうやりたいです、こうやりましょう」ってこだわってくださいました。たくさんの人の大きな愛が詰まった作品なので、ぜひ放送を楽しみにしていてください!
[文&撮影・M,TOKU]
TVアニメ「女神のカフェテラス」作品情報
放送情報・配信情報
■放送情報
2023年4月7日(金)から毎週金曜深夜1;25~MBS/TBS系 全国28局ネット “スーパーアニメイズム”枠にて放送
BS日テレ:2023年4月10日(月)から毎週月曜 夜11:30~
AT-X:2023年4月12日(水)から毎週水曜 夜9:30~
※リピート放送:毎週金曜 午前9:30~、毎週火曜 午後3:30~
■配信情報
DMM TV、ABEMAにて最速配信
dアニメストアほか各配信サイトでも配信予定
イントロダクション
――どこかの海辺にある、古びた喫茶店。そこには…女神様がいるらしい――
ケンカ別れした祖母が遺した喫茶店「Familia」。
「赤字だらけの店、さっさと畳んで駐車場に建て替えよう」と主人公、粕壁 隼が3年ぶりに帰省をするとそこには「おばあちゃんの家族」を語る見知らぬ5人のカワイイ女の子が!!
いきなり下着? 全裸!? ちょっとまて、誰が空き巣だ!
ここはオレの家だ! 絶対に追い出してやる!
最悪の出会いから、恋と家族の物語が始まるっ!
5人全員「正ヒロイン」の、夢のハーレム共同生活!
ヒロイン多すぎシーサイドラブコメ!!
スタッフ
原作:瀬尾公治(講談社「週刊少年マガジン」連載)
監督:桑原 智
シリーズ構成:大知慶一郎
キャラクターデザイン:野口征恒
音楽:兼松 衆、櫻井美希
アニメーション制作:手塚プロダクション
オープニングテーマ:音莉飴「運命共同体!」
エンディングテーマ:佐藤ミキ「ドラマチック」
キャスト
粕壁 隼:水中雅章
小野白菊:和氣あず未
月島流星:山根 綺
鶴河秋水:鈴代紗弓
鳳凰寺紅葉:瀬戸麻沙美
幕澤桜花:青木瑠璃子
粕壁幸子:伊倉一恵
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