『ULTRAMAN FINALシーズン』早田進次郎役・木村良平さんインタビュー|進次郎が進次郎なりの正解を探して足掻く姿を物語とあわせて追いかけて欲しい
清水栄一先生×下口智裕先生による漫画原作で、Netflixにて配信されてきたCGアニメーション『ULTRAMAN』。そのラストを飾る『ULTRAMAN FINALシーズン』が、いよいよ2023年5月11日より配信開始となりました。
アニメイトタイムズでは、配信を控えるタイミングで主人公である早田進次郎を演じる声優・木村良平さんへのインタビューを実施しました。
いよいよファイナルということで、進次郎の戦いや彼が迷い悩んできた戦う理由や意味への決着も描かれる本作。その収録に際しての苦労や、注目したいキャラクターについて伺っています。
また、PVなどでも既に匂わせられている往年の特撮『ウルトラマン』における最大最強の存在“ゼットン”についても少しだけ語っていただきました。これまでのアニメ『ULTRAMAN』を追いかけて来られた方はもちろん、この機会に本作を知ったという方もぜひご一読ください。
進次郎に寄り添って物語を追いかけて欲しい
――コロナ禍での収録になったかと思いますが、FINALシーズンのアフレコはどのような形で進んだのでしょうか?
早田進次郎役・木村良平さん(以下、木村):シーズン2の収録時は業界全体がまだコロナの影響下での収録に不慣れだったり、演者やスタッフの健康への配慮が優先され非常に厳しい状況でした。今回はなるべく大人数で収録できるスタジオを用意していただいたので、同じブース内で収録の方だったり、違うブースから声だけを聞かせてもらう方だったり、キャストみんなでアフレコに臨んでいる感覚がありました。
この収録方法の利点として、本来同部屋で収録する場合、声が被ってしまう際は通常は抜き撮りになるシーンを、みんな同時に収録することができたんです。僕の耳には相手の声が入っているけれど、マイクには別々に音声が入るので、一緒に掛け合いや戦闘シーンの収録ができるといったイメージです。
本来は個別で抜き撮りになってしまうシーンでも、別々のブース同士から同時収録することで、息を合わせて戦える利点も見つかり、その後の話数でも場合によってはこの手法が取り入れられるなどしてアフレコが進んだことも印象に残っています。何しろ『ULTRAMAN』はシリーズ通して戦闘シーンが多いですし、キャラクターのアクションが早いですからね。
みんな戦闘シーンは瞬発力で収録するから、画のタイミングにバッチリあわせるのが難しく、このズレは一緒に収録していると修正が難しいのですが、別のブースでは修正して貰えたりします。大きい声を出すことも多かったのですが、それをみんなで聴いて疑念が生まれるともう一回やってみようとなったり。声の出し方ひとつひとつにこだわることができました。
また、最終回収録の当日に僕が流行り病で欠席せざるを得なくなってしまいまして。よりによってのタイミングで本当に申し訳なかったのですが、復帰した時にULTRAMANの記念パネルにみんなが励ましのメッセージを書いてくれたものを貰って、元気になった後にまたさらに元気になれました。
――シーズン2では早期に捕らえられた進次郎ですが、今回は序盤からガンガン活躍が見られそうです。注目して欲しいポイントを教えて貰えますか?
木村:シーズン1ではひとつ大人になってヒーローとして成長した進次郎ですが、シーズン2では新キャラクターのタロウがお話しの中心にありました。そして今回のFINALシーズンですが、改めて進次郎を軸としてよりスケールの大きい物語が展開します。
進次郎がまた成長を遂げる物語という側面がありつつ、そのスケールがさらに大きくなっているんです。これまでの物語を踏まえて視聴していただくと、見どころが増えていると感じられるんじゃないかな。ウルトラ戦士たちも数が揃いましたしね。彼らでさえ大変な目に遭ってしまう物語になっていますので、期待してもらえると嬉しいです。
――これまでの物語を踏まえてとのことですが、振り返って欲しい場面はありますでしょうか?
木村:『FINALシーズン』と銘打たれているだけに、やはり物語の決着が描かれます。進次郎を通して、彼にとって大きな存在であるウルトラマンや父である早田進(CV:田中秀幸)の存在が見られるんです。そして今回は、ヒロインである佐山レナ(CV:諸星すみれ)も大きな見どころのひとつになってきます。
もちろん東光太郎(CV:前野智昭)や科学特捜隊の井出(CV:魚建)、エド(CV:牛山茂)といった各々もフィーチャーされて行くので、決着へ向かう物語の前にそれぞれのキャラクターを改めて見ていただけると、さらに『FINALシーズン』を楽しめると思います。
――進次郎自身がウルトラマンとして戦う意味、みたいなところにも決着が付くと思います。収録で難しかったところはどこでしょうか?
木村:ある種誰も正解を持っていないところですね。例えば諸星やお父さんが正解で、彼らの姿をただ学べばいいかというとそうではない。進次郎は進次郎なりの形を見つけなければならなかったのですが、そこがとても難しかった。10代の彼がそれをやらなければならないのは、改めてみると過酷だなと。
『FINALシーズン』はウルトラ戦士たちが全話を通して悪と戦う物語ではありません。特に序盤は進次郎がとにかく足掻く姿が見られます。彼がどんな道に進むのか、その正解が中々見えてこないんです。そういった彼の一面を演じる上で僕自身も悩みましたし、やり甲斐を感じました。ぜひ彼に寄り添って物語を追いかけ、辛さや達成感を感じて欲しいなと思います。