TVアニメ『地獄楽』山田浅ェ門士遠役・小林親弘さん×山田浅ェ門典坐役・小林裕介さん×ヌルガイ役・小市眞琴さんインタビュー「3人の関係は本当に尊い!」
お互いに影響を受け合っている“関係性”にグッとくる
ーー『地獄楽』の魅力の一つには、士遠、典坐、ヌルガイを含めてそれぞれの関係性の深さがあると思います。皆さんは本作で描かれる関係性について何を感じますか?
小林親:最初に読んだ時、ステータスに関係なくキャラクター同士の関係が深くなっていくところが一番の魅力だと感じました。立場が違うのに一つの目的に向かって協力し合って挑戦していくところは、『地獄楽』の物語の軸なのかなと思いますね。
小林裕:すごく無慈悲な世界に送り込まれたからこそ、出てくる人たちの欲望や汚さがあって、それがキッカケとなって構築されていく関係性がすごくおもしろいなと。大切な人の死を背負っていくキャラたちの生き様にもグッときます。
小市:神仙郷に来なかったら絶対に仲良くならないだろう人たちが、死ぬかもしれない極限状態に置かれているからこそ生まれる絆は最高ですよね……。例えば、“がんふち”(巌鉄斎/演:稲田徹&付知/演:市川蒼)の2人とか。神仙郷に来なければ相いれないような2人が、ペアとしてすごくしっくりくるんですよ。それがどの組み合わせでも感じるのがいいなと思います。
ーーそんな中で、特に好きな関係性の組み合わせはありますか? 士遠、典坐、ヌルガイは後ほどじっくり伺うとして、まずはご自身の演じるキャラクター以外の組み合わせで!
小市:私は杠(演:高橋李依)と仙汰(演:山下大輝)。
小林親:わかる! “ゆずせん”、いいよね!
小市:この2人の関係はすごく面白いと思っていて。ネタバレになるので深くは言えないのですが、まず13話まで見ていただいた後に、もう一度最初から2人に注目して見てもらえると関係性の捉え方が変わる気がします。
小林親:言葉少なな状態で、あの関係性にたどり着けるってすごいなと。杠に感化されていく仙汰を見ていると、仙汰自身の人生も透けていてすごくいい2人だなと思います。
小林裕:僕は“がびさぎ”(画眉丸/演:小林千晃&佐切/演:花守ゆみり)の関係性は見ていてすごく楽しいなと思います。不完全な2人が、相手のポンっと放った言葉を自分の中で勝手に咀嚼して勝手に気づきを得ている。ほかのキャラクターはある程度完全な状態が出来上がっているけど、がびさぎは自分の成長に伴って信頼関係が築き上がっていく感じがするんですよね。最初と最後で一番関係性に変化がある2人だなと。
小林親:たしかに、亜左兄弟(弔兵衛/演:木村良平、桐馬/演:小野賢章)とかは関係性が変わることはないものね。
小林裕:そうなんですよ。
小林親:がびさぎは自分の中に足りないものを相手のちょっとした行動から見つけるというか、勝手にお互いに影響を受けているんだよね。それは、ゆずせんもがんふちもそうだなと。ぜひ物語の最後までそれぞれの組み合わせを見届けてほしいですね。
あと、死罪人と執行人だけではなく、木人やメイとの関係性も物語のキーになってくるんですよ。
士遠、典坐、ヌルガイは“救い救われ”の関係がある
ーーそれではお待ちかねの士遠、典坐、ヌルガイの関係性の魅力について。余すことなく語ってください!
小市:この関係って本当に尊いと思います!! たまらないですよね……!
小林親:本当にそう思います!
小市:この3人は“救い救われ”の関係がすごくあるんですよ。典坐は士遠先生に救われ、ヌルガイは典坐に救われ、という……。私は語り出すと止まらなくなるので、お2人はどうですか?(笑)
小林裕:8話の過去回想で士遠が典坐にしてくれたことを、今度は典坐が人にするようになった。その成長を感じたから、本来有無を言わさず首を切っているであろうヌルガイを「典坐が言うなら」と士遠は見逃してくれる。あそこのやり取りはコミカルに描かれていますけど、士遠は思うことがあったと思うんですよ。だけど、言葉少なな中で典坐の託したいものをすべて汲み取ってくれた。それはガキの頃から目をかけてくれた年月の積み重ねがあったからなんだろうなと思わされます。
小市:いや、本当にそうなんですよ……! その教えを受けた典坐がヌルガイに心で話しかけてくれたから、ヌルガイは自分の「生きたい」という気持ちを受け入れられた部分があると思うんです。
小林親:いい三角関係だよね。
小林裕:自分が盾になることで生を全うしてくれるだろうという可能性を、典坐は2人に託した。無念はありながらも、死ぬことに悔いはなかったと思います。
小林親:典坐の「人助けなんてイミ分かんねぇ」というセリフを聞くだけで、ちょっと泣けてくるもんね……。
小市:「ヌルガイさん 君には可能性がある」と言っていましたけど、ヌルガイ的には「お前にも可能性があるだろう!」って絶対に思いましたよ……。
小林裕:ヌルガイを助けられたことで、自分の可能性を満たすことができたからいいんだよ。
小市:悲しくなってきました……。
小林親:話していると悲しくなってくるね。……小市ちゃん、涙ぐんでるやん!(笑)
小市:この3人の一瞬家族みたいな雰囲気になるところがすごく好きで……(典坐とヌルガイ)結婚してほしかったな……。
小林裕:士遠が合流したらすぐに典坐は離脱するので、もっと3人のやり取りが見たかったな……。
小市:士遠先生の目ジョークのやり取りももっとしてほしかった……。これはifの話ですけど、典坐とヌルガイが結婚して士遠先生が号泣していると嬉しいなと思います。
小林裕:そうだよね……。
小市:でも本当にヌルガイの監視役が典坐でよかったと思います。