TVアニメ『地獄楽』山田浅ェ門士遠役・小林親弘さん×山田浅ェ門典坐役・小林裕介さん×ヌルガイ役・小市眞琴さんインタビュー「3人の関係は本当に尊い!」
時は江戸時代末期。死罪人たちが無罪放免のために不老不死の“仙薬”を求め、極楽浄土と呼ばれる島で生死を賭けて戦う物語『地獄楽』。シリーズ累計発行部数が480万部を突破した本作(著:賀来ゆうじ)のTVアニメが、テレビ東京系列ほかにて毎週土曜23時より放送中。
今回は、死罪人の監視役として神仙郷に共に足を運んでいる打ち首執行人の山田浅ェ門士遠を演じる小林親弘さん、山田浅ェ門典坐を演じる小林裕介さん、典坐が監視している死罪人のヌルガイを演じる小市眞琴さんにインタビューを実施。演じるキャラクターの“強さ”、作中で強い絆を見せる士遠、典坐、ヌルガイの関係性、第8話のアフレコ裏話、お三方が組みたい“打ち首執行人”と“死罪人”、『地獄楽』の一つのテーマである“信条”などたっぷり語っていただきました。士遠、典坐、ヌルガイの絆を彷彿とさせるお三方の仲睦まじさをお楽しみください!
※本稿には第8話ネタバレが含まれています
こちらもチェック!
士遠、典坐、ヌルガイの”強さ”とは
ーー『地獄楽』に登場するキャラクターはそれぞれの“強さ”が掘り下げられています。ご自身が演じるキャラ、お互いのキャラについて「ここが強さだよね」と感じるポイントをお聞かせください。まずは士遠先生。
小林親弘(以下、小林親):士遠先生は物理的に強いですよね。内面的な強さとしては、どんな時も冷静に分析していて、幅広い思考力を持っていること。聞く耳を持ち、自分でしっかりものを考えて決断できること。正しい道を選べることは強さであり、自分の中でネックになっている部分もあると思います。
小林裕介(以下、小林裕):典坐を除き、山田浅ェ門の皆さんは基本的にクレバーだと思うんですよ。そんな中、さらに士遠先生は良くも悪くも冷酷さがあると思っていて。死罪人が間違った選択を取れば切る、第8話の例のシーンでも典坐を置いて逃げる、という非情とも受け取れる行動ができる。一番お手本とすべき山田浅ェ門の在り方なのかなと。このクレバーさと冷酷さのバランスがしっかり取れているところが士遠の強さじゃないですかね。
小市眞琴(以下、小市):そうですね。関係性的に本来であれば典坐を助けたいのに、典坐を見て「正しい道はヌルガイを助けること」と判断できるところが士遠先生の強さだなと。
小林親:ヌルガイを助ければ、典坐の望みが叶うし仇討ちできる可能性があると、典坐との“目線のやり取り”だけで瞬時に判断をつけられる。まあ、目は見えていないですけどね?(※士遠は盲目で、目に関するジョークを言う設定)
一同:おお?!
小林親:一つのインタビューにつき、一つ“目ジョーク”を言うと決めていたので!(笑)
ーー自然と目ジョークが入ってくるのは、さすがです(笑)。続いて典坐の“強さ”についていかがでしょう。
小林親:典坐の強さは、やっぱり“まっすぐさ”じゃないですか?
小市:士遠先生(親弘さん)がおっしゃる通り、“まっすぐさ”が典坐の強さに繋がっていますし、ヌルガイはそこに救われていますよね。
小林裕:愚直にまっすぐですよね。でも僕は、“明るさ”が彼の強さかなと思うんですよ。なぜここまで明るくなれたのかは詳しく語られてはいないのですが、きっと士遠が“目をかけて”くれたから?
一同:おおお!
小林裕:あれ……そういえば典坐の最後のセリフに「先生すみません…目をかけて貰ったのに…」ってあるけど、あれってもしかしてジョークだったのかな……?
小市:た、たしかに……!
小林親:言われてみると……!
小林裕:話が脱線しましたが(笑)、典坐は士遠の期待に応えたい、士遠に何か返したい気持ちからガムシャラに頑張った結果、今があると思います。典坐の人生の全ては士遠に因っているところがあると思うので、それほどの“情の深さ”も強さかもしれないですね。
小市:典坐は自分から進んでヌルガイの監視役になることを選んでいますもんね。それも情の深さを感じるシーンだなと。
小林親:ね。ヌルガイが捕まっている牢屋までわざわざ行っているもんね。
小市:強さとは違うかもしれないですが、「罪人だから」「子どもだから」と型にはめることなく一人の人間として接してくれているのは典坐の魅力だと思います。ずっと敬語を使ってくれたり、裸を見た時にテンパってくれたりするところがすごく素敵です。
ーー皆さんの典坐愛を感じたところで、ヌルガイの“強さ”はいかがですか?
小市:ヌルガイの強さは、まず山の民(サンカ)として育ったからこその身体能力、頭で考えて行動できるところ。また、“人に対して負の感情を持たないところ”だと思います。侍に自分の家族を殺されても「自分が連れてこなければよかった」と自分を責めるんですよ。私なら「あの侍、私の家族を殺しやがって!」と怒りに満ちてしまいます。
しかも同じ侍という肩書を持つ典坐や士遠に対して、一切の負の感情を抱かない。相手がどういう人間なのか、自分で感じたままに受け取って接するところはヌルガイの強さだと感じます。
小林親:ヌルガイの強さは“ありのままでいるところ”だと思います。このメンバーの中で一番ありのままでいる人なんですよ。起きた出来事に対して悲しむけど、しがらみに縛られているわけではない。いい意味ですごく自由で、偏見でモノを見ない。何事にもニュートラルでいてくれる。なので、ちょっと典坐に近い気がしますね。典坐とヌルガイはいい相性だったんじゃないかなと。
小林裕:いい夫婦になれたでしょうね……。
小市:(大きく頷く)
小林裕:ヌルガイは何事も“吸収しようとする”。人を信じきる純粋さ、自分が決めたらやり抜く信念があり、人や信念のために学ぼうとする姿勢があるんですよ。いろいろと裏の顔を見せるキャラクターが多い中で一番ピュアで、親弘さんがおっしゃるように典坐と似ているところがありますよね。それが強さに繋がっていると思います。
アクションシーンの息遣いや性格を意識したディレクション
ーーキャラクターを演じる上で、印象に残っているディレクションはありましたか?
小林裕:典坐は「不良感を残しつつ、ガキ大将の横にいるチンピラのような感じにしてほしい」と言われた結果、バカ要素が強くなったと思います(笑)。でも愛されるバカにはできたのかなと。
小市:ヌルガイは話が進むごとに子どもらしさが出てくると思っていたので、最初から子どもらしさ全開に行こうとしていたんですけど、「頭でしっかり考える地頭のいい子」という意識をしてほしいと。やっぱり典坐がちょっとこう……ね……?(笑)
小林裕:急に気を遣うね! 逆に傷つくよ!(笑)
小市:(笑)。典坐よりは冷静に周りを見て判断するので、最初のイメージより大人っぽくしました。必死に前へ出ていくよりも引いている感じですね。
あとは、山の民(サンカ)の末裔で身体能力がすごく優れているんですよ。なので、「あんまり息遣いを荒くせず、軽く声を出してほしい」とディレクションを受けました。
小林裕:逆に典坐はスタミナがないキャラだから、「走っている時の息は入れて」と言われましたね。
小市:おもしろいディレクションだなと思いました(笑)。
あとは、「女の子になりすぎない」とも言われましたね。“12歳の少年に見える少女”を出したいのと、女の子を出しちゃうと女を武器にできちゃうんですよ。だから、「婿に来てくれ」というセリフも女の子として言うよりは純粋な子どもの願いとして言っています。
小林親:僕は「熱くなりすぎないように」と言われました。「典坐の仇討ちをしてやる!」という思いで動くシーンでは熱いセリフもあるのですが、士遠の性格上、冷静な部分を持っていなきゃいけない。弟子にも散々「熱くなりすぎるな」って言っているので、「抑えて」と言われました。
あと、「ジョークを立てすぎないで」ってディレクションも受けました。“目”を強調して言っていたのですが、「さらっと言ってください」って(笑)。
一同:はははは!