『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』「大ヒット感謝特別上映イベント IN 尾道~邂逅~」レポート|キャスト、スタッフ、主題歌アーティストが集結して作品制作の裏話を披露
2023年1月20日(金)より劇場特別先行上映が行われ、5月17日(水)にBlu-ray&DVDが発売となったアニメ『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』(以下、本作)。そのイベント「大ヒット感謝特別上映イベント IN 尾道~邂逅~」が、6月4日(日)に本作の舞台のひとつにもなっている広島県・尾道市のしまなみ交流館テアトロシェルネで開催されました。
会場ではまず本作の上映を行い、その後は石井真さん(真壁一騎役)、喜安浩平さん(皆城総士役)、能戸隆監督、冲方丁さん(脚本)、angela(主題歌アーティスト)、中西豪さん(プロデューサー)登壇によるスペシャルトークパートへ。
本作の制作にまつわる裏話や、シリーズ最終章となった『蒼穹のファフナー THE BEYOND』のテレビオンエア用編集版の放送決定など、最新情報も解禁となりましたので、本稿でその模様をレポートします。
食事会では新たな作品や企画など、仕事の話になる!?
最初のコーナーは「蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE~制作の軌跡~」。ここでは、本作がどのような経緯で制作されたのか振り返りました。
企画の始まりは、2017年末に開催された【「蒼穹のファフナー THE BEYOND」皆城総士生誕祭イベント】で行われたジェンガ対決の賞品として、喜安さんが平和な物語を見たいとお願いしたことがきっかけに。その後、2020年1月頃に行われた中西さん発信での能戸監督、冲方さんとの食事会でプロジェクトが動き出したそう。
能戸監督と冲方さんは普通の食事会と思って参加したが、中西さんは確信犯で、その場は平和なスピンオフ制作に向けての打ち合わせの場になったとのこと。冲方さんに至っては、ジェンガが行われたことも知らなかったため、始めは一騎と総士がジェンガをするストーリーを書くのかと勘違いしたとのこと。
ジェンガ対決のエピソードとして、喜安さんは平和な物語を見たいとは言ったものの、この対決の勝敗でお願いしても良いものなのかと葛藤しながら勝負に挑み、敗北した石井さんは、対決中、内心では喜安さんと同じく平和なスピンオフを望んでいたそうですが、負けたくないという気持ちだけで必死に戦っていたという裏話も飛び出しました。
その後、本作の時間軸が決まった経緯が冲方さんを中心に語られました。成人直前の一騎と総士なら平和なひと時を過ごせるのではないかと『HEAVEN AND EARTH』と『EXODUS』の間の時間軸となり、能戸監督からラストシーンを花火で締めたいという要望があり、お祭りの時期になったのだとか。
映像制作の工程について、能戸監督から、本作に登場する「眠そうな総士」が、これまでのシリーズで描かれておらず、そのままキャラクターデザインの平井久司さんに依頼して出来上がったシーンだったというエピソードが語られました。出来上がったものは素晴らしいもので、能戸監督はもちろん一発OKだったそうです。
その眠そうな総士と共に居た一騎を演じる石井さんは、当初総士にツッコミを入れるように声をかけていましたが、演出を受け、もっと柔らかく労わるような言い方に調整していった様子を披露しました。
ストーリーについては、喜安さんからは、一瞬でも一騎や総士たちが掴みかけた平和があった事を知れた喜びが語られ、石井さんからも一騎が自分の事で悩める時間があった、そんな平和の意味や重さを感じていたとのことでした。
angelaによる主題歌「Start again」の制作裏話としては、atsukoさんとKATSUさんも2021年末に開催された「蒼穹のファフナーFINAL Fes in パシフィコ横浜 Day 2」の前打ち合わせで中西さんから新曲の依頼があったそうで、能戸監督から物語は『蒼穹のファフナー THE BEYOND』で完結したと聞いていたため、かなり驚いたというエピソードが。「FINAL Fes」の準備と並行してレコーディングを進めていったと明かしました。
冲方さんは本作では遠見真矢が甘えるような一面や、戦い以外に前のめりになる羽佐間カノンなど、これまでキャラクターたちがあまり見せてこなかった顔を見せることに注力したと話し、能戸監督はそんな冲方さんが驚くような、シナリオに書かれていない部分の深掘りをしていく映像作りをしていると語りました。また、『蒼穹のファフナー THE BEYOND』を制作しながら、本作を同時に進めていたことに、冲方さんは能戸監督に頭が下がる思いだと伝えました。
話題がアフレコの様子になると。喜安さんが呼吸をするように自然に臨めたと言う一方、石井さんはかなり緊張したようで、対照的な様子を聞かせてくれました。
また、TVアニメ第1期放送から翌月に19周年を迎えることから、第1期時の自分にかける言葉を聞く流れに。それぞれが愛情深い想い出とともに19年前の自身に向き合うコメントが披露されましたが、冲方さんが19年前の自分に伝えたいことが、トークコーナー冒頭の『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』制作エピソードにもつながる、飲み会に警戒することだったため、会場からは大きな笑いが起こりました。