この世は全部奇縁でつながっている気がします――『江戸前エルフ』の幕開けを彩る「奇縁ロマンス」で紡いだ、7周年を迎えた今だからこそ贈れたメッセージ|ナナヲアカリさんインタビュー
YouTube登録者数80万人超え、今までにアップしたMVは動画投稿サイトで累計3 億回再生を突破。ネットシーンのポップ・アイコンでもあるナナヲアカリさんが、待望の新作「奇縁ロマンス」をリリースしました。
『江戸前エルフ』OP「奇縁ロマンス」はシンガーソングライター・和ぬかさんによる書下ろし楽曲。編曲はボカロPでもある100回嘔吐さんが手掛けています。また、カップリングに収録された「忘れないでベイベー」は音楽家・Guianoが手掛けたもの。「忘れないでベイベー」には、ナナヲさんの素直な思いも込められています。
6月28日には初作品「ハッピーになりたい」から7周年を迎えたことを記念して、2016年~2018年にかけてリリースしてきたインディーズ作品4タイトルがデジタル解禁されることも決定。「奇縁ロマンス」が生み出されるまでの物語や、そこにいたるまでの糸をたどりながら“今のナナヲアカリ”に迫ります。
自分の強みを言語化できるようになった
――初作品「ハッピーになりたい」を投稿してから7周年を迎えられます。この7年間を振り返ってみて、どのようなお気持ちですか?
ナナヲアカリさん(以下、ナナヲ):活動5、6周年のときは「これって長いのか短いのかどっちなんだろう」という気持ちだったんですけど、7周年になるとシンプルに長いなと思うようになって。ついこの間のような気がするんですよね。でも7年前となると「長いな」と。
――この7年の中でナナヲさんのターニングポイントがあったとしたら、いつぐらいになると思います?
ナナヲ:ナナヲアカリという軸を考えるにあたって大きなターニングポイントとなったのは「チューリングラブ feat. Sou」(TVアニメ『理系が恋に落ちたので証明してみた。』エンディングテーマ)だと思います。
「チューリングラブ feat. Sou」はナナヲアカリに合うサウンドや世界観の方向性を教えてもらった気がしていますね。
「ハッピーになりたい」からはじまって、当初は“ネガティブ・ポップ ”という言葉を使っていたんですけど、ポジティブというわけではない、少し後ろ向きだったり、コンプレックスだったりをポップに昇華できるのが自分の強みなんだなと、言語化できるようになりました。
――それが自分の武器だという自覚もできた?
ナナヲ:そうですね。それまではフワッとしていたんですよね。結果的にはきっとそうなっていたとは思うんですけど「チューリングラブ」の時期で、その自覚が芽生えて、さらに言葉にすることができるようになりました。
――また「チューリングラブ」でナナヲさんの魅力がさらに多くの層に認知されるようになりましたよね。
ナナヲ:今までナナヲアカリってコンテンツに触れてこなかった人が触れるきっかけになったというのは大きいと思っています。
――ナナヲさんの中で、ナナヲアカリという存在は“ ナナヲアカリというコンテンツ”という認識なんですか?
ナナヲ:そうですね。コンテンツという認識です。
――それは生身のナナヲさんとはまた違う感覚なんです?
ナナヲ:生身の部分ももちろんあるのですが……ナナヲアカリというのは、コンテンツだったり、プロジェクトだったりという認識なので、生身すぎる自分っていうのは、ある種、俯瞰したところから見ている気持ちですね。だからこそ、いろいろなことができるのかなとは思っています。
――第三者的な神視点と言いますか。ところで年々ナナヲさんが楽しそうに活動されているのが印象的だったんです。なんだか変な質問かもしれませんが、ナナヲさんは今、ナナヲアカリというコンテンツを動かすのは楽しいですか?
ナナヲ:そうですね。楽しいです。なんというか……気負わなくなったような気がしているんですよね。で、そうなったのはなんでかって考えると、自分のコントロールがうまくなったのが要因なのかなと。自分の負の感情との向き合い方が分かるようになってきたような気がしています。
――歌で昇華していくことでコントロールができるようになっていったということですか?
ナナヲ:それもありますが、歌うことで昇華するというよりは......作品を作ることによって昇華する」のほうが正しいかな。改めて自分らしさを確認できる時間になっているのかなと。
――ナナヲアカリというコンテンツは生身の人間すらも成長させてしまう。すごいですね。
ナナヲ:そうですね。サラッと言いましたけど改めて考えると確かにすごいですね(笑)。
――今年は「ナナヲアカリワンマンライブツアー 「七七〇鬼夜行ー奇縁結ビー」」もありました。コロナ禍がやっと明けたことを感じますね。
ナナヲ:やっと明けた感がありましたね。春ツアーの前まで声出しも禁止でしたし、ディスタンスも確保しなければいけないし。だから今回のツアーは別モノのような感覚がありましたね。お客さんがたくさんいて、声を出していて。「あっ、この時期あったな」って。ようやく声を聴くことができました。
ツアーには初めましての人も、コロナ禍が明けたからライブに行ってみようと思って下さった方もたくさん来てくださって。「ああ、そうそうこれだ!」って楽しかったです。