『冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた』アンジェリン役・早見沙織さんに最速インタビュー!作品への印象とかわいい父との思い出
親子のふれあいや友情などが描かれたハートフル異世界ファンタジー『冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた』がTVアニメ化。2023年秋放送がスタートします。
本作は、若き日に片足を失った元冒険者ベルグリフが、森で捨てられていた女の子を拾うところから物語が始まります。その女の子を“アンジェリン”と名付け、男手一人で育てるベルグリフ。その後、成長した娘は父の背中に憧れて、冒険者になりたいと都のギルドへと旅立ちます。それから5年後。心のどこかでまだ冒険者としての自分を夢見ている父、一方、娘は冒険者として最高位の「Sランク」になっていて……!?
アニメイトタイムズでは、アンジェリンを演じることが発表された早見沙織さんに最速インタビューを実施。作品への印象や、父親との思い出などについてお聞きしました!
冒険者だった父の動きや心得が、アンジェリンの中にある
――最初に原作を読んだときの感想を教えてください。
アンジェリン役・早見沙織さん(以下、早見):父と娘の絆や繋がり、その描かれ方がとても素敵だなと思いました。冒険という視点で見ても、戦いがあったり道中で個性豊かな仲間たちとのやり取りがあったり、出会いがあったりと、色々なことが起きるんです。ずっと楽しく見ていられる作品だと感じました。
――続けて、アンジェリンの紹介をお願いします。
早見:アンジェリンは元冒険者のベルグリフさんに森で拾われて、娘のように育ててもらった子です。彼女は父の背中を見て育ったこともあってか、自分も冒険者に憧れるようになり、12歳で都へと旅立ちます。その5年後、あまりの強さと活躍ぶりに「黒髪の戦乙女」と呼ばれるようになった彼女は、ギルド最強のSランク冒険者として忙しい毎日を送るようになりました。ただ、父・ベルグリフさんへの愛はずっと変わっておらず、長い休暇があれば父が暮らす田舎に帰りたいと願っている、そんな女の子です。
――ただ、Sランクゆえになかなか長期休暇が取れず……。
早見:そうなんです。休暇を取れたと思ったら、タイミング悪くSランクの彼女しか対応できない緊急の依頼が来てしまうことが多々あって。お父さんに会うための休暇が依頼で埋まってしまうと、彼女は分かりやすく顔に出るんですよ。お父さんに関することでは表情がすごく豊かになり、かわいい一面も見られる子なんです。
――それくらい、父親のことが大好きなんですね。
早見:私もお父さんはすごく大事な存在で大好きですが、アンジェリンの「父、大好き」は格が違うんですよ(笑)。彼女に近しい人は「アンジェリンはお父さん大好きだからね」という共通認識を持っているくらい、周りにも周知の事実として伝わっています。
――ただ、父に会うことを優先するのではなく冒険者としての依頼を全うします。
早見:そのあたりは、それこそお父さんの背中を見てきたから、かな。ベルグリフさんはアンジェリンを鍛えていくなかで、肉体的なことだけでなく冒険者の心も自然と伝えていたんだと思います。アンジェリンはベルグリフさんから目に見えないものを受け継いで都へ旅立ったんですよね。だから、依頼を投げ出さない。彼女は選択を迷ったとき「お父さんだったらどうするか」を考えて、自分もベルグリフさんのように振る舞おうとする節があるんです。冒険者だった父の動きや心得が、アンジェリンの中にあるんでしょうね。
父から「鼻歌でも歌っていたら大丈夫ですよ」っていう返信がきて
――先ほどからお話のなかで登場している父・ベルグリフへはどのような印象をお持ちですか?
早見:情が深くて、器も大きい。常にどっしり構えて存在してくれるので、安心感があります。そういう頼りになる一方で、穏やかで控えめな性格をしていて。ただ、いざとなったら前に出てきてくれるんです。そのバランス感も素敵ですね。
――ベルグリフは諏訪部順一さんが演じることが発表されました。
早見:ベルグリフさんの温かさが、諏訪部さんのお声からも伝わってきます。お声を聞くだけで、さっき言ったような安心を感じるんですよね。どこか素朴さが混じっているのも、ベルグリフさんのお声としてピッタリだなと思いました。
――アフレコではご一緒になることもあった?
早見:はい。今回のアフレコは、ふたつのブースに分かれて収録したんです。あるとき、諏訪部さんと私が別々のブースで収録するときがあって。声は聞こえるけれど姿が見えないというその状況が、心の中でお父さんの声を反すうしているけれど、実際に会いに行けないアンジェリンと疑似的に重なりました。境遇は違いますが、「ベルグリフさんに会いたい!」という思いを私も感じたんです。これは、父と娘の絆を描いたこの作品ならではの感覚な気がして、面白かったですね。
――「会いたい!」気持ちがどのような表現になっているのか、今から楽しみです! 先ほど早見さん自身もお父さんが大好きとおっしゃられていましたが、思い出に残っているエピソードはありますか?
早見:うちの父はちょっとフワッとしているというか、ボケボケしているというか、天然っぽいというか……(笑)。ある日、私が新幹線で仕事先に向かっている途中で、イヤホンを持ってくるのを忘れたことに気が付いたんです。私、移動中に音楽を聞くのが好きなので、「うわー、やっちゃった」と思って、父に「イヤホン忘れた」と嘆きの連絡をしたんですよ。そしたら父から「鼻歌でも歌っていたら大丈夫ですよ」っていう返信がきて。
――えっ(笑)。
早見:色々と意味が分からないですよね(笑)。「新幹線で鼻歌……?」「何が大丈夫なの?」と疑問だらけ。そういう謎のからっとした明るさ……なのかは分からないですが、少し視点がズレている人なんです。ふだんは仕事人間ですごく真面目なタイプなんですけど、家だと案外かわいい(笑)。そんな父の一面に癒されています。
――目上の方に失礼かもしれませんが、ほんとうにかわいいエピソードですね!
早見:ですよね。でも、本人はぜんぜんそのつもりがないんですよ。これは余談なんですけど、うちの叔母も父と同じようなタイプの人間でして。叔母が旦那さんとお付き合いしていた頃、会社終わりにお出かけしようという約束をしたことがあったみたいなんです。そのお出かけが楽しみ過ぎて、叔母はハンドバッグを持って急いで会社を出て待ち合わせ場所に行ったらしいんですよ。で、いざ待ち合わせ場所に着いたらハンドバッグじゃなくて、やかんを持っていたらしくて。そんなことあります!?
――まるで、アニメのような展開(笑)。
早見:ですよね(笑)。父はそういう一族なんです。ちょっと不思議ですけど、かわいらしい。私は大好きです。