『江戸前エルフ』原作・樋口彰彦先生インタビュー│「何がなんでもお客さんに笑って帰ってもらう」がテーマの1つなんです
リクエストは一箇所だけ
――キャスティングは樋口先生も関わられたのでしょうか?
樋口:一応、会議には参加させていただきましたが、門外漢なので音響監督の藤田(亜紀子)さんにほとんどお任せでした。でも、それで大正解だったなと。素晴らしいキャスティングだったので、余計なことを言わなくてよかったと思っています。
――小糸役の尾崎由香さんのお芝居はいかがでしたか?
樋口:尾崎さんの小糸は唯一無二のものになったなと思います。もしかすると尾崎さんの声が唯一無二なのかもしれませんが、ものすごくマッチしていました。小糸はどうしても大雑把な印象を持たれがちです。でも、実際は繊細なところがあるので、尾崎さんのはつらつとしつつも、優しく、柔らかい声が小糸にぴったりだなと思いました。
――では、エルダ役の小清水亜美さんのお芝居についてはいかがでしょうか?
樋口:監督も前回のインタビューでおっしゃっていましたが、とにかくエルダの読み込みが深く、解像度が高いですよね。考えて、考えて演じてくださっていることが伝わってきました。実は連載開始前のキャラ表に「覇気はないのに、押しが強い」とメモ書きをしていたんです。それがまさに小清水さんの演じられたエルダで。アニメのエルダには僕も何か奉納したくなるくらい引き込まれました。
――実際、小清水さんはエルダの体型や所作からすべてを考えて演じられていると伺いました。
樋口:ありがたいですね。しかも弱々しい声なのにしっかり声が通って聞きやすいのがまたすごくて。絶妙なバランスだと思いました。
――アフレコもご覧になったそうですが、樋口先生から何かリクエストされたことはありましたか?
樋口:小糸のセリフで一箇所だけありました。第8話の最後、ハイラのブロマイドを手にしたエルダに「それ、スーパーレアだよ」というところですね。最初はもう少し嬉しそうだったので、ガッカリ感が出たほうがいいなと思い、そうお伝えしたんです。ただ、これは今でもどちらがよかったのか、余計なことを言ってしまったのではないかと考えることがあります(笑)。
――いやいや、いいオチになっていてよかったですよ! でも、それぐらいだったんですね。
樋口:藤田さんのディレクションが的確だったので、こちらからは何も言うことがありませんでした。藤田さんもそうですし、安齋監督もそうですが、僕が漫画で表現したかったことを皆さん理解してくださっていて。素晴らしいスタッフさんに恵まれたなと感謝しています。
――アフレコで何か印象的だったエピソードはありますか?
樋口:皆さん、とても楽しそうにアフレコをされていて、それを見ているだけでこちらも楽しくなりました。あとは、最初のPVのナレーションで尾崎さんが何度か録り直しをされていたんです。それが最終回では一発で録れて、そのときに一番喜んでいたのが小清水さんでした。見ていてほっこりしましたね。
――小糸を見守るエルダのような……。
樋口:そうなんです。とても素敵なものを見させていただきました。
――では、物語のほうではいかがでしょうか?
樋口:ひとつ嬉しかったのは、「高耳様の唄」に音楽がついたことですね。第3話はアニメでも特に好きな話数で、カップラーメンを食べるくだりはまさに理想としていた描かれ方でした。あとはヨルデがエルダにマウントを取るときの効果音も面白かったです。ピヨピヨという謎の効果音がヨルデっぽくて(笑)。かわいいなと思いながら見ていました。
――アニメをご覧になって、何かインスピレーションを受けたことはありますか?
樋口:ヨルデと向日葵ですね。漫画でヨルデが登場したときはもう少し“へたれ感”があって、そういうキャラクターのつもりで描いていました。でもアニメでは底抜けに明るく、強気で、“楽”の文字が合うようなキャラクターになっていますよね。それがすごくいいなと思って、漫画のほうでも最近はもっとうるさく、楽しそうなキャラクターになりました。
向日葵については、ヨルデをお姉ちゃんとして扱うニュアンスが乗っていたのがよかったです。実は2人の関係にはちょっとした裏設定があって。どなたかのディレクションによるものなのか、それとも生田(輝)さんの解釈によるものなのかはわかりませんが、おかげさまで僕としてもキャラクター性をつかむことができて漫画に出しやすくなりました。
――ありがとうございます。さていよいよ最終回ですが、どんなところに注目してほしいですか?
樋口:普段だらだらして、ふにゃふにゃなエルダが小糸のために何をするのか。何ができるのか。それが大きな見せ場になります。アニメではヤスカワさんが漫画の演出を補強してくださって、かなり見応えのあるものになったので、原作をご覧になった方も楽しみにしていただければと思います。
TVアニメ「江戸前エルフ」作品情報
2023年4月よりMBS・TBS・BS-TBS “アニメイズム”枠ほかにて放送中!
放送情報
MBS:毎週金曜日 深夜2時25分〜
TBS:毎週金曜日 深夜2時25分〜
BS-TBS:毎週金曜日 深夜3時00分〜
AT-X:毎週火曜日 夜11時30分~
【リピート放送】
毎週木曜日 朝11時30分~/毎週月曜日 夕方5時30分~
配信情報
dアニメストアにて 毎週金曜日 深夜3時00分〜 配信中
◆毎週火曜日 正午〜 配信中
Amazonプライムビデオ、U-NEXT、アニメ放題、ABEMA、DMM TV、Hulu、FOD、バンダイチャンネル、ニコニコチャンネル、MBS動画イズム、クランクイン!ビデオ、HAPPY!動画
◆毎週火曜日 夜10時30分〜 配信中
ニコニコ生放送
◆毎週水曜日 正午〜配信中
Lemino
◆毎週水曜日 深夜0時00分~ 配信中
J:COMオンデマンド、auスマートパスプレミアム、TELASA、milplus、Google Play
イントロダクション
東京都中央区月島。
江戸時代より400年以上の歴史を刻む『髙耳神社』。
祀られたるそのご神体は、異世界から召喚され、すっかりひきこもったエルフでした。
ご神体のエルフ・エルダに仕えるのは、高耳神社15代目巫女の小金井小糸。現代文明とオタク趣味をエンジョイするエルダに振り回されながらも、彼女が教えてくれる江戸の文化に胸をときめかせ、連綿と紡がれる月島の人々とエルダのつながりにほっこり。
でもやっぱりこのエルフ、ぐうたらすぎる!
しかも他の神社のエルフ&巫女コンビまで現れて……!?
江戸と令和をつなぐゆったり下町コメディ、始まります。
スタッフ
原作:樋口彰彦(講談社「少年マガジンエッジ」連載)
監督:安齋剛文
シリーズ構成・脚本:ヤスカワショウゴ
キャラクターデザイン:小田武士
総作画監督:小田武士、中尾隆文、SAI
プロップデザイン:横山友紀
色彩設計:最相 茂
美術設定:近藤由美子、柴田千佳子
美術監督:アトリエマカリア
撮影監督:久保田 淳(CUE)
撮影:シアン
特殊効果:久保田 淳(CUE)
編集:山岸歩奈実
音響監督:藤田亜紀子
音響制作:INSPIONエッジ
音楽:松田彬人
音楽プロデューサー:斎藤 滋
音楽ディレクター:タノウエマモル
音楽制作:ハートカンパニー
アニメーション制作:C2C
製作:「江戸前エルフ」製作委員会
オープニングテーマ:「奇縁ロマンス」/ナナヲアカリ
エンディングテーマ:「おどる ひかり」/Cody・Lee(李)
キャスト
小金井小糸:尾崎由香
エルダ:小清水亜美
桜庭高麗:相川遥花
小金井小柚子:関根 瞳
アニメ公式サイト
作品公式ツイッター(@edomae_elf)
推奨タグ:#江戸前エルフ
WEBラジオ情報
TVアニメ「江戸前エルフ」高耳神社のご神体ラジオ ~私、ご利益ないけどな!~
■パーソナリティ:尾崎由香さん(小金井小糸 役)、小清水亜美さん(エルダ 役)
■配信日時:毎週木曜日配信中
■配信サイト
YouTube「日活アニメチャンネル」
インターネットラジオステーション<音泉>
書籍情報
■コミックス(マガジンエッジコミックス/講談社刊)
「少年マガジンエッジ」にて連載中
コミックス第1〜7巻 好評発売中!
著:樋口彰彦